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プロローグ・[あたしの人生はまだまだこれからなんだから]
(木曜日)
家の近所は坂道が多い。
そのなかでもひときわ長く高い坂道があって、上に着くとさらに階段がある。
その階段を登ると、鉄棒と砂場とすべり台があるだけの公園にたどり着く。
そこがその坂道の頂上。
今私がいるところだ。
街の風景を見回せるこの場所は私のお気に入りの場所の一つ。
夕日のキレイなオレンジ色が街を包んでいる今日、今の私は、この夕日に負けないくらい清々しい気持ちで公園の入口で仁王立ちをしている。
すると、視界に見える最寄り駅から電車が走っていった。
私はポケットに入れたいたMDのイヤホンを付け、曲を仁王立ちのまま聞いた。
静かなギターの音。
これを聴くと勇気が湧いてくる。
それと同時に涙が出てくる。
さっき走っていった電車の方へ私は、息を思いっきり吸って、
「アンタなんかに元気づけられるなんてー!!あたしの人生はまだまだこれからなんだからー!!!」
と、叫んだ。
こうして、私の初恋は終わった。