閑話休題 その3 レオノール
一人残されていたガルバはキャサリンの言いつけ通り待っていた
だが夜には飽きてしまった。
夕方、1度家に返り妻には事情を説明してある
その後素直に店で夜中まで待っていたのだが
「ダイダロスまで行ったんなら4日は帰って来ないじゃねえか!」
気づくのが遅すぎである
しかし気づいたのならば帰ってしまうのが通理であるガルバは戸締りをしてから帰ろうと思い立ち上がると
ガラリと店の入口が空いた
そこに立っていたのはカンザキではなく、ましてキャサリンでもなくて
「鹿じゃねえか」
「あれ?ガルバじゃないか。カンザキは居ないのか?」
「まあちょっとな」
ガルバは説明するのも面倒くさいので適当にごまかす
「そうか、居ないのか」
「で、何しに来たんだよ」
「いやぁ3階増築の件でちょいとな。最近昼間に来ても閉まっていたんだが、今通りかかったら明かりが付いていたから帰ってきたのかと思ってさ」
「へぇ、増築すんのか」
確かシアさんは住み込みだから部屋が足りなくなったからなあとガルバは納得する
「そういや鹿酒飲むか?新作があるんだよ」
ガルバは酒屋であり蔵元である
先程帰宅した際に飲みながら待つつもりで持って来ていたのだ
そしてある程度酔が進んだ時であった
ドガアッ
魔法攻撃なのか
入口が派手な音を立てて吹っ飛びさらに鹿がガレキの下敷きになって吹っ飛んだ
「べぶらっ!」
「鹿ぁーーっ!!」
慌てガルバが立ち上がると壊れた入口を踏み潰しながら入ってくる男
ボロいマントをつけ大剣を握っている
「お前がカンザキか?死んでもらおう!」
そう言って男は剣を構えた
ウルグイン王宮
「今週の報告書になります」
それは数十枚に及ぶ紙の束だ
ダンジョンの攻略情報、魔石採掘量
人口推移と冒険者の人数
さらには土地の活用状況に食料自給率などなど
王の仕事の大半がその書類に詰まっている
基本的には目を通し確認するだけのものだ
だがその中に1枚だけ白紙が混ざっている
「ご苦労だったな」
そう言って王は王国の金貨を数枚渡した
王はその男が出ていくと白紙の紙を持ち魔力を通す
ほわりと淡く光ると文字が浮かび上がった
キャサリンの店及び焼肉ゴッド調査書
そう書いてある
それに熱心に目を通すと王はブルブルと震え始め
その手の報告書が燃え上がる
ふ、ふろに一緒にだと・・・
しかも一緒に住んで・・・ルシータとシアと・・
やはり・・・ルシータとシアは騙されているに違いない!
クナトを呼ぼうとしたところで王は
いかんいかん
クナトはレオノールに通じておる。
また止められてはかなわんからな
その夜
王は決意とともにこっそりと街へ向かったのだった
焼肉ゴッドの店舗を見つけた王はその入口から漏れる光に殺意が湧き上がる
「ふ、ふ、ふ、ファイアボール!!!」
震える声で魔法を唱えて入口を吹っ飛ばす
「ふはー、ふはー、」
余りの興奮のあまりに呼吸が荒くなり、破壊した入口へと足は1歩1歩力強く大地を踏みしめながら進む
もう完全に怪しい人である
壊れた入口を踏みしめながら店内に入るとそこには一人の男が酒を飲んでいた
そうか、コイツがカンザキか・・
私の可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い娘達をたぶらかしているクソ野郎か!!!
「お前がカンザキか!死んでもらおう!」
王は剣を振り上げたのだった
ウルグイン王宮
「なに!?王がいないだと!?」
レオノールは叫んだ
既に就寝の用意をしていたが
緊急の報告とクナトが訪ねてきたのだ
レオノールはキャサリンにもシアと違い父親似の美人である。
赤い瞳は同じだが大きく違うのは髪の色
金色ではなくどちらかと言えばシルバーに近い
そしてその胸は2人よりまだ大きく育っているし、身長も2人よりも高い
「はっ!おそらくは焼肉ゴッドに向ったものと思われます。執務室の片隅に燃え残っていた書類がございました。それは焼肉ゴッドを調査したと思われる文面がありました故!」
クナトはレオノールにありのままを報告する
クナトはレオノールに逆らえない!
「それで居なくなってからどのくらいたつの?」
「少なくとも数刻は経っているかと」
「あのクソオヤジ」
レオノールの目が赤く輝く
「連れ戻すわよ、クナト!親衛隊を集めなさい!」
シアお姉さまの恋路を邪魔するなんて許せない!
ただでさえお姉さまは23歳・・・
今までまったくと言って良いほど男に興味を示さなかった。きっとこれを逃せは行き遅れ確定!
あの男勝りのお姉さまに結婚してもらわなきゃ私が先に結婚なんて出来ないのよ!
私も相手はまだいないけど!
とりあえず障害物はあのクソオヤジね・・・
引っ捕まえて牢に放り込んでやらなきゃ
クナトが親衛隊を集めて回るその間にレオノールも「出陣」の準備を整える
「クナト首尾はどう?」
「ただ今飛竜が5体は出せます」
「充分ね。クナトは念のためあと一部隊を用意しておいて」
「分かりました」
クナトは礼をしたまま返事を返す
「姫様!準備は出来ております」
一人の美しい女性兵士がそう言った
レオノールの親衛隊は女性兵士のみで結成されている
「シャルロット頼むわね」
「はっ!」
シャルロットと呼ばれた女性兵士は敬礼をする
「今夜は少々手荒になってもかまいません。もしかしたらお姉さまとお会いする事になるかもしれませんが、何も見なかったふりをするのですよ!」
お忍びで行っているお姉さまの邪魔をしてはならない
かつて噂を聞いて焼肉ゴッドに行った兵士にはキツイ厳罰を与えたのもレオノールだ
それを知る親衛隊には万が一は無いが念を押しておく
「はっ!了解しております!」
そして王宮より、5体の飛竜が飛び上がった
街の空へと
閑話休題なのに1話にまとまらなかった(`・ω・´;)




