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真なるチートの活用法  作者: ぽむ
一章 マズワ王国編
3/25

イナーカ村

 第一村人を発見するために、周辺状況を調べる事にする。とはいえ足を使って目で確認というわけではなく、『チート解析』があるので周辺のこの世界その物にアクセスし状況を確認する。ついでにこの機能はよく使うと思われるので使いやすいようにカスタム化してチートコード化する。


「コード化はこんなもんかな…… よし『周辺探査』ON」


 インターフェイス的にはMMORPG的な周辺MAP表示に生命アイコンを表示する形だ。将来的には敵味方で色分け表示したい所だが今のところは敵味方を判別するための解析情報が足りないため、一定以上の大きさの生命の存在を示すだけの形だ。ただ、一応人間の形態は自分を参考にデータ形式を類推出来るため、人間とそれ以外の生物の違いはたぶん区別を付けられる。


 探査範囲を拡げていくと、約3㎞離れた場所にこちらに向かってくる人らしき生命体が近づいてくる。さらに細かい情報を得るためにインターフェイス上の該当アイコンをクリックしてステータス情報を表示させる。


------------------------------------

名前:アイラ・デル

年齢:21

Lv:15

HP:28/31

MP:18/18

筋力:22

耐久:12

賢さ:7


スキル:

なし


称号:

『イナーカ村守衛』

------------------------------------


 村の守衛がこっちにやってくるという事は、恐らくさっきのプラズマ爆発の調査なんだろうなぁ……。少しの間だが森林火災のようにも成っちゃったし、その影響で煙も、焼けこげたような匂いも完全には消えていない。爆発時の光と音はとんでも無かったし恐らく周辺の村からも見えたんだろう。まぁ焼けた物は全部正常な物に置き換えちゃったから彼女が痕跡を探すのは無理だろうけど……。


 さて、俺としてはどう対応するべきかな。意思疎通には『翻訳』があるからコミュニケーションを取る事は可能だが……


 ここは気付かれないように隠れるとしよう。てなわけで適当な木に登って様子を見る。


 木の上で今後の事を考えながら20分程待つと視認可能な場所に件の人物が現れた。こちらには気付いていないようだ。ちなみに隠れた理由は簡単だ。現段階で接触する気は毛頭ないからである。


 ぶっちゃけると、今出て行ったらさっきのプラズマ爆発の事を確実に聞かれるしメンドクサイ!面倒事は無いに限るのである。


 ただ、データの解析及び収集はじっくりさせて貰う。この世界でどんな服が一般的なのか?どんな生活習慣をしているのか?とか、その他にも人間同士の個体差の調査など知っておくべき事は山のようにある。


 世界の情報収集に関しては、大まかな事なら神様と雑談で聞いてはいるのだが、詳しい事は実地で見るしかない。出来ればあまり不自然のないレベルで世界の常識を知った後に村人と関わりたい。どうせチート能力のおかげで自分が死ぬ事は無いのだし、時間をかけてじっくりと情報を集める事にきめる。


 理想はひとまず彼女を気付かれないように観測、解析をする。彼女が村に戻ったら、今度はデータ収集範囲を村全体に拡大し、数日を村の観察に当てる、そして生活習慣なども含め、解析データをより完全な物にする。


 木の上でじっとする事1時間程、彼女はこのあたりをしばらく探索していたが何も見つける事が出来なかったのか村へ帰っていった。俺はその間に彼女のデータ解析を十分にし、視覚と聴覚のデータをリアルタイムで表示できるようにする。これで俺は森にいながらにして村の情報や生活習慣が手にはいるわけだ。


 思考や記憶まで読み取れれば一番良かったのだが、これを解析するのは人一人の人生だけに、かなり時間が掛かりそうだ。具体的にはその人が過ごしてきた時間分ぐらいは掛かってもおかしくはない。まぁ賢さが振り切っている俺なら実時間は大して時間が掛からないのかも知れないが、体感時間は違う。集中する事で常人の99兆倍の処理スピードがあっても、実時間1秒は体感時間は99兆秒なのだ。通常時間で人生一人分の時間をトレースしようと思えば、賢さで解析を加速した所で体感時間はやはり人生一人分なのだ。ぶっちゃけ精神が持たないと思う。まぁ将来的には解析できるようにするとしても今は盗聴で十分だろう。


