牢で列車で魔石鉱山で
捕まった俺達は大人しく牢屋に入れられる
ガルバは泥酔して暴れる様で、別の牢に放り込まれる
よくある鉄格子の牢屋だ。
少し頭を冷やしてくれると助かるんだが。
俺は予想道り別室に案内される
そこはホテルのスウィートルームといった雰囲気
無駄に豪華なソファやテーブルにシャンデリアなどがある
部屋に通されるとドアを閉められた
カギも閉めたか
領主様が居るな
あとはいかにも強いですといった風貌の冒険者達が数名
「そこにかけてくれたまえカンザキくん」
俺についてある程度は調べはついていそうだな
まあこのホテルに泊まる予定だったからそのくらいは分かるか
「何故呼ばれたか分かるだろう?君の持つ神酒を譲って欲しいのだよ」
やっぱりなぁ
思わず神酒と叫んだ実際持ってはいる
「あれは咄嗟についた嘘でね、ガルバを落ち着かせるために言ったのさ」
正直に言う気はない
さて、どうするか?
「そう言うとは思ったよ。金ならあるぞ?いくらでも払おう。言い値で買い取らせて頂く」
そう言って領主様はワイングラスを傾ける
神酒はある
だがあれは酒のもつ本来の伝承とは異なっている物だ
神の造りし酒ではなく
神に捧げし酒だ。
そしてその意味はー
「残念ながら真実でね。持っていないよ」
俺はもう一度否定する
「そうか、残念だよ。まあそのワインを飲んだら帰りたまえ。君のお友達も酒が抜けたら開放してあげよう」
おお!?物わかりがいいな
だけど俺は余計な一言を言ってしまう
気になってしまったからな
「助かるよ。それでミタニさんはどこの出身なんだい?」
「どこ、とは?」
ピタリとワイングラスを持つ手が止まる
「あんた日本人にゃ見えないけど、日本の出身なんだろ?」
領主様の顔がピリリとキツくなる
「どこまで知ってる?」
やはり余計な一言だったか
今は二択だ
コイツが本物の領主の単なる影武者か
本来の領主を監禁して利用している奴
おっと、もう一つあるな
単なる影武者が好き勝手しているパターンだ
「どこまでか。なかなか含みのある言い方だよな」
「なんだと?」
「本物のミタニさんはどこにいるんだい?」
俺はそれだけを聞いた。
「チッ」
舌打ちかよ!俺はこう言うやり取りは苦手なんだよな
力ずくなら楽なんだが
「ミタニ様は北の鉱山の研究室においでだ。君は知り合いなのか?」
なるほど、知り合いに何かをするつもりが無いところをみるとある程度ミタニさんは力がある様だな
「会わせて貰えるかい?」
「どうしても会いたいのなら仕方あるまい。あの友人はどうする?」
ガルバかー。悪いが先に帰っておいてもらうか
「先に帰ったと伝えておいてくれ」
俺はそのまま領主のメイドに連れられて地下ある魔導列車に乗せられた
地下にこんなもんまで作ってたのか
すげえなあミタニさん
列車は三両編成で一両目に乗せられる
後ろをみるとドワーフ達が乗り込んでいる
列車内は日本人なら馴染みのある吊革や網棚まであった。
懐かしいな。本当に
魔導列車の動力源は魔石だ蒸気も無いところをみるとどうやって動かしてるのか分からないが・・・
エンジン・・・いや・・・ひょっとしてモーターか・・・
電力は雷の魔石でか・・
「なぜそれを・・・・」
ん?あ、口に出してたか
「確かにこの魔導列車に魔導車はモーターと呼ばれる技術で動いています。ですがそれは最高国家機密のはずなんですがなぜご存知で」
俺は黙った
「ミタニさまとお知り合いは本当のようですね。」
勝手に解釈してくれる
「あの方を・・・よろしくお願いします・」
彼女は深く礼をした。
これは監禁パターンかなぁ
魔導列車は進むその速度はどのくらいかは分からないが馬車で移動すると3日かかる距離をわずか2時間ほどで移動か
そこそこのスピードは出るんだな
そうして俺は魔石鉱山へと連れていかれた
駅につくとドワーフが続々と降りていく
俺は次の駅らしい
さらに奥へと、鉱山の奥へと続く線路
到着すると出迎えの兵士出迎えてくれる
そして俺が下りると、大量の荷物も下された
「その先の転送陣へ進んでください」
言われるまま転送陣へ入る
荷物も一緒だ
「それでは、よろしくお願いします」
そして光に包まれて転送された
そこは綺麗な部屋だった
どうやら室内に転送されたらしい
となりの部屋へ続く入り口に傷だらけの兵士が立っている
「ようやく冒険者が来てくれたか」
兵士は安堵の表情を見せ、倒れかけた
「なにかあったのか?」
俺はその兵士に駆け寄って抱きとめる
「ああ、情報は行ってないのか?くそ・・・通信は失敗しているのか」
兵士はそのまま気を失う
俺は扉を開けて隣の部屋に入ると、辺りを見回す
そこには複数のベッドがあり、兵士が寝ている
そのまま部屋を突き抜けて隣の部屋へ
先ほどのベッドよりもひときわ豪華なベッド
そこに一人寝ている
ミタニさんだろうか?
そして憔悴しきった女性とちいさな女の子がいる
「何があったんだ?」
俺が話しかけると女性が言った
「あなた様はどなたでしょうか?王は先日逝去されました、ミタニ様もご覧の通りです」
寝ているのはミタニさんか
そして王がなくなったと・・・本当に何があったのか
「ここはどこなんだ?」
質問を変える
「ここは王の書斎でした。そして今はミタニ様の研究施設でもあります。研究結果によれば、ここは元々ダンジョンだったことが分かっています」
なるほどそれで大量の魔石が発掘されると・・
その後女性の話を聞くと事情が分かってきた
このグラム鉱山は元ダンジョン。かつて完全攻略されていたのかわからないが書斎は50層にある。
今までは転送陣で出入り可能だが急に入ってはこれるが帰れない状況である
広い空洞があり、そこでいろいろな物をミタニ指示の下開発がされていた
ある日事故がありその際に下層への入り口が発見されると同時に帰れなくなる
帰ってこないミタニを心配した王がまずここに入る。
その後、帰ってこない王の様子を見に奥方と姫が来て帰れなくなった
兵士の何人かは帰ろうと下層に行くもモンスターが発生しており帰れない
ミタニさんが通信機を使うも何故か返事は来ないが、食料や医薬品、衣類などは転送陣で週に1度送られてくる
そうして半年が立つうちに王は持病が悪化
ミタニさんはダンジョン下層に挑み失敗
そうこうするうちにほぼ全員が原因不明の病気になってしまったと言う
もうなんとなく分かった
病気は食料だな・・それは手持ちで何とかして、一先ずは下層までおりてみるか
また続く




