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GATE KEEPER  作者: ちゃすけ丸
第2章
27/76

(25)

 それからしばらく、気まずい沈黙が続いた。


 アシュレーは少女が何かしゃべらないかと期待したが、彼女は黙ったままその場から動こうともしなかった。




 痺れを切らしたアシュレーは再び彼女に問いかける。



「君さ、何で追われていたの?」



「……」



「食い逃げ? ……なわけないよな」



「……」



「じゃあ、泥棒とか?」


「……ちがう」




「あ! もしかして兵士に悪戯しちゃったとか?」



「何だって良いじゃない! ほっといてよ!!!!」





 もの凄い剣幕にアシュレーは思わず口を噤んだ。


 剣幕だけじゃない。 彼を睨む瞳に悲痛な色が見て取れたからだ。




 そのまま彼女に背を向け扉へ向かう。



「……悪い。 他人に聞かれたくないことぐらい誰にでもあるよな。 もう聞かないからさ、今は抜け出すことなんか考えずにゆっくり休んでくれ。 俺、外で見張ってるから、安心してくれていいよ。 ……それじゃ、おやすみ」



 部屋を出ると、静かに扉を閉めた。



 扉の外ではジェイドが心配そうに待っていた。



「どうだった?」



「いや、別に……」



「別にってことはないだろう」



「ん、まぁ…… 悪夢見てうなされてただけみたいだ」



「そうか」



 ジェイドは気のない返事をするアシュレーを訝しむものの、それ以上の追求はしなかった。


 アシュレーが再び腰を下ろすと続いて隣に座る。




「アシュレー、話が折れちまったから改めて言うけど、やっぱりこの件からは手を引こう。 これ以上彼女に関わっていたら、お前は誘拐犯どころか、おそらく反逆者として重い罪を背負わされることになる」



「……」



「おい! 聞いてんのかよ!?」



「聞いてるよ。 聞いてるから考えてるんだ」



「何を」



「彼女のことさ」




 ジェイドは言葉に詰まった。

 アシュレーのこんな真剣な表情を今まで見たことがあっただろうか。



(なんて顔してやがる)

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