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彼が噂の情報部  作者: くるなし頼
第二章 『情報部』の夏期休暇
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謎だらけの理由

人には人の理由がある。


例えば俺がこの土地に来たことにも、理由はちゃんとある。

その理由とは、学費だ。


この土地の高校は学費を払う必要はない。その代わり、相応の将来を背負うことになるが。



あの春城晃にも、髪をオレンジに染めた理由があるのだろう。

ただそれが、いわゆるオシャレだとか、実は地毛なんですとか、そこまでは分からないし、正直あまり興味がない。


…ただ、あの目立つ頭髪を許した高校には興味があるな。



そんなことを考えながら、俺と希月は待ち合わせ場所である湖上高校の校門に辿り着いた。


希月も俺も、湖上高校に来たのは初めてだったため、その光景に圧倒されていた。


「すごい…。湖に浮かぶ校舎って想像より遥に綺麗だ」


希月が門の隙間から見える、遠くにある校舎を見ながら言葉をもらした。俺も、その幻想的な校舎に見入っていた。


正確には校舎がある島の周りに、湖がドーナツ状に出来ているだけなのだが、ここから見ると本当に浮かんでいるように見える。



何というか、金閣寺を思い出すな…。もちろん湖上高校の校舎は金色ではなく、どこにでもあるような白色のコンクリートだが。


俺は香藤部長から昨夜見せてもらった地図を頭に思い浮かべ、首を傾げた。


「しかし、校舎に行くための橋はどこにあるんだ?」

「そう言えば見あたらないね。湖の上に架かる橋が校舎に入れる唯一の手段なんだろ?」

「ああ…。地図にも校門の目の前に架かっていたはずなんだが」


二人であたりを見渡しても、橋らしきものは何も見えない。湖の中央で、校舎が孤立している用にしか思えない雰囲気だった。


希月とこの謎について考えていたとき、背後から懐かしい声が聞こえてくる。


「あ、ごめん。待たせちゃった」

「え?」


声の主に察しがついた為、若干動揺しながら振り返ると、やはり、申し訳なさそうにしている霧丘がそこにいた。


「霧丘!お前、どうやってこっちに?」

「ああ、橋がなかったから驚いた?ちょっと焼け落ちちゃってで」

「焼け…?」


複数の驚きが重なって、頭が痛くなる。

霧丘は俺たちに構わずに、平然と話しを進めていった。


「過去にも事例があるみたいなんだけど、何者かがこの橋を焼き払ってしまうことがあるらしい」

「あるらしいって。犯人とかは?」

「さあ。ただ、例え橋を落とされてもあまり支障がないから」


いや、あるだろう。


俺と希月が同時にそう言おうとしたとき、霧丘はそれを制した。


「私たちの寮って学校の敷地内にあるから、普段は湖上高校生徒は校舎がある島からでないの」

「…だが、最近は夏期休暇により出る必要はでてきただろ」

「そう。だから小型の船で数人ずつ移動するのは大変で…」


霧丘の視線は遠くなっていく。

あまりにも世界が違いすぎる湖上高校事情に、俺と希月は同情する事しかできない。


気付いたら、俺の口からは小さな溜め息が漏れていた。


「朝のオレンジ頭といい…なんかついていけないな」

「オレンジ?」


霧丘が聞き返してきた。


まあ、当たり前の反応か。


「今日、第一高校の校門で髪をオレンジに染めた女子学生がいて…」


希月が丁寧に霧丘に説明を始める。

話を静かに聞いていた霧丘は、ふと何かを思い出したかのように、少しだけ俯いた。


「オレンジは知らないけど…青い髪の人なら、湖上高校の近くで見た人が何人かいる」

「青?」

「そう。まあ青い人は男子だったらしいよ。夏期休暇に向けて湖の外に移動した生徒が、この校門辺りで見かけたらしくて」


オレンジの次は青い人だと。

夏期休暇に入るからって、皆浮かれているのだろうか?


「それで、その青い人は何しに来たんだ?」


俺がそう質問すると、霧丘は首を横に振る。


「わかんない。話しかけてこなかったし、うちの生徒も誰も話しかけなかった」

「そうなんだ…その青い人が橋を焼いた可能性は?」


希月が少し難しい顔をして、霧丘を見た。霧丘は平然と、また首を横に振る。


「無くは無いけど。青い人以外でも他の高校の生徒なら、誰にだって橋を落とそうとする動機があるから」

「そうだよね…」


希月は目線を地面に移し、考え込んでしまった。

それを見た霧丘が慌てて話を切り出す。


「それより、私達は古代宝探しをするんでしょ?変わった髪色の人達が現れた理由は、また後々知っていけば良いと思う」

「そ、それもそうだね」


希月が笑顔でそう言うと、大きく伸びをした。その後、俺の方をちらりと見る。


俺は軽く頷くと、カバンから薄い封筒を取り出した。


「これが情報部の、古代宝に関する情報だ」

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