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GATE KEEPER  作者: ちゃすけ丸
第3章
45/76

(43)

「……なんで?」



 ディドの鋭い視線の先には苦笑いを浮かべたアシュレーが座っている。



 昼間、魔術師の少年少女に奇襲された二人は、今、他でもないその少女の家に招かれているのだ。




 天井や柱に描かれた色鮮やかな幾何学模様、それに対比した白い土壁。

 小さな宴が開けそうな一室でミーチェの家族と長い食卓を囲んでいた。



 一番奥の席に腰を下ろしいるのが父親だろう。

 中年の割には身体は締まり、少し焼けた肌に逞しさが感じられる。



 食事を運ぶ長い髪の女性、おそらくこちらはミーチェの母だ。

 ミーチェと同じ髪色で、顔もどことなく似ている。もっぱら母親は快活というより知的な印象が強い。



 二人ともかなりの魔術師なのは、隠しもしない魔力で感じ取ることができた。




「何ていうか、その……成り行きってやつかな?」



「成り行きでのんびりしてる暇なんてないはずよ! それに貴方は勝手にパートナーにされそうになっているのよ!?」



「まぁ、そうだけど。 とりあえずタダで飯食わしてくれるって言うし、泊まる部屋も用意してくれるみたいだし……」



「罠かもしれないじゃない」



「大丈夫だろ。 壁を壊して突き進んでくるような子だ。 そんな卑怯なことしないさ。 それに何より人様の好意を無駄にしたらそれこそ罰が当たるって」



 だろ?と爽やかに笑うアシュレーに、ディドはまた頬を膨らませた。




 二人が小声で言い合っている間にも、食卓には出来立ての料理が次々並べられていく。

 中にはディドが初めて見るものも何品かあり興味をそそられた。



 食事を全て並べ終えると母親が娘に声をかける。



「ミーチェ、お婆様を呼んで来てちょうだい」


「はい、ママ」



 別人の様に可憐に返事をしたミーチェは、静かに席を立つと祖母を呼びに部屋を出て行く。



 やがて足音が遠ざかると、それまで黙っていた彼女の父がおもむろに口を開いた。




「うちのミーチェを負かしたそうじゃないか。 君は若いのになかなかやるな」



「いや、それほどでも」



「娘のことだ、さぞ悔しがっていただろう?」



「まぁ、そうですね……」



 まさか「パートナーにしたいと言われました」とは言えず、アシュレーは愛想笑いでごまかす。




 返事に困っていると、ちょうどミーチェが戻ってきた。



 彼女が席に着くと、遅れて入ってきた老婆もゆっくりとした歩みで席に着く。



 ディドは驚いた。

 ふと目の前に居たディドと目が合うと、みるみるその目を丸くしたのだ。




「これはまた……今日は客人が来ておると聞いていたが、まさかイオ様じゃったとは!」


「え!?……イオって……違います!私は……」



「お婆様、違いますよ。彼女は旅人のディドさん。ミーチェがいろいろお世話になったようでね」



「……おや、違うのかね。てっきりイオ様が戻られたのかと思ったわい」

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