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彼が噂の情報部  作者: くるなし頼
第一章 『情報部』という存在
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白池の微笑み

全校集会中、突然生徒達が持っている携帯電話が一斉に鳴りだした。


「な、なに?」

「びっくりしたーっ!」

「あれ…これ、学校からの一斉送信メール?」


この学校では諸連絡の手段の一つにメールを取り入れている。どうやら皆、そこからメールが送られてきたらしい。



俺は、白池先輩からきたのだが。



白池先輩が俺にくれたメールの内容は、

『侵入者発見、騒ぎを起こす』

だった。



他の生徒に送られてているメールは様々で、

『こんにちは』『俺たちの勝ち』『残念』などといった、一言が送られているらしい。



学校の連絡用メールは職員室から送ることができる。

多分、白池先輩が隙を見て送ったのだろう。



なぜ白池先輩がこんなことするのかはわからないが、とりあえず、俺はやることをやる。


俺は、先輩に電話をかけた。

そして電話が「呼び出し中」から「会話中」になっても、電話は放置しておく。



これにより、白池先輩は体育館の情報を携帯電話から入手可能になる。




そのころ、白池先輩は侵入してきた3人の生徒を尾行し、会話を盗み聞きしていた。


「狭い学校だな」

「ほんと。早く生徒会室行って、会長待ち伏せるわよ」


(なるほど。会長を闇討ちすると)


白池先輩は先回りして、生徒会室に盗聴器を仕掛ける。

その後すぐに、その場から離れた。


しばらくすると、盗聴器が聞いた音を伝えてくれるイヤホンから、侵入者たちの会話が聞こえてきた。



(よし。これで…)


これで侵入者の情報も、イヤホンから入手可能になる。


白池先輩は安堵の溜め息をついた。



(作戦は成功だね。あとは適当に放送流して、戦闘部を挑発する。それで生徒会室に向かわさせれば、終わる)


体育館の様子を、生徒会室の近くの教室から眺める。


数人の戦闘部たちが、体育館から職員室のある校舎に向かっていった。


(これで、僕がやったことも侵入者のせいになる。

情報の操作も、人間の行動操作もまあまあな感じかな…)


しかしそこで、白池先輩は顔をしかめた。


(けど…)



なんか、普通だよなー。



とでも、白池先輩は思ったのだろう。





この数秒後、白池先輩を除いた学校にいる全ての人間が大混乱に陥るのだった。



今でも、このとき白池先輩が何をしたのかは詳しくは教えてくれない。

そのうえ、俺自身も何が起こったのかもよく覚えていない。


ただ、機械音声による放送やメールの着信音、そしてその内容に、身の危険を感じたのは確かだ。



体育館に溢れた悲鳴のような声は、白池先輩や生徒会室にいる侵入者にも聞こえただろう。


そこで侵入者も異様な空気に気付き始め、密かに情報収集を始めようとしていた。



しかし白池先輩はそれを許さず、様々な誤情報をつぎ込みまくり、侵入者を散々走り回させる。



体育館は大混乱。

侵入者も大混乱。


さすがの俺でさえ、わけがわからなくなった。



しかしただ一つだけ、確かなことがある。


それは、白池先輩は今、とてつもなく嬉しそうに笑っているということ。



しかもその笑顔は、人で散々遊びまくった奴の笑顔とは思えない、穏やかで優しい笑顔。




これは本当にたちが悪い。





最初のメールから30分が経過したところで、侵入者と戦闘部が鉢合わせた。

侵入者は精神的にも疲れ果てていたため、あっさりと逃げたらしい。



あっさりと。つまり話し合いなどはせず。



よって、今日の白池先輩がやった遊びは全て、侵入者がやったというとで片付いた。




もちろんこの日の授業は中止。

放課後の部活も停止だったが、情報部は俺の寮の部屋でミーティングしていた。


「ったくなんなんだよ。今日の出来事は」


何も知らない香藤部長が溜め息をついた。

部長と同じくなにも知らない他の情報部員も、次々と同意する。



その中、苦笑いする俺。



そして嬉しそうに話し出す白池先輩。



…怒り狂う香藤部長。



「白池!てめぇやり過ぎだ!」





今となっては懐かしい、あの出来事。

真実を知っていても恐ろしく疲れた記憶がある。



なんだか白池先輩の才能について思い出すつもりが、悪口になった気がする。




俺は必死に生徒会からの依頼について思い出した。


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