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彼が噂の情報部  作者: くるなし頼
第二章 『情報部』の夏期休暇
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 静かな情報部員の不安

この話は春崎の一人称になっています。

私にとってあの子は、本当は社交的な人…。羨ましい存在と言ってもいいのかも。




奏ちゃんから電話越しに頼まれた彼の知りたい情報は、仮に残っていたとしても、少し手に入り辛いものだった。


和ちゃんと事細かに計画を練り、さっと盗むしかない。


以前に似たような書類を第三高校から拝借したことがあるので、場所の目星がついていることが、せめてもの救いだ。


「でも…奏ちゃんはなんで今更あれを欲しがるのかな…?」


和ちゃんと潜入先である第三高校の敷地内で電話をしながら、私は独り言のように呟いた。私が今いる場所は、校舎裏の手入れの行き届いていない裏庭みたいな場所。

余程のことが無い限り、第三高校の生徒もここへは立ち寄らないのだろう。なんというか、人がいた形跡が全く見当たらない。


「まあ、古代宝を手に入れやすくするためだろうけど…」


電話先で和ちゃんも呟くようにそう言った。そしてその後、和ちゃんはすぐに言葉を付け足す。


「でも、奏寺はそれを知ってどうするんだろう…」


だんだん疲れてきたため、校舎の壁に寄りかかり、制服のスカートが地面つかないよう気をつけて座り込む。


「…そうね…。下手をしたらむしろ…奏ちゃんは広報部を敵として見れなくなるんじゃないかな?」

「そっか!」


この私の言葉を聞いた後、和ちゃんが明るい声で、ただし潜入先なので音量は小さめに言った。


「自分たちが敵として見れなくなる。つまり、咲宮たちから見ても奏寺たちは敵に見えなくなる。それを狙っているのかも」


つまり…。


「奏ちゃんは…広報部と戦わない道を…望んでいる」

「仮説、というかただの予想だけどね」


その後、この後の段取りを簡単に決めてからお互いに電話を切った。



…。


他校同士が戦うように作られた制度が、度を過ぎ暴走したこの状況下で、奏ちゃんは戦わない道を選んでいるの。


それは、どうなんだろう。


戦うことは私も嫌いだから、賛成だけれども。



どんどんきつくなる太陽の日差しから逃れるため、私はそっと日陰へ移動する。

ふと先ほどまで居た場所を見ると、眩しいほど太陽の光が当たり、見つめることすら厳しい状態になっていた。


暑い…。


そう思ったとき、第三高校の敷地内の遠くの方から銃声が聞こえてきた。


演習でもしているのだろう、そう考え気にすることなく再びその場に座り込む。

銃声は一定の間隔で鳴り響く。やはり演習だったようで、人の声も聞こえてくる。誰かがミスでもしたのか、怒号すら耳に届く。


ふと、私は嫌な予感がして立ち上がり、演習場へと隠れながら進んでいった。体育館並みに広い頑丈な建物の外の窓の近くに寄り、中の会話を盗み聴きする。


「だから、なぜ拳銃がひとつ足りなくなる?火薬も減っているじゃないか?!」

「知らないよ!誰かが規定違反でもしたんだろう?」


二人の男子生徒が、長く続きそうな口論を展開している。思わず部外者の私がため息をついてしまいそうになった。

その時。


「わああっ」


演習場の外から何者かの悲鳴が聞こえた。口論していた二人も驚き、速やかに悲鳴の方へ走っていく気配がする。


しかし、あの声は…。


「どうした?」

「あの、拳銃を持った人が、あっちの方向に…」


口論をしていた二人と、悲鳴を上げた者が会話を交わしているようだった。その光景を見るため、気を付けながら移動する。

目に入ったのは、口論をしていたらしい二人が、悲鳴を上げた生徒に詳しく事情を聞いている風景だった。だが、あの悲鳴を上げた生徒は…。


……やっぱり、和ちゃんか。


つい私は、頭を抱えてしまう。悲鳴を上げた和ちゃんに、拳銃を持った人が逃げた方向を聞いた二人は、言われた方向へ向かう。それを見送った和ちゃんの表情はこちらからは見えないけれど、きっと、素敵な笑みを浮かべているに違いない。


二人を見送った和ちゃんはふらりとどこかに消え、気付けば作戦開始時間まで十五分を切っていた。



和ちゃんは、一体なにをする気なんだろう…?


疑問を抱きながらも私は急いで、目的の情報がある保健室の近くへと向かった。

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