表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
焼肉GOD  作者: ちょせ
104/173

世界樹の天使2

「あーあ・・・行っちまいやがった・・・・ほっといたら、不味いんだろうなぁ」


それなりには強そうだったのですぐにモンスターに殺されるということはないだろう


この洞穴はよく見れば、木の根が入り組んで出来たものだと分かる


それはもうとても巨大な樹の根だ


その奥はうっすらと、ツタが輝き灯りがあることがわかる

だから灯りを失って迷子になることなどないだろうが


「まぁ・・・驚く程強いモンスターもそう居ないが・・・危険なんだよな・・」


そう言ってから、ふと考えて

シアでも苦戦するモンスターが居たのを思い出す


「探すか・・・」


カンザキはトボトボと奥に進んで行った



なるほど、確かになと奥に進みながらカンザキは思った

ところどころモンスターの死骸がある

強いと言っていたのは事実の様だ


だけどカンザキはそれがちょっと気に入らない


「食べもしねぇのに殺しすぎだろう・・・・」


だが、そうしないとこっちが殺されるので仕方がないのもわかっている

カンザキはアリアが打ち捨てていったモンスターを丁寧に〆てから魔法の鞄へしまってから進んで行く


「昆虫系も結構倒してるな・・・」


昆虫系は硬い外骨格に覆われており、中にも食べられるような部分はない

だがその硬い殻は良い素材になるため重宝されるはずなのだ


なのになぜ?


アリアはそれらを簡単に捨てて行ってしまったのだろうか、そう考えていたところで奥から轟音が鳴り響いてきた


その轟音はまるで雷が落ちるが如く巨大な振動と共に洞穴内に響いていた・・・




----------



アリアは今、冒険者になってほぼ初めてといって良いほどのパニックになっていた


その獅子型のモンスターは少しばかり大きな体躯をしていた


ガリガリと体毛に纏う雷もアリアには恐怖はなかった


だがー


その広間に飛び込んだ瞬間、眼が合った


アリアは身体強化魔法を唱えながら腰の剣に手を伸ばしていた


魔神鉄伸鋼合金による、伝説にさえ届くとされたとあるドワーフ匠の名剣だ


ギィィィン!


まさか!?


アリア渾身の一撃はいともたやすくはじかれてしまった

だがこういう時の彼女の切り替えは早い

動揺を一瞬で抑えきり、剣がだめならば魔法だと考える



まだよ!

属性はきっと雷ね。ならば得意魔法の炎でどうにかーいや、念を入れよう。

召喚魔法による炎だ

亜流だけどその威力は本物だ


「召しませ!」


「紅き炎の化身よ、我が呼びかけに応え顕現せよ」


「ーゼットー」


それは彼女の信じるある神の名でもある


ふわりと、現れたその神は自身が炎となって目の前の獅子に襲い掛かるがー


バシュン!


一瞬でその召喚された神が空間ごと消え去る


「閉じられた!?嘘!一兆度の炎よ!?」


マズイ!

奥の手!


「召しませ、召しませ!」


「深淵なる闇の王、蠅の王ーーーーーーー」






----------





呼び出された蠅の王はアリアが従える最強の一柱の悪魔だった

だが、落雷に撃たれたとたんに苦しみ、消えてしまった


それをきっかけにアリアの心が折れかけた


しかし転生とはいえ、二度目の生を謳歌しているアリアは、なんとか立て直して紫雷の行動パターンや撃破するための策を練っていた


練っていたのだが


「はぁ・・なんでよ・・成す術なしって・・・」


逃げようにも、二匹目の紫雷が入り口を塞ぐようにして現れてしまった


「ボス個体かと思ったら複数個体って・・・なんなのよここ・・・」


運よく見つけられた隠れれる場所で、気配を殺しつつボソっと呟いた

誰かに聞いてもらいたかったわけじゃない、返事が欲しかったわけではないのだが


「あー、おい、その、大丈夫か?」


不意に問いかけられたその声はカンザキのものだった

ドキリとして気配を消す事を忘れかかってしまう


「気配、ちゃんと消しとけ」


そう言われてハッとして再び気配を殺しきる

だがカンザキを見れば姿を隠すわけでもなく、ただ普通にそこに立っていた


なー・・・え?

気配を全く感じない

確かに、カンザキはそこにいる

でも、いない。

カンザキを見失い、ほんのわずかだけ時が流れた瞬間


ザシュゥ!


