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GATE KEEPER  作者: ちゃすけ丸
第3章
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(70)

「リンツ!!!」


「だめだ!!!」



 彼の下へと駆けつけようとするミーチェをアシュレーは押さえつけた。




「しばらく目を閉じて、じっと伏せているんだ」



「いやよ放して! リンツを助けないと! リンツが死んじゃう!!」



「リンツは死なない! 俺が助ける。 君まで怪我したら誰がリンツの治療をするんだ!」



「あ……」



「頼む、ここで伏せていてくれ」




 涙でぐしゃぐしゃになった顔でミーチェが頷く。



 アシュレーも頷き返し力を振り絞り立ち上がると、未だ渦巻く風の中、まっすぐに元凶を見つめた。




 少しでも気を抜けば、一瞬で吹き飛ばされるだろう。

 無数の刃が肌を切り裂き痛みがはしる。 それでも、一歩ずつ踏みしめながら彼はディドに近づいた。





 アシュレーは近づきながら、これが“お触れ”の本当の意味を悟っていた。



 彼らが欲しいのは“楽園への案内人”ではない。 その者の持つ“強大な力”なのだ。


 戦争が起ころうとしているこのご時世、これほどの力は未知なる楽園よりもはるかに現実的で魅力的だ。



 その気になれば、何百人でも何千人でも容易く薙ぎ払う“力”。

 ディドはこの力のために追われているのだ。

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