 彼女が村に帰った後彼女を中心に周辺探査をかけ、村全体を把握する。村はそれ程大きな物ではなく50人程の集落だ。その50人全員に解析を掛け、視覚と聴覚をハッキングする。賢さを上げた所為で並列思考も可能になったため全員の状態をリアルタイムで確認しつつ、森で適当に小動物などを狩りをしながら一月程過ごした。


 それによって解った事はアイラの胸は可哀想なくらい洗濯板という事だ。本人も気にしているが周辺の悪ガキ共も事ある毎に『洗濯板』を連呼して彼女の精神をえぐる。ちなみに村一番の美人でオッパイさんはフローラさんという村長の姪である娘だ。ちなみに視覚を完全に把握しているために身体の黒子の位置からそれぞれの性癖までバッチリ把握済みである。悪ガキの一人であるロイはよくフローラやアイラの行水を覗いて叱られている。洗濯板もメロン胸もイケルとは将来が頼もしい!


 って、違った。村人の性癖なんざどうでも良い。そんな事に俺はこれっぽっちも興味ない。うん本当だ。


 今回の調査で解った事をまとめると、この世界の名前は『テケートウ』、『イナーカ村』の所属する国の名前は『マズワ王国』。


 うん、言いたい事は解る。翻訳によってこれらの名前の意味は、この世界の住人にとっては意味不明であることは解っているのだが、明らかに日本語で「てけとう」「田舎」「まずは」と、明らかにいい加減なネーミングをしている。


 神様も言っていたが、この世界自体が下級神の練習用世界であって、名前の付け方がもの凄くいい加減なのだ。下級神はこの世界という箱庭にある程度出来合の生命や国の形式、生物をコピーして配置し、数百年から数千年のあいだ生物を観察する。観察の目的は生命や精神の本質を知る事だ。


 観察期間中、神は世界に対し天災を発生させたり、魔王を発生させたりしてストレスを与え、それによる精神の変化なども観察する。また特定の種族が減りすぎても困るので、絶滅すると困るような種族に対しては加護を与えたりして種の存続を図ったりもする。


 下級神は定期的にこの世界で得られた生命に関する事をレポートにまとめ、上級神に提出する。それが認められれば晴れて中級神に昇格できるのだ。人間世界に例えると、大学での卒論研究のようなものである。様々な状態においての精神の動きを把握する事が神の格を上げる手段となる訳だ。


 そう、この世界はあくまで下級神のレポート作成のための練習用世界であって名前なんてど~でも良いのだ。恐らく直前までこの世界を管理していた神は日本贔屓だったのだろう。


 まぁ日本のエンターテイメントは素晴らしいしね。案外神様にもファンが沢山いるのかも知れない。そんな訳ではじまりの国であるマズワ王国には本気でテケトウ地名が盛りだくさんだ。最寄りの街は「コ・アラーノ街」だし、「カブ・キッチョウ」なんて言う風俗に特化した町まである。いい加減ネーミングにも程がある。


 数百年、数千年前に作成された世界なのに何で現代日本名が採用されているかって? それは時間の進み方が違うかららしい。元の世界での一日はこっちの世界に換算すると千年とかの無茶な時間比『設定』も可能らしい。あくまでこの時間比率は『設定』でしかないので当然同じ時間の進み方にも出来る。が、下級神は見かけの結果を早く上級神に提出するためにこの設定を大幅に上げてレポートを作成するのだ。ちなみに今の設定は上級神にレポートを提出した時のままなので、等倍比率に成っている。上級神が『可』の結果を出すにもレポートを読んだ後に実物の確認も必要なので、時間比率を上げたままにしておくとレポート読んでから世界を確認しようと思ったら全部の国が滅んでたなんて事になりかねないからだ。


