べひもすさん
俺は先程の転送陣の所に行って荷物を開梱する
衣類に食料、他の生活必需品も確認する
その中の水に毒素を確認
だが食べ物には毒はない
水か・・定番だなあ
水に入れておけば誰もが口にする
食欲が無いものが居たとしても、怪我人でも水は必要だからな
俺は水の魔石を入れてやると水は浄化される
とりあえずこれで大丈夫と。
そういえばここ水の魔石とかないのか
送られてきた物の中には包帯などはあるものの回復アイテムはなかった
これも狙ってのことだろうなぁ
手持ちの回復アイテムは足りないが大丈夫かな?
俺は兵士全員の容態を見る
医者ではないので使えそうな物はないかと魔法の袋をあさる
先日の鹿の角が一本まるまる残っていたので、もしかしてつかえるかなとすりおろしてからポーションに混ぜて兵士に飲ましてみる
おー。効くなあ
人体実験にならずにすんだわ
だがやらないとジリ貧だしな
飲んだ兵士はすぐさま傷は治り、毒によるバッドステータスも改善した。
とりあえず全員分を作り渡す。
ポーション侮れないな。欠損部位まで治してくれる
鹿の角のおかげで効果あがったのだろう
ハイポーションくらいの効果が出ているようだ
隣の部屋から歓声が沸き上がる
王妃と姫にも飲んでいただく
最後にミタニさん・・・
ベッドの布団をめくる
ひどいな
顔色はもう紫色に変色して体はぶくぶくに膨れ上がっている
性別すらわからない。
「王もこんな症状だったのか?」
俺は王妃に問いかける
「はい」
涙ぐみ、そして伏せる
思い出させてしまったか。ひどいことを聞いてしまったな
ポーションを飲ませてみる
どのくらい効き目があるのか・・・
そう思っていたのだが
膨れ上がった体は元に戻り顔色も戻る
ミタニさんは女性だったようだ。
伸びきった髪の毛で顔は隠れているがそのボディラインが布団に現れる
このポーションすごすぎる効き目だな・・
だがミタニの意識は戻らない
しばらくはそっとしておこう
そして次は食事だ
俺は兵士たちが寝ていた部屋へ行き、簡易ベッドを片付けて鉄板を置く
そしていつもの肉を焼く
病み上がりだが、そもそも食事はきちんと食べれていたから食材を気にする必要はないだろ
そして兵士に食事をさせる
体力つけさせないとな
そうしていると姫がやってきて
「ねえおじちゃまわたくしにもいただけますか?おいしそうなにおいがします」
と拙いしゃべり方でお願いされた
「ああ、いいぜ」
俺は小さく切った肉をタレにつけてさらに盛って渡してやる
「ありがとうおじちゃま!」
受け取った姫はお礼を言い王妃のもとに歩いていく
王妃は俺に会釈をしている
いい親子だ
それにしても毒入り食材を届けていたあたり、今の偽領主がやらせたのかはわからないがこの状況は分かっていたようだな
通信はうまくいっていた・・か
そして一気には殺さずに少しずつ毒殺か
ひどい事を、思いをさせやがる
ウルグインが平和だったのか?
ダイダロスが異常なのか?
まだ何か裏があるのだろうか・・・
そうして兵士全員と王女王妃が食事を終える頃
鉄板の隅でガツガツ肉を食べている一人の女の子
こんな子いたっけ?
「おい、そんなガツガツ食べなくてもまだあるから」
俺は笑いながら声をかけると
「おいしいよ~おいしいよぉ~」
泣きながら食べるツインテールメガネっ子
あれ?ひょっとして
「ミタニさんか?」
「ぼぇええ。ごくん。なんでボクの名前知ってるの?」
あ、はいツインテメガネっ子でボクっ子ですねそういう需要はあるのでしょうか?
「あれ?おっちゃん日本人?」
ま、この世界に黒髪黒目はあんまいないし顔立ちでわかるか
「そうだ。初めましてだな俺の名前はカンザキよろしくな」
肉を焼きながら言った
「そうか、ボクの名前はミタニ。今年で28歳だ!よろしくね!」
肉を食べながら言った
ちょ!まてぇ!
「はぁあああ!?28!?」
「おっと、この可愛い見た目に騙されちゃったかい?ごらんよこの大きなおっぱいを!」
そう言って胸を強調するミタニ
ああ・・確かにでかいですわ
でも見た目完全にがきんちょかと思ったわ
一切色気というセクシーさを感じませんわ
「そう言えばいつこっちに来たんだ?」
こっちとはこの世界のことだ
「あーそうだねえ。5年以上くらいにはなるかなぁカンザキさんはいつ頃だい?」
もぐもぐしながら聞いてきた
「俺はもう10年以上だな」
「そうか、先輩だな!よろしく頼むよカンザキ先輩」
けらけら笑いながら肉をつまむ
まだ食べるのか・・その栄養は全部胸に行くんだろうなぁ
「でだ、どうしたらいい?」
俺は聞く
ミタニはこのダンジョンに詳しいはずだ
「調査をしていたのは今年に入ってからなんだけど、おそらくこのダンジョンの下層に大きな空洞があってね。レアな魔石とかいくつか見つけていたんだ」
「続けてくれ」
「でいろいろ掘り返していたら古代の魔導兵器発掘しちゃってね」
さっきまで死に掛けていたのになんでこんなに楽しそうに話せるんだ・・
ていうか古代魔導兵器ってなんだよ
「壊れてたんだけど修理してみたら起動しちゃってさー」
しかも直してんじゃねえ!
「んで止めようとしたんだけどやられちゃってさー」
ほぼ自爆だ!
「そしたら転送陣つかえないわ、そのまま下層探索してるうちにぶったおれちゃうわで大変だったのさ」
ドヤ顔で言いやがった
「とりあえず帰るための転送陣はその暴走ゴーレムさんのそばにあるよ。たぶん」
たぶんってなんだたぶんって
「このダンジョンはおそらく60層までだ、んでゴーレムは暴走して止めらんないから最下層に叩き落としたんだよ」
ほぉ浅いな
「そういえばウルグインのダンジョンは100層あるんだっけ。まぁここは浅いんだけどシェルターだったようだね。ゴーレムも元は防衛機構だったようだしね」
シェルターに防衛機構?何かと戦っていたのか?
「さあ、それは魔王だったのかもしれないし・・」
しれないし?
「神獣ベヒモスだったのかもしれないね」
ベヒモス・・
あいつが街に現れたらやっかいだな
街中ででかい魔法とか危ないしなぁ
切るしかないかな
「まぁ魔王も神獣ベヒモスも居るかどうかわからない伝説だしね」
マユツバもんだよ!と言っているミタニ
ちょっとまて
「魔王もベヒモスもいるぞ?」
「へ?」
ミタニの間抜けな声が響いた
おおおお・・・終わらない・・・続く!




