出産
「はぁ・・・」
俺は結婚の事を考えていた。
五月蝿い姉ちゃんも学校に戻ったし静かな日々が戻ってくると取り合えずいいとは思っていても暇な時間出来てふと考えて込んでしまう。
「どうされたんですかクラマ様?また何かお悩みですか?」
不安気な顔でカレンが聞いてきた。
「いや、今日もカレンが可愛いなって思ってさ。」
「そ、そんな!恥ずかしいですよ!クラマ様ったらご冗談ばっかり!」
カレンは羽で自分の事を抱き締め体をくねらせている。
「いや、まぁ冗談なんだけどさ。」
「冗談何ですか!?」
「それは置いといて。まぁ、将来事だよ考えてたのは。」
「置いとかないで欲しいです!」
カレンは羽をばたつかせ抗議してくるがいつの間にこんなチョロくなってしまったんだろう。
「勿論私との結婚の事・・・ですよね?」
「え、いや違うけど。」
「違うんですか・・・」
ガックリと項垂れカレンは絶望したような顔をしている。
昔と違いカレンは随分表情豊かになり可愛さに磨きがかかっているのは間違いないが・・・やっぱりチョロい。
「ハハハ!嘘だよ、嘘!カレンとの事もしっかり考えているさ。でもまだ結論は出せてないんだ。すまない。」
「クラマ様・・・」
カレンは目を潤ませ
「大好きです!」
羽を使い俺に抱きつこうとした瞬間。
「う、産まれるぞおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
ルドルフの声が城中に響き渡った。
「カレン待った!それどころじゃあ無いみたいだぞ!」
抱きつこうとした瞬間俺はカレンの頭を捕まえた。
「むむむ・・・」
カレンは恨めしい顔で見ていたがそれどころではないので俺はルドルフのもとへと急いだ。
「親父ぃ!お袋は!?」
「ついさっきに産気づいてな。今はマリアに付いてもらっとる。
「そうか・・・母体には問題とかは?」
「うぅむ、アリスやクラマを産んだ時より苦しんでおるようでな心配なんだ。」
心配でしょうがないのかルドルフは落ち着きが全くない。
「親父、俺達には側にいるしか出来ないんだ。せめて俺達が落ち着いてないとお袋が安心出来ないよ。」
「そうだな・・・先程マリアにも言われたのだがな。なかなかどうして馴れないものだ。」
ドガァン!!!!!
「へ、陛下!!!」
扉をぶっ壊すかのような勢いでメイドが入ってきた。
「騒がしいぞ!落ち着かんか!」
親父・・・人のこと言えないだろ。
「申し訳ありません!しかし、今リリス様のお子様が産まれました!」
「なんと!よくやったぞ!今いくぞリリス!」
そう言うとルドルフは目にも止まらぬかのようにリリスのもとへと向かっていった。
リリスの部屋へと入ると先に来ていたルドルフが赤子を抱いていた。
「おぉ、可愛いな!可愛いな!目に入れても全く痛くないな!」
いやいや、ほんとにいれようとするな産まれたばっかりなのに若干嫌そうな顔して・・・
「オギャアアアアアァァァッッ!!!!!」
そりゃ、泣きますよね。
「ルドルフ!いい加減にしてください!あやしも限度がありますよ!この子まで泣きそうじゃないですか!」
リリスが抱いた子は無愛想な顔してルドルフを見ている。
そう!産まれたのは双子の女の子だったんだ!
俺も抱かして貰ったがちょっとルドルフの気持ちがわかってしまうのがこわいところだ。
「クラマ?あなたの妹達よ。大事に守ってあげて頂戴ね?」
リリスの顔を見ると聖母のようにも見えた俺は力強く頷いた。
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