焼肉ゴッドとキャサリンの店
翌日
カンザキとキャサリンはカンザキの言う、うまい鳥を探していた
「くそデカイ鳥でさあ」
「名前とか知らないの?」
「しらん。なんかダチョウみたいなやつかなあ。でももっとでっかい。」
「何ダチョウって」
「まあ、でかいヤツなんだわ。んで凄い強い」
探し回るがなかなか出会わない
2日ほど探し回っただろうかその間カンザキとは色々な話をした
カンザキの作る料理はとても美味しかった
ダンジョン内で色々見つけたらしい
それを教えて貰って私が一つ一つそれの名前を教えていく
驚くべき事に彼は魔法の袋を持っていた
出どころは不明だそうだがエリクサーや万能薬を持っているのも納得の超レア具合である
カンザキはまるで伝説の中に生きているような人だった
草原に出る
風が気持ちよかった
風が・・・
辺りは暗くなり、急に夜になったみたいになる
カンザキはきた!と言って空を見上げる
キャサリンも空を見上げると、そこにいたのは巨大な鳥
例えるなら王宮のようなサイズ
「おーいたいた」
いたと言うか出たんじゃないかな
しかもアレは・・・まさか
「よっしゃ、いっちょやるか!」
カンザキは嬉しそうに剣を振り回す
「ちょ、ちょっと待ちなさい!あれは神鳥じゃない!」
キャサリンは知っている書物で読んだことがある伝説上の神鳥
「まあまあ、あいつ色んな味がするんだぜ」
うん、聞いてないなぁ
「もう知らないから!」
キャサリンは諦めた
カンザキはポケットから魔石を取り出す
小さな風の魔石
それをカリッと齧ると
「ウィンドカッター」
初級魔法を唱えた
初級魔法なんて効くのかと思っていると
生み出されたのは竜巻、しかも有り得ないサイズ
常識ハズレにも程がある
これならば効くかもしれない
仕方なくキャサリンは背中の弓を構える
弓には矢はないのだが、弦を引くとそこに魔力の矢が現れる!
「召しませ、炎の君よ」
召喚魔法を唄う
「召しませ、炎の君よ!」
「イフリート!」
キャサリンが魔法を唱え矢を放つ
空中が歪みそこに現れるは
炎の妖精にして番人「イフリート」
全身が炎で出来ており燃え尽きることを知らない召喚魔法の極地の一つ
現れたイフリートが炎を放つとカンザキの風魔法と重なり威力は倍増する
キィィィンと耳鳴りがする
気圧が一気に変わったせいだ
神鳥が炎の嵐に包まれるが、
ばさり
神鳥が羽ばたくと炎が吹き飛んだ
「ウソ!魔力の炎が消えた!?」
キャサリンが叫ぶ
さらに神鳥の羽が降り注ぐ!
羽の一つ一つが人間くらいのサイズがあり、当たると致命傷は避けられない
2人は緊急回避するが隠れた岩を羽が砕く
カンザキが剣で飛来する羽を切り裂く!
切れ味が尋常ではない剣
イフリートが2人を庇うように立ち
なんとか助かるがイフリートは消えてしまった
そしてカンザキが
また、小さな魔石を今度は4つ
カリカリっと噛み砕く
「いくぞ、フォロー頼む!」
カンザキは飛び上がる
まさか、フライの魔法!?
カンザキは見た目通り剣士だ
なのに魔法使いにしか使えない筈の魔法を使う
さらには
「ホーリーレイ」
聖魔法!
使い手なんていたの!?
カンザキの唱えた魔法により光の柱が天空より降り注ぐ光に貫かれた神鳥のうめき声が聞こえて、ついに崩れかける
キャサリンはカンザキに負けていられないと思って奥の手を使う
魔王相手以外に使うと思わなかった魔法
キャサリンに魔力が集中する
カンザキはピリピリとした空気を感じ取り少し引いた
「いくよー!神鳥ジズ!」
叫ぶ
キャサリンは初めて出会う強敵に笑いながら全力を出す今まで勇者として覚醒した自分と同じに・・いや、自分以上に強い人など並び立ち戦える相手などいなかった
これは楽しい
溜まりきった魔力を魔法に変えて解き放つ
「レーヴァテイィン!!」
キャサリンの前にとてつもなく巨大な炎の剣が産まれる
炎の魔剣
それを神鳥ジズに向い投擲した
ジズの弱点と相性が最高だったのか直撃したジズは崩れ落ちる
だがさすがは神獣ベヒモスや神魚レヴィアタンと並ぶ伝説上のモンスター
タダでは倒れない
最後の力をふりしぼり巨大な魔力の死を呼ぶ風をキャサリンに向かって放った
キャサリンは全力を出した為か魔力が尽きた為か体が動かない
動かないけど信じていた
カンザキを
「カンザキぃ!」
叫ぶキャサリン
「おうよキャサリン!」
応えるカンザキ
カンザキはさらに魔石を齧る
そして唱える
聞いたこともない召喚魔法
「召しませ!剣よ!」
剣!?
キャサリンが疑問に思うが呪文は続く
「天之尾羽張、天叢雲剣、布都御霊」
カンザキはチラリとキャサリンを見る
カンザキの周りに浮かび上がる3本の剣
さらに呼ぶ
「倶利伽羅剣」
キャサリンは何を召喚しているのかまるでわからない
生み出されたのは精霊やモンスターではなく剣
まさか、武器召喚魔法!?
そんなものが存在するの!?
4本目の剣が出現するとカンザキはその全てを持ち
風を切った。
その風の向こう側にいた神鳥ジズごと
風は引き裂かれ消え去った
だがその剣の威力は衰えない
ザシュ
音がジズを切り裂いた
そしてジズは倒れたのだった
ジズはキャサリンとカンザキの容赦ない攻撃でボロボロになっている
「あー鳥がズタボロになったなあ。でも助かったよ前回は倒すのに丸一日かかったんだ。キャサリンは流石に強いなあ」
カンザキもフラフラになっている
どうやら同じように魔力が尽きたようだ
「ねえカンザキ、さっきの魔法あれ何よ」
キャサリンは少し怒った口調で言った
まず魔法の威力が違うし知らない召喚魔法を使った
カンザキは剣を持っているしその剣自体有り得ない切れ味だし剣そのものからも強力な魔力を感じる
それなのに使わずに倒してしまった
「いや、キャサリンがさあすげー魔法ガンガン使うから負けてられないと思ってさ」
パタパタと手を振りながら言った
「話を逸らさない」
カンザキの耳を引っ張る
「いたたたたたた!」
カンザキがキャサリンに引っ張られる
キャサリンは痛がるカンザキの耳を引き寄せ
頬にチュッとキスをした
「ふあ!」
カンザキが急に真っ赤になって固まる
恥ずかしがっているようだ
「あはははははは」
キャサリンはまた可愛い笑顔で笑うのだった
その夜
カンザキはジズを焼いていた
様々な調味料を振りかけたりして
「ほら、食べてみてくれ」
カンザキは差し出す
「いただくわ」
キャサリンはそれをパクリと食べて
「すっごい美味しい!」
「だろ?しかもだな、部位によって味が違うんだコイツ・・・他のも食べるか?」
「食べる!」
かつてルシータは勇者だった
たった1人で魔王と戦う筈の運命
だが勇者はカンザキにその運命を救われた
これが2人の出会い
それから数年後2人は店を開く
「焼肉ゴッド」
「キャサリンの店」
キャサリンは望み通り今もカンザキのそばにいる
とりあえず回想編おわり!
次回閑話休題その2