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割とテンプレ

HDDの肥やしにしとくのも勿体ないので公開

 気が付くと、そこは森で異世界だった。うんテンプレテンプレ。


『ステータス』


 俺がそう念じると頭の中に情報が浮かぶ。


------------------------------------

名前:国光啓二

Lv:1

HP:15

MP:10


スキル:

『翻訳』『世界システム解析』『世界システム操作』

------------------------------------


「よしよし、注文通りだな」


◆◆◆◆


 時間は数時間程遡る。


 俺、国光(くにみつ)啓二(けいじ)は久しぶりの非番を有意義に過ごすために銀行に来ていた。理由は簡単、ゲームを買う金をおろすためだ。ゲームショップで買物をする場合クレジットカードで買うとポイントが付かないのだが、現金ならポイントが付くからだ。デビットが使えるならそれでも良いのだが、俺の贔屓にしているゲームショップは小さな店なので現金しか使えない。なのでゲームを買う前は事前に銀行に寄るのがいつものパターンだった。


 ここで少し俺のゲームスタイルについて語っておこう。俺の仕事はそれなりに忙しい。というか社会人は皆そうだと思うのだが、学生連中のように存分にゲームで遊ぶ時間など取れない。すると本当に面白いゲームかそうでないかも解らない物に時間を取られると、クソゲーだった時の精神的ダメージがデカイ。なのでRPGのようなゲームの場合、余程戦闘自体が面白くなければチートでさっさと省略するのだ。


 ちなみにチートとは、チートツール等で主にゲームのメモリを解析してそれぞれの数値を直接いじくったり、其処を書き換えるプログラム部分を逆アセンブルして、別のプログラムに書き換えたり等、自分の都合の良いようにゲームその物を書き換える事だ。プログラム的な知識があると解析その物も結構面白く、俺がゲームを購入する上でのもう一つの楽しみでもある。


 よく、チートするとゲームがつまらなくなる等という話も上がるが、それは人によりけりだと思う。特に今のゲーム業界を考えるに『総プレイ時間』が多い程コストパフォーマンスが高いゲームと見なされる事が多い。するとどういう事が起きるかというと『無駄な時間稼ぎ』が大量に増えるのだ。例えば移動速度が遅いなんてのは序の口で、戦闘に入る度、やけに凝ったカメラワークで全体をなめ回し、実際のコマンドを選択するまでに数秒なんてのもザラだし、表示されるメッセージ速度が変更できずダラダラと表示されたり、変更できてもバックログ機能がないために、読み逃すとセーブポイントまで戻らないと内容が解らなくなる、なんてのもある。それを改善するには、結局、常に文章を読み逃さない速度に設定する必要があったりと、とにかく時間を無駄に消費させようとする仕様がとても多い。


 そもそも戦闘自体がただの時間稼ぎに成っている物も多いのだ。例えば戦闘によって得られる物がモンスター毎にユニークな特典や特徴があり、それがストーリーに関わるというならまだ戦う価値もあるだろう。だがたいていの場合は、同列帯に属するモンスターはあっちを倒しても「やくそう」こっちを倒しても「やくそう」違いは容姿とHPとMPでしかない。単純にモンスターは経験値を稼がせるための障害、時間稼ぎでしかなく、モンスター毎の役割等、せいぜいモンスター図鑑を埋めるためだけの意味しかないのだ。ハッキリ言ってそんな戦闘に意味はないと思う。まぁコマンド型戦闘じゃどう工夫しようと限界があるので仕方のない事なのだけど……。


 おっと話がずれた。まぁ簡単に言うと俺はチート推奨派でゲームはサクサク進めるのが好きな人間だ。


 で、なんでこんな事を思っているかというと、銀行に来たまでは良いのだがお金がいっこうに下ろせる気配がなく、ぶっちゃけ暇なのだ。何故なら今現在、銀行強盗が絶賛籠城中だからである。ちなみに目に見える範囲で犯人は3人。全員が銃を持ち覆面を被っている。行内に居た客は一カ所に集められ一人が人質を監視、一人がお金をつめさせもう一人が外を監視している。


