(22)
「たぶん、王宮の兵士たちだ。 皆、立派な白銀の鎧を着けてたし」
「なっ!? 白銀の鎧だと!?」
「どうかしたのか?」
「どうって………! お、お前、それ王女直属の衛兵だぞ!!! 精鋭部隊に追われてる奴匿うとか…… マジ何やってんだよ! 俺聞いてないぞ!!!」
「ジェイド、静かにしろよ、彼女起きちゃうだろ?」
「バカ! そんな呑気なこと言ってる場合じゃねぇよ! お前このままじゃ誘拐犯どころじゃ済まないんだぞ!?」
「そんなこと言ったって黙って見過ごせないだろう?」
「こういうときは黙って見過ごすんだよ! アシュレー、悪いことは言わない、このままずらかろう」
「それは無理だ。 途中で投げ出せない」
ジェイドの必死の説得もむなしく、アシュレーはその案をはねのけた。
ジェイドは心底泣きたい気持ちだった。
晴れて王都の兵士となれたのに、これでは資格剥奪どころか首がとぶ。
そして何より目の前の友人を、たった1人の見知らぬ少女のせいで失いたくはない。
「いつも飄々としているのにこんな時に真面目なこと言うなよ」
「悪い。 でも、彼女に真実を聞かないままはイヤなんだ」
「もっと駄目だ、お前人の話を聞いたら絶対に首を突っ込むだろ!」
「……確かに」
「だから今すぐ手を引くんだ!」
ジェイドは強引にアシュレーの腕を取り立ち上がろうとしたが、僅かに早くアシュレーは自ら立ち上がると扉に耳を寄せた。
「何やってんだ!?」
「しっ! 静かに……」
しばらく入り口前で耳を立てていた彼は、表情を引き締めると扉のノブに手をかけた。
「彼女、何か叫んでる。 ちょっと見てくるわ」
「おい、待てよ。 俺も行く」
「駄目だ。 お前のその格好だと、彼女また逃げ出すかも知れないだろう? ジェイドはここを見張っていてくれ。 誰か来ても入れないでくれよ」
「おい! アシュレー!」
ジェイドが呼び止めるのも無視して、アシュレーは部屋の中に入っていった。
中に入るとまず部屋を見渡し、窓を見た。
侵入された形跡はない。
安堵の息をつくとアシュレーは少女のベッドへと近づいた。
「眼が醒めたのか?」
アシュレーが小さく声をかけるが彼女からの返事はない。
ベッドの傍らまで近づいて顔を覗くと、彼女は額に汗を浮かべ険しい表情のまま眠っていた。