NO.9 逃走
NO.9 逃走
走設計上、大気圏内で全速力をだすように出来ていないため、旧式とはいえ防御重視の設計をする第一研究所の巡洋艦でもかなり船が揺れる。
一体何分経ったのか。もしかしたら数十分経ったのかも知れないが、あの生物を見ていた艦長が、よし、あいつはあきらめた様だ。巡航速度に戻せ。と言ったので、恐る恐る巡航速度に戻し自動航行にした後、艦尾を双眼鏡で覗くとあのドラゴンのような生物が此方を悔しそうに眺めているのが見えた。
それを見たら緊張が解けたのか、先ほどの揺れの酔いが押し寄せてくる。とりあえず操舵席に座って休む事にしたが、たどり着く前に強い吐き気が襲ってきた。
「顔色が悪いぞ。船酔いなら操舵代わるぞ?」
「うぅ…。お、お願いします。」
「しばらく部屋で休んでろ。」
平気だと思いたかったが、運良く吐かなかった程度で体調はとても悪い。艦長の言葉に甘えて休憩させていただくことにした。
その後、多少は体調が良くなってきたので航海艦橋に向かう事にした。航海艦橋には艦長といつの間にか通信士がいた。
私は艦長に、代わります。ありがとうございました。と言うと艦長に、もう大丈夫なのか?聞かれた。私は、大丈夫です。十分休みました。と説明すると艦長は、そうか。ならいいんだ。といい操舵席を私に預けた。
私が席に座ると通信士が何か話し掛けようとする素振りを見せたが、何か話しかけにくい事情があるのだろうか、通信機のほうに顔を向けた。
「此方、輸送艦キャリスプ。着港許可を求めます。」
「此方、交易基地管制室。キャリスプ!無事だったか!」
「ああ。さすがに奴は音速を超えれなかったらしい。亜音速で巡航していたのが良かった。続きはまた後で話す。」
いつの間にか通信機をとっている艦長が話している。艦長の交友関係はどうなっているのだろうか?
「あー。まあいい。とにかく、第三ドックへの着港を許可する。」
そうして船は第三ドックへ入港した。
これからは数日おきに商館とやり取りをするだけである。
そうして我々の初の航海は終わりを告げたのだ。
手抜きみたいな品ですが、これでこのお話しはおしまいです。
シリーズとしては続きますが。