斬撃の音


見れば、二匹いた紫雷の二匹共が同時に切り裂かれていた


「ふぅ、もう出てきても大丈夫だ」


カンザキがそこに、気配も確かに立っていた


切り裂かれた紫雷の正体は、小さな、まるでウサギのような姿をしていた


「こんなに小さな?」


確かに、先程までは4メトルはあろうかと言うサイズだったはずだ


「こいつはな、怯えるとあの姿になるのさ。ほれ、こいつはお前さんがここに来るまでの間に無駄に殺したやつと同じだろう?」


カンザキに言われるままー思い返すと確かに覚えがある


「そんな・・・ありえないわ・・・・」


それは今までのモンスターの常識ではありえない事だった


「あの姿になっちまうと凶暴になるからな、気配を消して攻撃すれば簡単に倒せるんだがな」


アリアには自信があった

強さに裏付けされた自信だった

だが今の対応は出来なかったし、カンザキがいとも簡単に倒してしまった事に自信は失われていた

それはある事を思い出すに十分な出来事だった


「あとなあ、急に走り出すんじゃねぇよ。ここはちょっと特殊なんだからよ」


カンザキはそう言うと、洞穴の奥へ進み始めた

アリアはただ、悔しさを滲ませながらカンザキの後を付いていくだけだった


アリアは転生前はあまり優秀とは言えない子だった

勉強や運動は普通

ただ友人は少なかった

転生してからというものは、それらは全てガラリと変わってしまっていたので忘れかけていた

この世界では勉強は出来るほうだったし

身体能力も高かった

友人は両手の指でたりないどころか、家族の指まで必要なほど多くなった


「私ね、実は見た目通りの年齢じゃないの」


ボツリと呟いた


「ん?どうした急に。見た目通りじゃないって10000歳とかか?」


「あはは、なにそれ。まあ、多分40歳くらいかな。バラすけど私、前世の記憶があるの」


「前世?そりゃまたなんとも胡散臭い話だな」


「そうよね、この世界で生きてる人にはそうなんだと思うわ。まあ、冒険者になって数年でSSSクラスにまでなれた理由がそれなの。前の知識っていうのかな・・チートね。あと女神様にいろいろ貰ったもの」


「そりゃまた凄い話だ」


「信じてないわね!?」


アリアが打ち明けたのは初めてではないが・・・いつも信じてはもらえなかった

だけど、カンザキだけはなぜか信じてくれる気がしたのだった



洞穴を淡々と進む

途中、大きな川の流れる場所がありそこで休憩を取ることにした


「凄いわ・・・こんな大きな川が洞窟の中に流れているなんて・・・」


「ん?違うぞ?ここは洞窟じゃない」


「え?」


「世界樹の、中だ」


一瞬カンザキが何を言っているか分からなかったが、アリアは思い出した


「そうか、異世界、よね」


もはやこの世界で生きている方が長い

だからすっかり忘れていたがやはり根本にはあの、日本の常識があった


「それにしてもあなた、凄いわね」


「何がだ?」


「こんなダンジョンの深層にまで来ているなんて・・・何回層くらいなのかしら」


「確か4500階層辺りのはずだ」


「は?何言ってるの?4500層なんてあるわけないじゃない・・・」


思わず声が出た

アリアにとって、ダンジョンとは200階層が最深階層だったからだ

続きがあるとも思っていなかった

ダンジョンは制覇したとーそう思っていた

事実、他のSSSクラス冒険者でも、170階層までしか聞いたことがなかった

確かに200階層は広大だったし・・・


「何って・・まぁそろそろ行くか」


カンザキは手早く広げていたカップなどをしまい込む


「その袋・・便利ね」


それはそうだ、大抵の物が入ってしまう袋などダンジョンでこれ以上便利なものもないだろう

それに、カンザキが淹れたのはコーヒーだったが、あっさりとして飲みやすかった


この世界で快適に暮らす為、アリアは努力を惜しまなかった

もちろん、亜空間収納にも挑戦はしていたがどうしてもそれは出来なかった

この世界における法則がどこまで許容されているのかそれが分からなかったからである


今、アリアはカンザキのもつ魔法の袋の認識を得た

だからきっと彼女はいずれそれにも挑戦し、成功するだろう


ただ、今はまだ調子に乗っている感が否めないー



更新がこの時間帯って我ながらどうかしていると思う。


連休って怖い


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