 うむ。ちょいと(?)脱線した。で様々な情報を集めた結果マズワ王国の周りには宗教国であるメルーザ法国、軍事国家であるグライト帝国、獣人亞人などが多く住むカレリナ共和国などがある。マズワ王国の特色は正に周囲の3つの国の平均のような国だ。宗教もそこそこ、軍事もそこそこ、獣人も亞人もいる。というかマズワ王国が大きくなった事でそれぞれの国に分裂したと思われる。まぁレポート作成期間は最低で数百年単位だ。なんどか分裂しててもおかしくはない。幸いな事に新しい国の名前や地名はこの世界の住人が付けているので『何処の日本語?』って言う地名で無い所が救いかもしれない。


 村の状況としては、中心部に村の住人の殆どの家が建ち並び、周囲に農家と畑が存在する形になる。文化レベルはかなり低く、当然のように電気ガス水道などは存在しない。飲み水は基本井戸水で、農業用水は川から引き、生活排水は川へ流す。トイレなども川に近い家はそのまま川へ、そうでない家はオマルというか、オケに用を足し一日一回川に流す。電気等の明かりがないので、日の出と共に生活を開始し、日が沈むと基本は就寝となる。


 食事は一日2回。朝と昼のみ。量はかなり少なく、そんなんでやっていけるのか?と思う程の量しか食べられない村人が結構いる。その所為で村人は総じてやせ形が多い。村で比較的良い体格をしているのは食料確保の特技を独自に持っているか、その恩恵にあやかれる者だ。そう言う意味で典型的な例がフローラだ。オッパイはある程度飽食でないと大きくならないわけだが、村一番の美人でオッパイさんのフローラはほんわかした外見とは裏腹に罠の名人だったりする。めざとく獣道を探し出し、罠を仕掛けることで食べるのに困らない程度の獲物を確保できる才能がある。あのほんわかした顔で、獲物を解体する様子は、スーパーで加工肉を買うのに慣れた日本人からするとちょっぴりショッキングな映像だ。


 教育レベルは総じて低い。義務教育みたいな物はなく、教育と言える物があるとすれば寝る前に家族から寝物語として様々な話を聞く程度ですましているっぽい。まぁ物を数える程度の足し算引き算レベルは教えているようだが、それ以外の知識は生活に直接関わる農業の仕方だったり、狩りの仕方だったりを教える程度だ。そのため識字率はかなり低い。


 文字の読み書きが出来そうなのは村長と跡取り息子、薬師兼医者の魔導師、そして国から派遣された専属守衛の勤める人間ぐらいなもので他の村人は基本文字が読めない。


 家族に関する捉え方も現代日本とは随分違う。子育ては村の大人全員で行い、村その物が大きな家族、共同体と言う意識が強い。一応夫婦という括りはあるが、性に関しては割と大らかであり、妻が夫以外の男としちゃったり、夫が妻以外としちゃうのも本人同士が納得していれば全然ありっぽい。この辺は西洋文化が入ってくる前の日本の性文化に近いかも知れない。昔の日本では男が精通したらその親や姉、親戚などが性の手ほどきをしたし、女の場合でも初潮を迎えれば成人の儀式として親や兄、村一番の男に破瓜をさせ成人とした風習が多く見られた。


 まぁ小さな村では全員が手を取り合って生きていかねばやっていけないわけで、そう言う意味では村人全員が家族同然というのはある意味種の存続という観点から正しいといえる。娯楽も少ないし。ま、過去の日本でも血筋を重んじる身分の高い層の人間はこんなフリーセックスでは無かったわけだが、それはある意味力あるものの贅沢とも言える。


