脱出
ゴトゴトゴトゴト
ゴトゴトゴトゴト
ゴトゴトゴトゴト
ギィイイイ!
「さぁ!荷物を降ろそう!」
「「「おぉ!!!」」」
「おい!蓋があいてんぞ!砂埃が入っていちいち洗わねぇといけねぇんだからちゃんと閉めとけって言っただろうが!」
「す、すいません!!!」
(ちゃんと確認したんだけどな・・・)
「後で洗って乾かしとけよ!」
「はい!」
俺は商人の親方っぽい人が弟子っぽいのを怒鳴っているのを横目にして。
(ごめんなさい!)
軽くお辞儀をした。
「クラマなにやってるのよ?」
「いや別に。」
「そうなの?まぁ良いわ。私はこれからお買い物に行きたいわ!」
「買い物だったら商人が城まで来てるじゃん。」
「ちーがーうーのー!私は見て回りたいの!」
「何が違うんだか・・・」
「あ、そうだ!ここまで連れてきてくれたしクラマにもお小遣いあげるわね!」
そう言ってアリスは俺に銀の硬貨を10枚渡してきた。
「ありがとう。でもこれどうやって手に入れたの?」
「それ?城に来ている商人の人に厨房にあるお塩をマナにバレないように売ったのよ!」
(悪知恵だけは頭が回るな・・・)
「ん?なによ?お姉ちゃんも頭良いでしょー?」
「たまには頭良いね。」
ポコンッ!
「たまには余計よ!」
俺は頭を擦りながら
「でも姉ちゃん、問題が一つあるんだよ・・・」
「なに?」
アリスは早く遊びに行きたいのか、落ち着きが全くない。
「バレずに帰る方法がない。」
「え?本当に?」
「うん。出る時と同じように帰るにしても荷物検査もあるし、門番を誤魔化せるとは思えないよ。」
俺の話を聞いてアリスは狼狽えまくって。
「ど、ど、どど、どどど、どうしよう!?」
「夕方の鐘が鳴るまで遊んで、怒られるの覚悟して正門から入るしかないよ。」
「だ、ダメよ!ママにさっき怒られてる時に城で遊んでいるのはまだ許すけど、城下に遊びに行ったら本気で怒るわよって言われたばっかりなの!また、お尻叩かれちゃうわよ!」
(お尻叩かれて泣いてるのかよ・・・)
「何笑ってんのよ!クラマだって怒られるんだからね!怒られるのが嫌だったらちゃんと考えなさいよ!」
「思い付かないよー。もう諦めて夕方の鐘まで遊ぼうよ。」
アリスは俺の言葉を聞いて唸って考えて。
「遊びましょう!時間が勿体ないわ!鐘が鳴ったら城の正門で会いましょう。」
そうしてアリスは走り出した。
(さて俺はどうしよっかな・・・)
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