NO.3 航行
予約したつもりがされてなかったらしい。
NO.3 航行
船は青白く光る壁、輸送ゲートに進入する。一瞬視界が途切れた後ジョレーク1-5-4のゲート管理室に出る。通信士が管制室に連絡をすると味気ない返事とともに隣の薄緑色のゲートが開く。ベレークジャンクションに着くまでにもあったが無人ステーションは面白みが無いものだ。私は館長の指示に従いながら薄緑色のゲートに進入した。
視界が途切れた後ジョレーク5-5-1のゲート管理室に出る。ジョレーク5-5-1は小さな工場もある歴とした基地だ。検疫検査が済み、ジョレーク5-5-1ゲート管理基地の外に出ると右舷に深い藍色をしたガス惑星ジョレーク5-5といくつかの衛星が見え、後ろには今回ジョレーク5-2へと共に向かう予定の国有大型多連結空間輸送列車一編成と交易基地に着任予定のフリゲート艦二隻と軽巡洋艦一隻がこちらへと向かって来る。
「艦長。後ろの軽巡洋艦から通信です。」
通信士が艦長にそう伝えると、艦長は通信機を受け取る。
「此方はステルス輸送艦キャリスプ艦長クロムだ」
「此方は722番護衛艦隊旗艦S型軽巡洋艦エジェアバト艦長イスハークだ。連絡の通りジョレーク5-2交易基地まで航海を共にしてもらう。隊列は此方で指定させてもらった通りだ。しばらくの間よろしく頼む、クロム艦長。新人たちにもそう伝えてくれ。」
「ああ、しっかり伝えておく。」
艦長は通信機を通信士に返しこっちを見て、よろしくだとよと少しばかり笑いながら言った。
私は送られてきたポイントに船を動かし、窓の外の星空を眺めながら目的地での陽気な生活を想像していた。下調べでは交易基地の娯楽は少ないそうだ。何か暇を潰したりするためのゲームソフトでも予め注文しておけば良かった。仕方がないので後で自室で注文表でもあさっておこう。きっとこの美しい星空もそのうち見飽きるだろうから。
念の為の解説
大型多連結空間輸送列車
簡単に言うと宇宙用の貨物列車です。
積み荷に合わせて貨車の数を調整することで効率よく大量輸送できます。
ジョレーク5-5-1 (もう察している人もいるかも知れないが)
ジョレーク宙域の5番目の
第5惑星の
第1衛星 という表記です。