姫
風呂を上がり彼女に色々と話を聞いてみると、やはり彼女も俺と同じ異世界人だった。
彼女の名前はシズカ・バールーン
何と彼女は隣国バールーン王国のお姫様だったのだ。
シズカも俺と同様にアイリスにこの世界連れてこられたらしい。
「私の能力、チートは神の目という物らしいんです。」
「それで魔力が見れるという事?あんまりチートっていう程でも・・・」
「いえいえ、それはほんの一部らしいんです。例えばクラマさんの能力が見え、更にクラマさんが今嘘を言っているかなどがわかるそうです。ただこれはわたしの能力が成長していないだけで、成長すれば色々と使えるようになるとはアイリス様から聞いています。」
「鑑定系の最高の能力と言うことなんだね。」
「多分そういうことかと思います。」
「何はともあれ、あっちの知り合いが出来て俺も嬉しいよ!」
「えぇ、私も嬉しいです!私死んだときはまだ高校生だったのでこんな豪華な生活が送れるなんて・・・」
「ハハッ、そうだね。」
「良かったです・・・私の結婚の御相手がクラマ様のように優しい方で・・・」
「いやぁ、ホントに良かったね!・・・・・・・えっ?」
「お父様は少し懸念してたようですけど杞憂でしたね。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「はい?」
シズカは首を横に傾げこちらを見てくる、可愛いな・・・じゃなくって!
「今俺と結婚するって言ってなかった!?」
「えぇ、言いましたがご存知無かったですか?」
「ご存知有りませんでちた!」
もう驚きすぎて呂律も回らない。
「今日此処に来訪したのは、今は非公開ですが婚約を交わし長年歪み続けた国同士の親交を深める為と私は聞いていたんですが・・・」
「それって政略結婚じゃねぇか!!!」
俺は声を荒げると彼女は一瞬驚いたような顔になるが、直ぐに神妙な顔つきになった。
「えぇ、クラマ様の言う通りです。でも歪み合って国の民は傷ついてほしくは無いのです。記憶は前世ですが今生きているのはこの世界なんです。」
俺だってそうだ。
この国に生まれて良かったと思い、愛着だってある。
だけど、せめて先に教えといてくれよ馬鹿親父!
「どうされましたか?」
「ちょっと、馬鹿親父に一言行ってくるよ!」
「ちょっと、待ってください!」
シズカの声を背に俺は馬鹿親父に一言言ってやると思い走り出した。
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