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GATE KEEPER  作者: ちゃすけ丸
第3章
75/76

(73)

 アシュレーから目をそらすようにふと視線を部屋に戻す。




(そうだ、あの二人は!?)



 部屋に二人の姿はない。



(まさか何かあったの?)



 不安になり重い体を引きずってベッドを抜け出ると、人を探しに部屋を出た。





 扉を開けると、ちょうど向かいの部屋からミーチェの声が聞こえてきた。



(良かった…… 無事みたい)



 声をかけようと扉に手を伸ばす。




「リンツ…… 早く目を覚ましてよ。 ……ねぇリンツぅ…… ぐすっ」



(リンツ!?)




 ノックすることも忘れ、ディドは扉を勢いよく開ける。

 そこには、驚愕した顔で振り返るミーチェと、ベッドに横たわったリンツがいた。




「リンツは……」


「来ないで!!!!」


「きゃ!」




 ミーチェの怒号とともに、水の入った器がディドへと飛ぶ。

 何とか直撃は避けたものの、代わりにミーチェの表情がディドの心を突き刺した。




「近づかないで! これ以上リンツに何をするつもり!?」



「何って、私は何も! ただ心配で」



「どうしてよ!! リンツはあなたを守ってたのに、どうして!? 魔法が使えないなんて嘘じゃない、あんな……!!!」



「……魔法?」




(まさか、また私がやったの!? リンツも、アシュレーも!)




 あの時、兵士を倒そうと思った。 それは覚えてる。 でもその後の記憶が無い。

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