(52)
「ではこちらへ」
ティエルモンは兵に扉を開けさせサリュエルを中へと促したが、彼は時間がないのでとやんわりと断った。
「失礼を承知で早速昨夜の話の続きをしたいのですが、かまいませんか?」
「ええもちろん、そのために来たのでしょう?」
「その通りです」とサリュエルは微かに苦笑する。
頼まれるわけでもなく人払いをしたティエルモンに、この巨大都市を統べる主の度量を見せ付けられた様だった。
自分ほどの魔術師を前にして、その身一つで対峙するとは……。
「単刀直入に申し上げます。 ゲートキーパーである彼女を保護するために、貴女の兵とこの街のある場所をお借りしたい。 あぁ、できれば兵は少数精鋭でお願いしたいのですが」
「兵は貸しましょう。 その前に、“彼女”ということはゲートキーパーは女性なのですね?」
「えぇ。 十四歳の少女ですよ」
「十四!? まだ子供ではありませんか!」
「ええ、ですから“保護”と申し上げたのです」
「そのような少女になぜ強い兵がいるのです? 少女一人にあまりにも大げさではありませんか」
「彼女は大罪を犯した者だからですよ」
「……大罪?」
「貴殿の耳にも入っているはずです。 先日、王都で何が起きたのか」
「まさか……」
「そのまさかですよ。 あれは彼女は引き起こした事件だ」
ティエルモンは絶句した。 話に聞いた王都での惨劇は少女一人がどうこうできる規模のものではなかった。
それが、ゲートキーパーの力というものなのだろうか。