(7)
2人が外に出ると、約束どおり中庭の噴水前にサリュエルは立っていた。
先に彼を見つけたディドは、全力で駆けて彼の胸へと飛び込む。
「サリュ、会いたかった!」
「ディド、よく来たね。元気にしていたかい?」
「うん」
「学校は順調かい?」
「うん!今日は学校の友達と来たの!紹介するね、フォルナよ」
「は、初めまして、フォルナ・パティです!
憧れのサリュエル様にお会いすることができて、こ、光栄です!」
フォルナが緊張の面持ちで挨拶をすると、サリュエルは笑顔で応えた。
「ディドと仲良くしてくれてありがとう」
右手を差し出され、彼女はおもわず破顔する。
スカートの裾で手の平を拭いてから、両手でその手を握り締めた。
憧れの人と握手できるなんて、幸せすぎて意識が飛んでしまいそうだった。
「二人とも待たせてすまなかったね。お腹が空いただろう?
どうかな、一緒に昼食でも」
「あ!そういうことでしたら、食事は街のカフェテリアでしませんか?
私、美味しいお店を知っているんです!」
「すまないが、公務中は王宮の外に出るわけにはいかないんだ」
「そ、そうですよね……」
残念そうに苦笑いを浮かべるフォルナにサリュエルはひとつの提案をする。
「外には出られないが、王宮内でも食事はできるよ。ディドが来たと聞いたから、料理人に急いで昼食を用意させたんだ。
今回はそれで許してもらえないかな?」
「許すだなんて、とんでもないです!是非そうしていただきたいです!」
フォルナの目が再び輝き出す。
「ディドもそれで良いかい?」
「もちろん!」
「なら決まりだね。さあついて来て。
街が一望できるテラスに席を設けさせているんだ。そこで三人で食べよう」
二人は大きく頷くとサリュエルについて王宮の上層階へと歩き出した。