 しっかしまぁ…… 銀行強盗なんて成功率の低い犯罪を今さら起こそうとするとか、こいつら本気で馬鹿だな。やるならコンビニのATMにトラックで突っ込んだ方がまだマシだろうに……。まぁその場合でも日本なら確実に捕まるんだけどな。


 ちなみに俺の職業は交番勤務の警察官である。せっかくの久々の非番だったというのに全くもってけしからん事である。


 あ、一応断っておくと、正義感から警察官なったと言うのとはチョット違う。幼少時に死生観を変えるチョットした事があり、その関係から自衛隊、某国の外人部隊の傭兵で紛争に参加。たっぷり人殺しを経験し、また別の発見をした。俺の発見した事とは「人間はとても簡単に死ぬ」と言う事だ。そしてその死は悪人にも善人にも分け隔て無く平等に降り注ぐ。俺の両親は生真面目を絵に描いたような人間だったが、地震であっけなく死んだし、テロを企てた某テロ組織のリーダーも、首にナイフを滑らせただけで簡単に死んだ。


 結局の所、人間は生物である以上いつかは死ぬのだ。だったら面白おかしく好きな事をやって生きよう。そう決め日本に戻ってきた。職に警察官を選んだのは、戦闘経験がそれなりに生かせて楽そうだったから。元傭兵を雇ってくれる要人向け警護も受け持つ警備会社なんてのもあったのだが、こっちはガチすぎるので遠慮した。


 まぁそんな訳で本来なら俺はのんびりと非番を過ごすゲーム好きのお巡りさんというわけだ。まぁ思いっきり事件に巻き込まれているわけだが……


 さて、日本の警察事情から考えれば犯人達が捕まるのは時間の問題である。しかし、今の状況はちょっと宜しくない。覆面から見える目は下卑た感情に充ち満ちており、銃を持っているという事が彼の欲望を無駄に増大させているようだ。その結果、一人の銀行員を立たせると服を脱ぐように命じだした。


 運が悪い事にその銀行員の身持ちは堅く「嫌です」「脱げ」の数度の押し問答となる。が、それに業を煮やした犯人は、発砲。銀行員の足を打ち抜く。通常発砲があると交渉の余地無しとして被害を最小限に抑えるために数分以内に強行突入が取られる。10分以内に事件は収束するだろう。


 が、事はそれだけで済みそうになかった。


「糞豚が…… とりあえず死ね」


 犯人はそう言って銃口を先程の銀行員の頭に押しつける。真っ青になる銀行員。


 こいつ、威しではなく本当に撃つ気の様だ。流石に現職警察官の目の前でそんな事をさせるわけには行かない。仕方ない多少賭になるが動くとしよう。犯人は弱者を傷つける事には慣れているようだが、特に戦闘訓練を積んでいるようにも思えない。まぁ何とかなるだろう。


 俺は靴を脱ぐと、それを後ろ手で見えないように放る。その靴が床に当たった音に、犯人が注意を取られた隙に一気に接近。上着を脱いで、頭部に向かって投げ視界を塞ぐと同時に犯人から銃を確保。同時に顎に打撃を与えてひるんだ隙に足を狩り昏倒させる。昏倒時に頭を強く打ったようなのでコイツはしばらくは動けないだろう。


 呆気にとられている他の犯人を奪った銃で三発ずつお見舞いし、無力化。うずくまる犯人が銃に手を伸ばしそうになったので、腕に向けて発砲。銃を取り上げる。


 まぁ警察官の銃マニュアルとは違うが、非常事態だったし始末書ぐらいですむだろ。急所は全部外してるしな。派手に発砲したし、恐らく数分もしないうちに機動隊が突入して事件も収束するだろう。


 と、考えていたら俺はいきなり別の場所にいた。

初掲載時よりも一部の表現を修正

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