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彼が噂の情報部  作者: くるなし頼
第一章 『情報部』という存在
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理由探し

俺は保健委員と希月に別れを言い、部屋に戻った。




その頃、保健委員の教室では、保健委員が希月に質問をしていた。



「情報部って避けられてるって聞いていたけど、それ本当?」

「そっか。保健委員はクラスの教室に近付く事も少ないないから、あまり知らないんだ」



希月は少し寂しそうな顔をした。



「確かに避けられてるよ。奏寺くんは孤立している」

「じゃあなぜ君は避けないの?」

「そうだな…」



希月は、奏寺と初めて話した日のことを思い出す。



「そういえば、奏寺くんと初めて会ったのも屋上たったな…」



懐かしい記憶を思い出しながら、誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた。


その後すぐに保健委員の方を向く。



「奏寺くんって、実際話してみると社交的でいいやつだよな?」



保健委員が希月の問いに対して、大きく頷く。

それを見た希月が笑った。


「ははっ。その奏寺くんがおれと話したあと、寂しそうな、悲しそうな声で別れ際に礼を言ったんだ。


…きっと、気を遣わないで話すのが久しぶりだったんだろうな…」







俺が自分の部屋に入ると、携帯電話が机の上に置いてあるのが目に入る。


急いで画面を見ると、苦笑いが溢れた。



「ひ、百件超えてる…」



その中のほとんどが香藤先輩からのもので、ちらほらと他の部員や霧丘からの着信もみられた。



しかし、やはり白池先輩からの着信はない。




溜め息をつき、とりあえず香藤先輩に電話をしようと決める。


電話番号を入力しようとした時、ちょうど電話がかかってきた。



「はい、もしもし」

「久しぶりね。奏寺くん」




電話をかけてきたのは、戦闘部の城戸だった。



「本当は奏寺くんが登校してきてから言おうと思っていたけど、保健委員と話してるところを見てね。元気そうだったから電話させてもらっちゃった」

「ああ、報告書の催促か」

「うん」



そういえば城戸に報告書を渡していなかった。


これは少し申し訳ない。



「オマケ、色々付けとく」

「ふふっ。オマケならもうもらったから」




城戸が嬉しそうに言い切った。



俺はそんなものを渡した記憶が一切無かったので、少し戸惑う。




「…記憶に全くないんだが」

「それはそうでしょ。今日私が無断で拝借したから」

「ちょっと待て、まさか…」



城戸は得意げに、なにより嬉しそうにして言った。



「毒事件よりいいオマケないよ!ありがとう」

「はぁ……」



保健委員の教室は寮の一階に位置する。


寮の一階は男女とも使える階なので、城戸が来てもおかしくない。



「不覚だ…。情報部が盗み聞きされるなんて…」

「良いじゃない。聞いたのが私だったし」

「あのな、そう言う問題じゃ…」



ないんですけど。と言おうとした俺の言葉を遮り、城戸が言葉を放つ。



「それに、奏寺くん的にも悪くない展開になるかもよ」

「え?」

「ねえ、毒事件のこともう少しだけ教えて!情報部なら、もう少し犯人を特定できる情報あるでしょ?」

「曖昧になら、な」



俺的にも悪くない展開とは、なんだろうか。



俺が考えていると、城戸がすぐに話し出す。

何やら焦っているようだ。



「戦闘部はこの毒事件の情報が欲しいの。だから、情報売って」

「売買ならある程度は構わないが…この情報、信頼性は低いぞ?」

「いいよ!」



俺は毒の原料となる植物が第二高校にある可能性が、無くはないことを伝えた。



「いいか?これは可能性がかなり低い。だから信用はするな」

「構わない…いえ、これは使える」

「おい。何に使う気だ?」



俺が思わず聞いてしまうと、城戸は自慢げに言った。



「第二高校に攻め込む『理由』に」

「!」



第二高校に攻め込む。


それはつまり、戦闘部は第二高校の土地を本気で狙いにいく、ということだ。



「ほ、本気か?」

「本気。最近このあたりって、大きな戦闘が無いじゃない?ちょっと気が抜けてる今が攻め時みたいよ」



城戸は楽しそうにしている。



そこでやっと、俺は城戸が毒事件の情報を欲しがっていた理由を理解する。



「なるほど。戦闘部は攻め込む理由が無くて、なかなか動けなかったのか」

「そう。さすがに、ただあいつらに勝ちたいからって理由じゃ、出来ないのが争いってことよね」



戦闘部ほどの大人数が、他校に乗り込み戦うことが頻繁に起こっては困る。


そのため、他校の土地を狙った戦いをするのには、生徒会の許可が必要になるのだ。



しかし生徒会は年に数回行われる、各学校のトップの会談に参加する。

そこで、他校への攻め込みの理由が理不尽だと、かなり叩かれるらしい。


そのため。なかなか許可は下りない。



「あぁ…楽しみ」

「なあ、城戸」



喜んでいる城戸に、水を差すような低い声で俺は聞こうとした。


そしたら、先手を打たれる。



「ええ、言いたいことはわかるわ。奏寺くんもその攻め込みに、同行したいんでしょ?」

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