第2話
やっぱりいい夢見れなかった…。というよりよく眠れなった…。僕はいつもより遅くに登校した。学校に着くと、げた箱に手紙が入っているのに気付いた。
「なになに…」
手紙の内容は『昼休みに校舎裏にて待つ』という誰からかわからない、ラブレターとも決闘状ともとれるものだった。とりあえず教室に行ってひと眠りしよう。考えるのはそれからだ。
あれから結局何も考えないまま昼休みになり校舎裏に行くと、秋吉さんがいた。
「この手紙の差出人は秋吉さんかな?」
「ええ、そうよ」
僕の質問にさらっと笑顔で答える秋吉さん。
「どうしてこんな手紙を?」
「これから紀野君が加奈を遊園地に誘うんだけど、その遊園地での監視をお願いしてもいいかしら?」
「はい?」
まったく言ってることがわからないんだが。
「えっと…どういうこと?」
「加奈を傷つけたあなたにはそれ相応の働きをしてもらわないといけないという話よ」
なるほど、そういうことか。僕が宮下さんを振ったから秋吉さんが怒っていらっしゃると。
「それを引き受けたら少しは許してくれるのかな?」
「許しはしないけど、働き次第では考えなくもないわ」
うは…厳しいなぁ…。
「わかったよ」
しぶしぶ答える。
「ありがとう。日時はまた連絡するから」
そう笑顔で秋吉は言って、用件は済んだとばかりに去っていった。なんだかなぁ…。
放課後になった。
「おれ用事あるから先に部活行っててくれ」
「ああ、わかった」
紀野に用事なんて…ああ昼休みに秋吉さんが言ってたこと本当だったんだ。とりあえず僕は部活に向かった。
しばらくして、紀野が部活に来た。
「どうした? やけに機嫌がいいみたいだけど」
「そ、そんなことねぇよ! いつも通りだ」
明らかにニヤニヤしていて気持ち悪いんだけど、と本人に伝えたかったがやめておいた。
部活が終わり、家に帰ると携帯にメールが届いた。『日曜日に行くからよろしく』という秋吉からのメールだった。はぁ…ほんとにしなきゃいけないんだ…監視…。今日もいい夢見れないなと確信めいた気持ちで眠った。