 このへんの貞操観念は国や地方の違いで変わってくる可能性は大いにあるが……。


 このフリーセックス状態は仲間意識を高めて村全体の協力体制を強める事が可能ではあるが、性病が一旦発生するとあっという間に蔓延するリスクも背負う。基督教で『姦淫する無かれ』という文言が出たのも当時性病の蔓延が問題になったからに過ぎず、その過程で一夫一妻制が産まれた。ぶっちゃけ先の文言は『産めよ増やせよこの地を満たせ』にある意味反する訳だし明らかに後付だ。


 そのあたり、この世界はどう対処してんのかな?と調べた所、医者である魔導師の所有する本|(内容は全てコピーして把握済み)によると案外簡単に魔法による治療が可能らしい。


 例えば現実世界で解毒と言えば毒毎にそれぞれの解毒薬が必要になるが、魔法の場合、大抵の毒は解毒の魔法一発である。何故のこの世界が下級神の練習用なのかという理由が良く解る事例だ。要は面倒な事は魔法という力を与えて一括処理させてしまい細かな事で想定外の問題が起きないようにしているのだ。それによって目的の事例を観察しやすくしているのだろう。まぁ俺の『世界システム解析』と『世界システム操作』も物理化学法則を完全に無視なチートではあるが、魔法もそう言う意味では世界に小さくチートを起こす為の機能のようだ。


 と言うわけで、自然発生的な怪我やウイルスなどによる病気の殆どは初級治癒魔法でカタが付いてしまう。この世界での初級治癒魔法で直せない病気となると想定外の新種のウイルスか、呪術的な力を持つ病原菌になる。まぁ通常のウイルスも生物として見るならば、それに対しての攻撃魔法が治癒魔法であるので、呪術的な力を持とうが、それに勝る強い攻撃力で攻撃すればどんな病気も治せるという意味でもある。


 まとめとして、取りあえず性病程度はこの世界では風邪と同じ括りと言う事だけは解った。となるとあらゆる場所で、血筋を重んじない庶民間ではフリーセックスの可能性が高いことになる。まぁこの辺も要データ収集だな。


 その他にも魔術書に載っていた魔法を解析、研究する事でより自身のステータスパラメータの精度を上げる事に成功した。


------------------------------------

名前:国光啓二

年齢:17

性別:男

Lv:999999999999999

HP:999999999999999/999999999999999

MP:999999999999999/999999999999999

筋力:999999999999999

耐久:999999999999999999999

魔力:999999999999999

賢さ:999999999999999

精神:999999999999999999999/999999999999999999999

生命:999999999999999999999

カリスマ:0


スキル:

『翻訳』『世界システム解析』『世界システム操作』


チートコード:

『周辺探査』:ON

『無敵モード』:ON

『弱点消去』:ON

------------------------------------


 一応詳しいパラメーターの個別説明をすると


 Lv:

 所謂強さの目安であり、魔法による『看破』などで相手の情報を探る場合、自身のレベルが相手よりも高くないと成功しない等がある。俺の能力行使には全く無意味なパラメータではあるが、魔法による自身の正体を探られない為に一応上げておく。ちなみにざっと世界全体を検索した所、最高レベルで962の神竜と呼ばれるドラゴンが居たぐらいで、人間などの場合修行している人間で50、最高レベルでも100に届かない。このへんは上げようにも寿命が足りないと思われる。人間以外の長命種族にはちらほらと100越えの猛者も見られた。


 HP:

 所謂全体の命の総量。腕などが切り落とされた場合、『8/10(-2)』と言う形で表示される。ちなみに心臓や頭などの重要基幹の減点はほぼ最大HPと同じ減点であり、それらの部位が欠損すると分母が0以下になり死亡する。


 MP:

 魔法を使うための燃料、マナの保有量を示す。MPが多くても魔力が少なければ大した魔法は使えない。


 筋力:

 筋力は筋力そのままである。ただし、どんなに筋力があろうとそれを操る神経『賢さ』が発達していなければ十全に使えない。


 耐久:

