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彼が噂の情報部  作者: くるなし頼
第三章 『情報部』の戦闘
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友を問う理由

想像通りと言うべきか香藤部長、白池先輩、春崎先輩、雪平先輩はぽかんとしていた。


「…あ?」

「…うん?」

「…?」

「…はい?」


そりゃあそうだよな。普通の人は『友達いるの?』なんて質問をしにわざわざ他校に赴かない。


「まあ、そうなりますよね」


そう言って、俺は先輩たちに苦笑いを見せる。


「でも、確かに俺は友達少ないですし。同級生でまともに話せるのは、希月と城戸、あとは………」


暮谷は、どっちなんだろう?



ふと疑問に思ったとき、予算会議での出来事を思い出した。



うん。俺、暮谷とも会話は出来ていた。まあ、友達と呼ぶにはほど遠いか。


そういえばあの時、暮谷が俺に何か言いたそうだったような…?


「おい、それで?」


ひとりで勝手に考え事をしていると、香藤部長からストップが入った。俺は慌てて話を戻す。


「あ、はい。津辻も母校で情報部をしていたときには、友達がいなかったそうなんです。けど俺に希月が話しかけているところを見て、気になりだしたみたいで。…ただ……」


ただ俺と津辻には、大きな違いがあった。

それは、友達がいない理由だ。



誰にも口を挟まれなかったので、俺はそのまま話を続ける。


「津辻が友達がいないのは、情報部だから怖くて、とかいう理由ではないんです」


それを聞いて、白池先輩が頷いていた。


「そうみたいだね。あの人、本来なら人を寄せつける魅力もあるみたいだから」

「そうなんですよね」


俺だって、津辻には初対面でも好印象を受けたし、良い人だろうと思わず信じそうになった。

そんな津辻なら、友達のひとりやふたりいるだろうと誰でも思う。


「けれど、津辻には友達なんていなかったんです。その理由は周りの生徒を『脅迫』していたからだそうです」

「…脅迫だと?」


雪平先輩が不愉快そうな顔で聞き返してきた。友好な関係になった相手から情報を仕入れる雪平先輩にとっては、許し難いことなのかもしれない。


この少し重くなった雰囲気を和らげる為なのか、いつもより優しい口調で白池先輩が話を進める。


「奏寺、脅迫って具体的にどんななのかな?」

「その、たまーにいるでしょう?学校側に秘密で、他校に友達作って仲良くする人」

「あははっ!奏寺と第三高校の広報部みたいに?」

「あ、あいつらとは仲良くないですよ!」


俺と白池先輩の会話を聞いて、春崎先輩がくすりと笑った。雪平先輩も少しだけにこやかな顔を取り戻す。



…さすが白池先輩だ。部屋の雰囲気が少し和やかになった。


香藤部長だけは「なにやっているんだこいつらは…」という悩める顔をしている。だが、これも情報部の雰囲気が和やかな証拠だ。


まあ、香藤部長もにこやかな笑みを浮かべれば、優しい雰囲気にはなるだろう。しかし、そんな香藤部長は想像がつかないし、あまり見たくない。だからといって、ゲラゲラ笑っている姿も見たくはない。


そう考えるとやはり、呆れる表情や黒い笑いがぴったりだ。



こんなことを口に出すと話が恐ろしくそれるので、俺は急いで津辻の話題に戻す。


「それでですね。まず津辻は、他校に友達がいそうな人と仲良くなったそうです。

そして他校に友達がいると打ち明けてくれるまで友情を深めた。

その後、その他校の友達とも仲良くなるんですが…」


俺は一呼吸を置いた。


「次第に、他校の友達を脅し始めるんです。『この学校を裏切って、僕の高校の奴と仲良くしてる』と、学校に告げ口すると言ったそうです」

「…なるほどな。それでそいつからその学校の情報を仕入れると」


香藤部長が静かに呟く。


「はい。その後、津辻の学校にいる友達にも、『他の高校の奴と仲良くしている』と、学校側に告げ口するぞと言ったようです。それで、口止めしたんですね」


その後、少し時間が経ってから春崎先輩が質問してきた。


「でも…そんなことされて、友達と他校の人は…よく黙っていたね…」

「津辻は二人に偽の依頼書を見せたそうです。『裏切り者の調査依頼』の紙を」

「…」


それから津辻は、周囲の人や偶然関わった他校の生徒の弱みや隙を見つけては、つけ込み脅し始めた。

そういった弱点を見つけられたのは、津辻が情報部だったからだ。人とすぐに仲良くなれるのは、津辻の人柄である。



話をいち早く理解した雪平先輩が溜め息をついた。


「酷い奴だな…。ちなみに、他校の奴らは情報を仕入れるためだとしてだ。同じ学校の奴らを脅す意味はあったのか?」

「生徒会への口止めのためらしいです。ただこの行いは他の情報部員からも非難を受けたため、次第に津辻は部活でも孤立したようです」


当たり前だな、という顔つきで雪平先輩が深く頷いていた。

まあ、俺も同感だ。


「奏ちゃん…。津辻が追放されたってことは、彼の悪事は結局バレたんだよね……?」

「はい。さすがに生徒会が不審に思ったらしいんです。その頃には津辻に脅されている生徒は、その土地の人口の半分を占めていたそうで…」

「学校ではなく、土地の半分だと?」


雪平先輩を筆頭に、先輩たちは目を丸くして驚いていた。


土地の半分の生徒が脅迫されていたとなると、学校同士の戦闘にも大きな影響がででくる。よって津辻の学校は短期間で三つの学校を敗退させていたらしい。



話も終わりに近づいたため、俺は一気に話してしまった。


「生徒会は脅された生徒を説得し、津辻の情報を得たそうです。そして津辻は何人もの生徒を苦痛にさせた罰として、追放されました」


俺が最後まで言葉を言い終えると、ちょうど正午の知らせる鐘が鳴った。本日は土曜日。みんな学校が休みの日だ。



この鐘により、部屋の雰囲気はリセットされたような感じがした。津辻の謎も大方判明したため、先輩たちもどこか納得がいったようだ。


「…よし」


そこで香藤部長が、得意の悪そうな笑みを浮かべて、みんなの注目を集める。


「青い髪の奴の目的も過去もわかったことだ。また戦いを仕掛けてくるだろう第十高校の奴らに、震え上がるほど礼をしてやろうじゃねえか…!」

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