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焼肉ゴッドの二階はキャサリンの店の二階と繋がってしまった。
その日のうちには一階店舗の厨房が繋がっていた。
カンザキは急に女性に迫られた事にまだ折り合いが付いていない。彼の人生はモテるとかリア充とかそう言った事とは無縁だったからだ。
こちらの世界に来た時に、最初は凄く期待はした
チートだハーレムがあるかもとか
だがチートはともかくそのときはダンジョンなんかはハーレムとは無縁の男の世界だったし、極少数の女性冒険者は相手がいるのが当たり前だったから
そんなこんなで異世界で10年近く過ごしてきて自分の店を持ち、地に根を張る事が出来た矢先の出来事に困惑しているのだった
「とりあえず鹿に二階の改装を頼んだよ」
カンザキは現在仕切りがない二階に、自室とシアの部屋、キャサリンの部屋とついでに三階を増築しようとしている。
なかなか大所帯になったものだなあと思う
シアにキャサリン、今はキトラとシルメリアもいる
昔食材を求めてダンジョンをさまよっていた時とはまた違う楽しさ、充実感があるなぁ
カンザキは鹿と図面を引きながら、楽しんでいる自分に気づいたのだった。
その日の夜
「えー。キャサリンと同じベッドは嫌なの?」
キャサリンがごねた
「お姉さま、あまりカンザキさまを困らせないでください!」
シアが怒る
ってあれ?お姉さま?そういえば
「なあ、シアはなんでキャサリンをお姉さまって言うんだ?」
確かそのうちキャサリンさまにもご挨拶しにいかないといけませんねとか言っていたが
「カンザキさまはご存知なかったのですか?ルシータお姉さまは私の実の姉です」
へー、実の姉かあ。
凄い偶然もあるものだなあって・・・ルシータって誰だ
「ちょっとまて」
王女の姉?だと・・
「シアは王女だよな?その姉って事は・・まさか」
背中に冷たいものが流れる
「はい。王位第一継承権を持つ第一王女です。数年前に行方不明になっておりましたが、まさかカンザキさまのお店の隣で酒場を営んでいようとは」
シアが困った顔で言った
まてまて、昔キャサリンから聞いたのは農村の出だと聞いていたぞ
たまたま女神に勇者に選ばれたとか言って
「キャサリンまさか」
「ばれちった」
ぺろりと舌を出して言った
「ばれちったじゃねぇえ!なにそれなにそれ!じゃあキャサリンは王女にして勇者で王位第一継承権があるってそれ!」
俺は何を言っているのか分からなくなってくる
まるで物語の主人公みたいな奴じゃねぇか!
それが何でうちの隣で酒場を!!
「え?お姉さまが勇者?勇者ってあの?」
勇者にまつわる伝説が伝わっていた。
もちろんかなり古い伝承だからおとぎ話としてだ
様々な本も出版されており、子供達の憧れでもある
そんな勇者に憧れた子供達は冒険者になって行くのだが
「あの勇者だよ?」
手をパタパタ振りキャサリンは舌をぺろり
俺とシアがあまりの驚きのあまり絶句していると
「いやぁ、別に言わなくてもいいかなーって」
「お、お、お、お姉さまは大事な事を言わなさすぎです!」
シアが怒る
うんうんわかる、わかるぞ!
「だいたい王宮を出ていったときも挨拶もなしで!」
「あの時は魔王倒しに行かなきゃって思ってさぁ。不安にさせちゃうかなあと言わなかったのよ」
「ま、ま、ま、魔王!?お姉さまは魔王を倒しに行かれたのですか!?」
キャサリンの奴何も言ってなかったのか
そりゃシアも怒るわ
ていうかどんどんボロがでるなー
「魔王はカンザキがなんとかしちゃったから私は何もしなかったんだけどねー」
キャサリンがそう言うとシアは今度は俺のほうを向いて
「カンザキさまが魔王を倒されたのですか?」
あれ?なんか怒ってる?
「お、おう。倒したっていうか更正させたっていうか仲良くなったというか」
そういえばあいつ今頃なにしてんだろ
とりあえず魔王軍の連中もいたから悪さしないように見張らせてたまんまだったか?
「へええお姉さまとカンザキさまは私に隠し事ばかりされているのですね」
あー目が座ってきたよ。なんか怖いよ
俺はぼそぼそとキャサリンに耳打ちする
「怖くね?」
するとキャサリンは
「お父様にどんどん似てきちゃってるわ」
そう言った
うわぁお父様つか国王に似てるのかー
会いたくないなぁ
ちょっとまて、王女二人もここにいるとか王が黙ってないんじゃないのか?
自由な家風だとか言ってたけど限度あるだろ
でもキャサリンも勝手に家出しちゃってたようだし大丈夫なのか?
カンザキは色々考えて
考えることを止めた
なるようにしかならないと
その夜の話は朝まで続いた
キャサリンも観念していろいろと隠していたことを話した
俺はまぁごまかしつつキャサリンとであったときからのことくらいで勘弁していただいたが
シアが納得する頃には朝になっていたけどな
俺自身も新たに分かったことがいくつかある
キャサリンの本名
そしてシアと結構仲が良いということも
それと気づいた事もいくつかあるが当面問題なさそうなので放置で決定!
ひとまずは焼肉屋を繁盛させてこの生活を謳歌してやろうじゃないか
それから1週間
カンザキの店の二階は無事に改装が終わった
ガルバが祝の酒を持って来てくれた時に頼み事をされた
「なあカンザキ今度酒を仕入れっつうか探しにいくんだけどよ、護衛してくんねぇか?」
珍しいな、護衛がいるとか
だいたいコイツ酒は密造してたろ
「こないだお前に秘蔵の酒をやったろ?ああゆうレアな酒を集めるのが俺の趣味でな、隣の国でオークションがあるんだわ」
なるほどそこに酒が出品されると言うことか
「うまく落札できたらカンザキにも少しやるから行かないか?」
そうだな行ってみるか
こうして俺とガルバは隣の国まで出掛ける事になった
予定では5日の行程だったにも関わらず
2人は二週間帰ってこなかった
登場人物達の説明回及びプロローグ的な感じになってしまった
とりあえず仮!変えるかも