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彼が噂の情報部  作者: くるなし頼
第三章 『情報部』の戦闘
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 冷静な情報部部長の回想

この話は香藤の一人称で語られています。

俺にとってこの部活の部員達は、変わり者だが信頼はできる奴らだと思う。




俺は今日も授業が終わると、すぐに寮に戻る。…一日も早く、第十高校のセキュリティーをぶっ壊してやりたいからだ。


寮の自分の部屋まで辿り着き、扉に手をかける。それを乱暴に開くと、中から声が聞こえてきた。


「あ、おかえり」

「なんでお前が先に居るんだよ…」


授業終了と共に足早にここまで来たのに、俺のルームメイトである白池が既に部屋にいる。

なぜなんだ?こいつと俺は、同じクラスなんだがな…。



その時ふと、俺がこの土地に来た時の記憶が蘇った。


そういえばあの時も、こいつが先に居たんだよな…。







あれは一年と数ヶ月前の出来事、つまり俺がまだ一年生になりたての頃。体育館裏に俺はいた。


「…はあ」


目の前にいた役所の人間に、俺は心無い返事をしていた。


「いいね?君は連絡がくるまで、部活にも生徒会にも所属しないこと」

「まあ…わかりました」


二度目の気のない返事に満足したのか、役所の人間は俺を解放してくれた。今は新入生歓迎会中で、体育館では部活紹介が行われている。新入生は今日この土地に来たというのに、この土地の奴らは事を急がせるようだ。


俺は途中から体育館に戻り、その部活紹介を眺める。ちょうどその時は、戦闘部の部活紹介が行われていた。



でも、俺には関係ない。何より、興味がない。



そんな俺の趣味は、コンピューターのプログラミングと、その他、色々。

なんでそんな趣味を持つかというと、親の影響だ。幼い頃からコンピューターに触れ、コンピューター技術が高いで有名な両親から教われば、嫌でも能力は身につく。


俺がこの土地に呼ばれたのも、恐らくその技術を見込まれてなのだろう。



新入生歓迎会が終わると、俺たちはすぐに解放された。

新入生の大半は歓迎会の熱をそのままに、己の興味のある部活へと向かう。残りの者は教室に残り会話をするか、今日から初めて使える寮に帰るかだ。



もちろん俺は最後の選択肢である寮へ行くことを選ぶ。早く寮に帰り、一人一台支給されるノートパソコンに触れてみたい。



俺は地図を見ながら、難なく寮に辿り着く。自分の部屋にも簡単に着いた。


「…?」


部屋のドアノブに手をかけたとき、変な違和感がした。だが気にすることなく、俺は構わずドアノブを回しドアを開ける。


その時だった。


「わわわっ!」


部屋の中から変な声が聞こえたと思うと、その声の主らしき男子生徒が俺の目の前で、背中から倒れた。

どうやらドアを開けるときに感じた違和感は、中からコイツもドアノブを回したために起きたもののようだ。



それと同時に、コイツが俺のルールメートなんだと知る。背中から倒れたところを見ると、あまり賢い奴には思えねえな。



考え事をしていると、倒れた男子生徒から苦情がきた。


「ちょっと、君、人が倒れてるのになに冷静でいられるの?」

「ああ、悪いな」


俺は手をさしのべた。その手に全体重をかけたのかと疑うほど、この男子生徒は俺の手を頼りに立ち上がった。


「ありがと。で、君が香藤勇雅くんだね?」

「…なんで名前を知っている?」

「この部屋の中に名札があったんだ」


そう言って男子生徒は机を指差した。それにつられて机を見ると、確かに名札を確認できた。


それにより、俺の隣に居る奴が白池和攻という名前ということも判明する。


「白池、か」

「そうそう。ま、これからよろしくね」

「こちらこそよろしく頼む」


これは、俺と白池が初めて会ったときのことだ。






それから三ヶ月経っても、俺はクラッキングのことを白池に話さなかった。もちろん、白池も情報操作の事など口にはしない。



そんなある日のこと。


「うわぁ…。明日って夏期休暇前のテストの結果発表か」


寮の部屋のベッドでくつろぐ白池は、ふと思い出したように顔を上げた。俺もテストの結果発表のことを忘れていたため、苦い顔をした。


「まじかよ。全然てきた気がしねえのに」


このテストの結果次第で、宿題の量が変わるのはもう皆知っている。知っていても点がとれないのは、不思議としか言えねえ。



とはいえ、全てはもう過ぎたこと。


俺たちは何をする事もなく、次の日を迎えた。


「眠い」


第一高校へと向かう道で、俺は不機嫌に呟く。


「あははっ!勇雅って重度の低血圧だよね!」

「うるさい」


白池はまだ笑っていた。


何を言っても無駄だろう。そう思いながら通学路を歩いていると、どこからか人の話し声が聞こえた。声を聞く限り男性の声のようだ。


白池もそれに気付いたらしく、二人で声の聞こえる場所へと向かう。すると、通学路を少し外れた道の角に、見慣れない色のラインが入った制服を着た男子生徒が二人いた。


反射的に隠れた俺たちは、この男子生徒たちに気付かれなかったらしい。二人は会話を続けている。


「そうだな…出来れば明日には潜入したいな」

「ああ。あの人が出来たんだ。俺たち二人が出来ないわけがない」


携帯電話を操作しながら、二人は話し込んでいた。

小さな声での会話であるため、少々聞き取りづらい。


「では予定通り、第一高校にあの時間に」

「了解。遅れるなよ『渡田(とだ)』」


二人の男子生徒は会話を終えると、そそくさとどこかに行ってしまった。


明らかに怪しい作戦を聞いた俺と白池は、それぞれ考え事を始める。




こいつら、第一高校に不法侵入する気か?これは第一高校生として、阻止しないとな。


奴らの制服のラインの色は緑か…。緑ってどこの高校なんだ?どうやらあの二人のうち、ひとりは渡田と言うらしいが…。


まあ、このくらいの情報なら、寮のパソコンに行けば探れそうだな。…しかし、少々問題がある。


いくらそれらを調べられたとしても、だ。


「奴らを追い返す方法がねえな…」

「彼らの身元とこれからの行動が分からないね…」


俺と白池が同時に独り言を呟いた。


ちなみに追い返す方法を知りたいのが俺で、身元とこれからの行動を知りたいのが白池だ。



俺も白池もお互いに驚いていたが、しばらくして同時にニヤリと笑う。


「身元などは俺に任せておけ」

「じゃあ、追い返すのは僕に任せてよ」


この時は俺は白池が、白池は俺が、何が出来るかは知らなかった。


しかし、気が合わないようで合う俺たちは、信頼ができた。だからお互いが何をするかは分からないが、やることを完遂してくれることは分かりきっている。


こうして俺たちは準備を始めた。

8月22日、誤字を訂正させていただきました。

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