 所謂防御力。主に物理攻撃の他に、病気や毒への抵抗力も含む。ミクロ的な言い方をすれば細胞の強さである。細胞同士の繋がりも含む。どう考えても物質的な分子構成から想定される以上の耐久力を所持できているのは、魔法的というか、世界システム、この世界における物理魔法科学法則その物のサポートにより実現されている。というかチート自体が世界システムに割り込みを掛けているので、物理的におかしそうな数値は全てこのシステムによって実現している。

 

 魔力:

 MPが貯水タンクなら、魔力は蛇口の大きさである。一度にどれだけのマナを使用できるのかと言う数値になる。大規模な魔法を行う場合は当然莫大な魔力が必要になる。ちなみにこの世界で俺を除く最大の魔力は神竜の2447である。


 賢さ:

 頭の回転の速さ、神経の伝達速度になる。科学文明における現実的な解釈ならば伝達速度は物理的に色々と限界があるのだが、そのへんは耐久と同じように、世界のシステムで補助されている。


 精神:

 普通に精神力。精神力は様々な事で増減する。ショッキングな事が起きればガリガリ削れる。また魅了や混乱等、精神に働きかける魔法に対する防御はこの数値が重要になる。一定値以下になると精神系状態異常に掛かりやすくなる。


 生命:

 一ヶ月にどれ位HPが回復するかになる。大抵の人間は最大HPの十分の一以下で、腕などの単純骨折の場合は完治するまでに一ヶ月程掛かる事になる。ちなみに俺の場合は、無敵モードを解除した状態で重傷を負っても、即座に回復するレベルだ。


 カリスマ:

 簡単に言うと第一印象。ギャルゲ的に言うなら好感度の初期設定値である。好感度における0は何の関心も示さない。マイナスになると不快感を増す。好感度計算は足し算引き算の他に掛け算もあるので、あまり大きい数値はヤバイ。可愛さ余って憎さ百倍的な、期待が大きい程期待を裏切った時、それは容易く反転し高いマイナス値に陥りやすく非常に危険だ。ぶっちゃければこの数値を大幅に上げても人が寄って来やすくなるだけで、トラブルを増やし面倒なだけだ。なので第一印象は何とも思われない0に設定してある。


 『周辺探査』

 周囲の地形情報に加え、其処に存在する人間、魔物、動物などを認識する。効果範囲は自由に拡げる事が出来る。また特定の人物や品物を登録する事でそれらを地図に表示、追跡する事も可能。またアイコン化されたマーカーから個別にステータスを呼出しや操作も可能となる。更にこちらに敵意を持って居る居ないの判別も可能で、一定範囲内に敵意を持っている者が侵入した場合アラートを出す事も可能だ。今現在、認識している動物や魔物の敵意に関するデータは十分に取れているが、複雑な精神構造を持つ人間についてはまだデータ不足なので敵味方判別の精度はまだ低めである。ちなみに好感度パラメータは実際の敵対行動とは少し違うのでこれを参考にする事は出来ない。


 『無敵モード』

 HPとMPの固定の他に、精神の固定、毒や魅了に対する状態異常耐性、即死への耐性。各種魔法による干渉の完全カット等、完全なる不可侵を実現する。これを突破するには自分と同じ世界への管理権限が必要である。


 『弱点消去』

 無敵モードがあれば必要ないのだが、将来的にOFFにする事も考えて作成。人間の場合、脳や心臓がやられる、首が切り離される等の状態になると一撃死だが生命のあり方を変更し、心臓や脳が潰されても髪の毛を切られるのと同等の意味しかなくなる。記憶や意識などの自我の本体は世界システムの空き領域に退避済みなので肉体を幾ら壊されても普通に回復できる。


 うん、完全に人間止めてますな。


 あと精神を上げた事で単純作業への精神耐性がかなり上がった。その為、問題を後回しにしていた記憶閲覧も実行する。対象は村長と魔導師、守衛隊長とし、それぞれの人生を読み取る。おかげでこの世界を生きる上で細かい事はほぼ網羅できたと思う。


