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GATE KEEPER  作者: ちゃすけ丸
第2章
35/76

(33)

「今朝出回った王宮のお触れ、知らない訳ないよな? 俺はその人間をあんたがこの馬車に連れ込むのを見たんだ。


 金の前に命が欲しかったら、素直に引き渡すことだ。 もちろん騒いだら殺す」



「な、何のことだか……」





(意外としぶといな…… まあ、しかたないか)


 軽く息を吐きアシュレーは気の乗らない最終手段に打って出た。




「まぁ、いいや。 お触れには、"少女を傷つけるな"とは書いてあったが、それを連れてくる人間を傷つけるなとは一言も書いていなかった。


……この意味、解るよな?」




 語気を強めるのと同時に刃を更に強く押し当てる。

 男の喉下にはうっすらと赤い筋が走った。



「ひっ!」



 かすかな痛みを感じて男は震え上がる。

 一気に冷汗を吹かせながら、遂に荷物を手放す決心をした。




「わ、わかった。 言うとおりにする。 あの子は引き渡す! だから頼む、助けてくれっ!!!」



「最初からそうすれば良いんだよ」



 ぼそっとつぶやくと剣の柄で打ち気絶させた。




「おっちゃん、ごめんな」



 崩れる男に謝りながら、アシュレーは荷台の中へと急いだ。



 真っ暗な荷台の中、木箱の間に隠れるかのように少女は静かに横たわっていた。


 見れば両手両足を縛られ、口には猿轡を噛まされている。



「おい! 大丈夫か?」



 軽くゆすり頬を叩こうとすると、彼女はそれよりも早く目を開いた。



「良かった、意識はあったみたいだな」



 怪我も無く無事なことに安堵し、アシュレーは少女の後ろへと回り猿轡に手をかけた。



「待ってな、直ぐに解いてやるから」



 猿轡を解き、続けて手の縄を解く。

 最後に枷となっている足の縄を解いて手を差し延べる。




「よしっと。 立てるか?」



「……」



「どうした? どこか怪我でも……」



「どこへ連れて行くつもり?」



「え?」



 予想外の言葉にアシュレーは戸惑った。

 拒絶されるとは思っていなかったのだ。



「どこって、とりあえず安全なところへ行かないと」



 ほら、と少女の腕を取ると、彼女はそれを勢いよく振りほどいた。

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