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ディドが内に籠もっている間にも戦闘は続く。
4人は次第に窮地に追い込まれていた。
リンツとミーチェが魔法で兵士を吹き飛ばし、アシュレーは接近戦で何度も気絶させるが、不死身の兵士には効き目がなかった。
何事もなかったかのように起き上がってくる彼らに、いつの間にか囲まれてしまう。
3人はディドを中心に背中合わせになりながら、言葉を交わした。
「ミーチェ、リンツ、頼みがある」
「な、何だよ急に」
「一瞬で良い。 彼らの足を止めてくれ」
「アシュレー、まさか……」
「このままじゃ俺たちは力尽きて全滅だ。 そろそろ腹を括らないとな。 ……だからと言って君たちの手を汚させるわけにはいかないだろ? 俺が決着をつける」
「ちょっと待ってよアシュレー! 相手はティエルモンの兵士よ!? 一人でなんて無理だわ! それなら全員の足を封じて逃げましょう? 時間さえ稼いでくれたら、私が特大の一発をお見舞いしてあげるから!」
「だめだ。 逃げたら、オレ達を追って街で暴れるかもしれないだろ。もしそうなったら、君の大切な人や街が傷つくことになる」
「でも、だからって! ……なら、私もやるわ!」
ミーチェの申し出に彼は再び駄目だと繰り返した。
「リンツが言ったとおり、これは俺たちが招いた事件だ。 俺の手でケリをつける。 彼らはこの街の兵士だし、もし君達が手を下したら、恐らくこの街にいられなくなる。 罪人として罰せられるかもしれない。 親が悲しむの、見たくないだろ? 俺はよそ者で既に追われる身だ。 一番適任じゃないか?」
アシュレーの言葉にミーチェとリンツは何も反論できず、解ったと小さく呟いた。