NO.4 巡航
NO.4 巡航
「交代の時間です。」
外の様子に飽き飽きしてきた丁度その時、後ろから副航海士に声をかけられた。ほとんど自動航行だからと、うとうとしているうちにそんな時間になっていたらしい。ああ、そうだった。頼む。と言いつつ私は操舵席を譲り、副航海士しかいない航海艦橋から抜け出た。
16時間程の空き時間をどの様に使うか考えながら迷路のような艦内通路を歩く。この船が軍属だった頃のままの通路だ。少し歩きにくい通路を進み、自室に入ると出発時と全く変わらないベッドとデスクがある。少し肌寒い通路に先程までいたためか目が覚めてしまったようだ。仕方がないのでデスクの引き出しの中から注文表を取り出し、ベッドに寝っ転がりながら眺めることにした。
艦隊は特に問題もなくジョレーク5-4とジョレーク5-3の間にあるアステロイド宙域に進入する。アステロイド宙域でも安全な航海を保障する接近防衛システムの起動音が低く響き、船は少しばかり減速した後その中を進んでいった。時折シールドにアステロイドがぶつかる音(本当はシールドの出力が一瞬低下し、また元に戻る音)が響くが、船はそれ以上速度を落とさずに進み、私にローテーションが回ってくる頃にはアステロイド宙域を抜けた。
「艦長、交代の時間です。」
私が操舵席の後ろから声を掛けると艦長はこちらを振り返り腕の時計をみたあと私の方を見て、そうだったなぁ。じゃあ、頼んだ。と言って席を空け思い出したかのように、問題があったら連絡してくれ。と言い残し航海艦橋を出て行く。私は誰もいなくなった航海艦橋で一人、遠くで光り輝くジョレーク5を眺めたあと操舵席に座り、こっそり持ってきた小説を読み始めた。
接近防衛システム
シールドで防ぎ、それをすり抜けて来たものをCIWSで撃ち落とすというとても簡単なシステム。
シールドだけの時もある。




