働きたくない!!!
「失礼します。」
襖の向こう側から声が聞こえた。
スッー
「お初にお目にかかります。私はバールーン王国第一王女シズカ・バールーンと申します。ルドルフ様、クラマ様どうぞよろしくお願いいたします。」
「おおぉ!ルドルフよ!久しぶりだな!」
「ガッシュよ!久しぶりではないか!シズカ王女今日はよろしく頼むぞ。」
「こちらこそよろしくお願いいたします。」
入ってきたのは昨日の産まれた姿・・・ではなく艶やかな着物姿のシズカとルドルフよりも体格は小さいがしっかりとした体格で目付きがちょっと怖いガッシュと呼ばれた男だった。
「君がクラマ王子か?」
鋭い眼光がこちらへ向けられた。
「そ、そうです。バールーン王国国王ガッシュ様。」
「よい、よい!固くならずとも良いぞ。娘の婿殿になろう者だ。そうだな、いっそのこと父上とでも呼んでくれればいいぞ。」
「お父様ったら!確かに王子様と結婚するのが夢で結婚する前に死んじゃって・・・」
ガッシュの話を聞いてシズカは最後の方は聞こえなかったが凄い勢いで照れて体をくねらせている。
「ガッシュよ、その事なんだがな・・・」
「いいよ、親父俺が言うよ。」
「う、うむ・・・」
「ガッシュ様!」
「なんだね、未来の息子よ。私には息子が居なくてね。産まれてくるのは女の子ばっかり、いや悪いとは言わないが国を思うとな・・・しかし!これからは安泰だな!ハッハッハッ!」
「ガッシュ様、そのお話何ですがお断りしようかと思っているんです。」
「ハッハッハッ!!!・・・は?」
笑っていた顔から先程の鋭い眼光になりこちらに突き刺さる。
「どういうことだルドルフ!長年の歪みを無くそう言ってきたのはお前だよな!」
「あ、あぁ・・・」
「シズカに問題でもあると言うのかクラマ王子!」
ガッシュは激昂し俺に詰めよってくる。
「シズカ様には全く問題なんかありません!むしろ、好意さえ有ります!」
「そんな、恥ずかしいです・・・」
シズカはまた照れているがそれどころではないんですよ!
「では何故だ!」
「私は成人、15になったら国を出ようかと思っているんですよ。」
「ク、クラマ!私はそんな話聞いてないぞ!」
ルドルフは驚き、ルドルフも詰め寄ってくる。
「ルドルフ!お前の息子はどうなっているんだ!国を捨てると言っているぞ!」
「私も分からん!クラマちゃんと説明してくれないか?」
「俺は働きたく無いんだ!」
「「なっ!!!」」
「クラマ様働きたくないんですね!大丈夫です!私頑張ります!」
いや俺別にヒモにはならないよ?
「仕事をしたく無いんじゃなくて俺にはそういう政治とか出来ないんじゃないかなって思ってさ。」
「そんなことはないぞクラマ!お前は私とリリスの子だ、出来ないなんてことはないはずだ!」
「そう、それだよ親父。俺だって出来ない事がある。実際カレンを俺は助けられなかった・・・政治をするにしてももっと色々な事を経験してから決めたいんだ。」
「あの時はお前はまだ3歳だった。そんなお前を誰も責めていない。今だってまだ6歳そんなに悩む事は無いんだぞ?」
(中身は40過ぎてしまったオッサンなんだけどな。色々将来を考えちまって、いずれ王になるなんてまだ考えられないんだよ!)
ガッシュは少し落ち着いたようで。
「ルドルフよ、お前の息子もお前と同様に難儀な性格をしておるな。お前も学生だった時はリリスと国を出て冒険者に成るとか言っておったな。」
「うっ、その話は・・・」
「構わんではないか、もう過去の事だ気にするではない。」
「まぁ、そうだがな・・・」
「クラマ王子よ、話は分かった。大丈夫だ今すぐ結婚してくれなど言っておらん。今回は顔合わせだ、結局男と女だ好き嫌いで別れてしまう。王子、王女はそう言う訳にはいかないだろうが何故か分からんが娘はそんなこと無さそうだがな。」
いまだに恥ずかしがっているシズカを横目でチラリと見るとガッシュは話を続けた。
「クラマ王子はまだ6歳と聞く、シズカはまだ7歳だ。成人までまだ時間がある。今回の話の続きはまた成人になる前に聞こうではないか。ただ次はこれでは済まんからよく考えておくがよいぞ。」
「申し訳ありませんガッシュ様。」
「よい、よい!ルドルフ!お前の息子は凄い息子だな!」
「当然だ!私とリリスの子だからな!すまなかったなガッシュ。」
「よいと言っておろう。詫びと言うのであればたまには一緒に飲もうではないか!」
「あぁ、そうだな!」
「クラマ様!結婚式は和風と洋風どちらが良いですか?私はせっかく異世界に来たんで洋風のが良いですね!」
「シズカ、その話はまた今度で・・・・・」
「えぇ!じっくり考えを練っときますね!」
恋する乙女は話を聞いてくれてなかったのか、また今度じっくり話そう・・・
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