お土産話
かれこれ山の中を歩き続けてるけど、未だ下に降りられないんだけど
「…北極星は……木のせいで見えねえ!!」
そもそもここはどこら辺なんだ?山の中腹辺りか…?
「川内ー、俺に勇気を分けてくれよぉ…」
…とは思ったものの、彼女達に頼りっきりになるレベルじゃ彼女達を提督として見守ることなんて出来ない。
ましてや自分のせいで彼女達に迷惑をかけている可能性があるわけで…
「気を引き締めていかないとな…!」
しばらく歩いていると、さっき上がる時に使った手すり的な木を見つけた
「これを辿ればもはや価値も同然だろ。慢心はダメだけど、さすがにもう迷うことはない…ないハズ」
木の形に沿って歩き、坂を下りながら下に降りる、と目の前に見えてくるのは懐かしき我らが母港
あぁ、母港って、こんなにも落ち着くものなんだ…
…っていけないいけない。こうやって気がすぐ抜けるから彼女達を見つけ切れないのだ。
「灯台は…灯台は……あれ?」
あれえ…朝は灯台があるように見えたんだけど…
「灯台下暗すぎるだろ。何もねえよ。てか灯台すらないじゃん……それただ周りが暗いだけじゃねーか!!」
あれは俺の見間違いだったってことね。先入観ってやつだろうか…?
「灯台じゃなくてもいい。どこか良いところは…そうだ!工廠の電気をフルでつければ…あれ、ドアが開いてる…」
開けっぱなしにして外出した自分を咎めつつ早速交渉の中に入り、電源を入れようと前に踏み出した瞬間―――
「提督、いないねー…もしかして、提督も夜の素晴らしさに気づいたのかな!?」
「…提督……」
「僕、こっち探してくるよっ!」
「えー、誰か突っ込んでよー!」
突っ込んでくれないと言うことは、私の考えに同意していると言うことかな?
そうだったら嬉しい事この上ないね。だって私のことを信用してくれてるって事でしょー?
…まぁ、冗談はさておき…
「…あ、もしかしたら、お土産を工廠で作ってるのかもしれないね。新しい装備とか!」
「…確かに、うちの優しい提督ならやってそうなのです!…でも、今行ったら探しに行った時雨が…」
「大丈夫だってー、いなかったら私たちも時雨を追えば良いし、いたらいたで時雨は喜んでくれるでしょ」
可哀想な時雨…ま、私が発案者だけどね
そうして工廠の戸を開け、中を一通り探索してみるも、誰もいなかった
「うーん、誰もいなかったね」
「そうですね…」
そうして二人無言になり、工廠の外へと歩いている時―――
「…でたああああああああああああああ!?!?」
「出たって何だ。失礼だなー提督は」
…って、んん?川内と…電?
「…何だ。二人とも帰投してたのか。心配が杞憂に終わってよかっ……時雨は?」
「あっち」
「あっちなのです」
…二人とも別方向を指差すのはやめたまえ
「えぇー、そしたら探しに行くか。今からはぐれるのもあれだし、三人で固まって動こう」
「さあ探しに行くぞー!探しにー!」
「…なぁ、前から…と言ってもまだ出会って1日目ですけど、川内は夜って怖くないのか?って思っててさ」
「んー、怖いって言う感情はないかな、むしろ自分は夜がないとやってけないかなあ…」
「なるほど…?もはや体の一部的な…?」
「そうそう!提督はさすがだねえー」
やっぱ自分以外の誰かといると安心するなあ、いやしかし、三人が無事だと聞いて良かった。いや実に良かった
「そういえば電、南西諸島沖警備は最後までうまく行ったのか?結構帰投まで時間がかかってたみたいだけど…?」
「一応最後の敵まで倒しましたけど…三人とも中破になっちゃったのです…」
「…!?三人とも中破ァ!?大丈夫なのか?体に異常は?苦しいとか痛いところはないか?大丈夫か…」
「提督は心配しすぎだよ。私たちは大丈夫。むしろ、私は提督が心配だよー」
「え?何で…?」
「あまりにも神経質すぎるから些細なことで傷ついてそうで」
…いや、そこまで神経質じゃないと思うけど、そうか、周りからはそう見えてしまってるのか、そこは…何と言うか…どう治せば良いんだ?
「それは俺の長所と受け取っても…?」
「いや短所だね。もうちょっとさー、何と言うか気楽にしなよ。私みたいに夜最高!ってやってると気分楽だよ?」
「そうなのです!最初会った時も思いましたけど、提督はあまりにも優しすぎます!」
「…えぇー、そうかなぁ?」
「…あっ、提督、見つかったんだね」
「ん?おう…ってわあぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
…突然、突然隣に立つのはやめてたもれ…余の心臓に悪いのじゃ…
「ごめん提督、驚かせるつもりは…」
「あ、いや、わかってるんだ。ありがとう時雨。俺は別に驚いただけだから謝らなくて良いんだ。そんな事より、全員揃った事だから―――
「お土産話でも、しようか」