 大体の情報が集まったとして自分のプロフィールを作る事にする。村長や魔導師の記憶を探る限りでは出身は『ホンジャ国』と言うのが良さそうだ。記憶にあるおおよその位置から実際の位置を特定してみると、日本の古き良き時代劇の世界をそのまま再現しました!的な国だった。サムライ忍者芸者に加え、街道には団子屋とどんだけ日本好きなんだよという国でした。


 と言う訳で自分はその国の出身という事にし、何人かの強そうな武術家の記憶を閲覧、人生を参照する事により、擬似的に幾つかの武術を習得する。


 ちなみにその中には『野球神影流免許皆伝』という称号持ちも居た。柳生新陰流じゃなくて野球神影流だ。武器は刀の他にバットも使うぞ!


 ………うん、なんだこりゃ。相変わらず前神のおふざけが過ぎるようである。レポート作成にストレス溜まってたのだろうか。


 ま、何にせよ必要な体術も得られたので、武器も作成しよう。やっぱ元日本人としては刀だよな。適当にカッコイイ刀をコピーして改造し、自分の武器とする事にした。今宵の斬鉄剣は血に飢えているで御座る。フヒヒ。


 さて、第一接触異世界人としてはイナーカ村は除外する事にする。ぶっちゃけて言うと色々知りすぎているのでうっかり知りもしない事を言ってボロを出しそうだし、そもそもこの村はド田舎過ぎる。


 ギルドもなければ役所もないし、宿屋も商店すらもない。外部との繋がりは年に4回の行商と、年1回領主の使いである徴税官に年貢を納める時だけだ。お金自体の所持に付いても、持っているのは国から派遣された守衛と魔導師、そしてその他の村民については基本村長が外商用に一括管理しており、自給自足が基本と言う状態だ。ちなみに通貨の単位は円だ。貨幣価値もおおよそ日本の貨幣価値に近いと思われる。


 ま、村に何らかの問題でも抱えているのであれば異世界トリップの主人公のごとく救世主として颯爽と解決!なんてのもアリかもしれないがイナーカ村はちゃんと一つの家族として仲良くやっているようだし、領主の圧政に耐えていると言う訳でも無さそうなのでがっつり無視する。


 と言う訳で第一探訪先は『コ・アラーノ街』だ。名前がアレなので少し躊躇したが一応貨幣経済として街が動いており、商売も活発だ。ギルドもあれば役所もある。ついでに近くに魔物が多数生息する魔の森も存在し、魔物素材による魔物経済も発達している。魔物は通常の動物と違って魔法を使用できる動物だ。魔物の素材は魔法との親和性が高く、魔法を使う際の補助具作成としての利用価値が高い。力を求めるハンターはもちろん、貴族等にも需要が高く一定の経済循環が存在する。


 ぶっちゃけて言えばお金とかも複製しほうだいなので無職で永遠に暮らす事も可能なのだが、文化を実感するためにハンター業務でもやってみようと思う。守衛隊長の記憶によれば彼は元々中堅どころのハンターだったらしいのでその記憶も有効に活用させて貰おう。


 そんな訳で服装は『ホンジャ国』の戦う者の和服スタイル、忍者服とサムライ服と柔道着のいいとこ取りのような服装を選択しそれをコピー&改造調整して着替える。装備品以外のアイテムは複製能力があるので正直持つ必要がないのだが、何も持ってないのも怪しまれるのでポシェット的な腰に付けるサイドバックを付ける。この世界にはお約束的に4次元収納な物が存在していたのでそれをコピー改造した。これで超軽装でも怪しまれない。


 まぁ4次元収納自体がもの凄く高価な品物なので貴族か大商人か超一流のハンターと言う極限られた人間しか持って居ないが、それはそれで好都合だ。貴族や大商人であるなら街道を行き来するにも護衛は必ず付けているだろうし、超一流ハンターであるなら護衛が必要ない程の強者である事も示す。野盗などが居ても早々襲ってくる事はないだろう。


 そんな事を思いつつ『コ・アラーノ街』へ向けて街道をテクテク歩いていたら、野盗らしき男達に囲まれた。あるぇ?

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