ネズミ
クラマが誘拐されて四日後城では・・・
「若様をしっかりと見ておかなかった私に責任がございます!私の命など軽いものですがどうか!どうか!」
マリアの美しくかった顔は涙でグシャグシャになり尚も懇願を続ける。
「マリア、そんなことはクラマは望みませんよ?」
「そうだ、リリスの言うとおりだ!クラマは無事だ!なんと言っても私とリリスの子だからな!」
ルドルフは笑い飛ばすように言うが室内には重い空気が謁見の間には漂っている。
「失礼します!!!」
静寂を壊すように兵士が入ってきた。
「どうした!クラマが見つかったのか!」
「い、いえ・・・」
「では、どうしたというのだ!?」
ルドルフは若干の苛立ちを抑え、入ってきた兵士に聞いた。
「城を巡回していた兵士がネズミを見つけたと報告がありまして。」
「ネズミ?賊か!?」
「い、いえ!ただのネズミです!」
「馬鹿者!ネズミ位は何処にでもいるだろう!」
「そ、それがそのネズミには布が巻かれていまして・・・」
「そのネズミを連れてきてちょうだい!!!」
リリスは叫ぶように言った。
「ハッ!今すぐに連れて参ります!」
「このネズミです。」
「こ、これは・・・!!!直ぐにアリスをここへ連れてきなさい。」
「ハッ!」
「マ、ママ!言われた通りずっとお勉強してたわ!ホントにごめんなさい!」
「アリスそうじゃないの。怒ってない訳では無いんだけど違うの、貴女に見てもらいたい物があるの。」
リリスはネズミから布をほどきアリスへと渡した。
「これは、クラマが着ていた服の一部だわ!」
「やっぱりそうなのね!クラマは使役魔法を上手く使えたみたいね!」
クラマが使った魔法は使役魔法。
使役魔法は知能の低い動物や魔物を意のままに動かし、力がある者は人間やドラゴンでも操れる魔法である。
しかしクラマの力では、まだ小さな虫が精一杯だった。
クラマはエサを与える事によって主従関係を作った。
それにより、使役魔法は格段に効き目が出るとリリスに教わり成功したのだった。
「ルドルフ、このネズミに案内役をさせればクラマの所へ行けるわ!」
「兵士達よ!我が息子クラマを救出しに行くぞ!」
「「「「「ハッ!」」」」」
お読み頂きありがとうございます!
宜しければブクマや評価などしていていただけたら嬉しいです!
次の更新は月曜になるかと思います。