初出撃!そして帰投…
―――――
「やっばい。死ぬ。暑過ぎて死ぬ」
ダメだこれ。草むしりとかやってる場合じゃないわ
「…電ちゃん。これはあきまへん。死んでしまう。早く建物の中へ避難…あれっ電ちゃん!?」
「草が十五匹…草が十六匹…」
「あああああああ限界迎えてる!!そして草は匹じゃねえ!ほら急ぐぞぉぁぁあ…」
そう言って電を背中に担いで建物内へと走る
「…うおおおお、お…おじゃましまあああああああああああ涼しいいいいいい」
何だこれ天国すぎる!涼しい!
…そういえば上司が冷房暖房は付け放題だよとか何とか言ってた気がする…俺は別に設備で釣られたんじゃなくて、外部からの干渉が極端に少なそうだったからなんだけどなぁ…
「…っておい!電大丈夫かしっかりしろ!!」
「提督さんが十人…提督さんが…」
「ダメだ草が提督になっただけじゃねーか!!」
こんな時はどうすればいいんだ?
普通に額に氷水乗せればいいのか?
…もうとにかくやってみるしかないな
そう感じた俺は爆速で建物内を走り回り何とかして氷と水を見つけ出し薄い袋に詰め込んで帰ってくると…
「提督さん、どこ行ってたんですか…?とても心配したのです。怖かったのです…」
「えええええええ!?ごめんね!?違うんだ俺は君のために氷水を持ってこようと…ほらこれ!冷たいだろ!」
「ひゃっ、冷たいのです…」
「だろだろ……ん?上司からか」
電話が鳴っていることに気づいた俺は電に静かにしておくようジェスチャーをして電話に出る
『おう、どうだ?トラック島泊地は。なかなかに住みにくいだろう?何だか電とか言う奴もずっと住み着いて気味が悪かったんだ。君が行くと言ってくれてとても助かったよ。ところで、君はまだ出撃していないだろう?報告書が届いていないから。頑張りたまえよ。それでは』
…ほぼ一方的に押し込められる言葉の質量が重い
そしてやっぱりこの上司は艦娘をただの兵器としてしか見ていない。軽く一回死んだ方がいいと思う
「…そっかー、他のところでは着任して30分以内に出撃が普通…と言うか同調圧力でそんな感じになってるもんな…俺たちは草むしりで2時間ぐらい外にいたけど、まあ楽しかったよな!なあ電!」
「えっ!?…そうですね。楽しかったのです!」
「良かった。でもまぁ、一応俺たちも任務には出ないと行けない。だからまずは鎮守府正面海域、通称壱弌を警備しないとな…電、1人で大丈夫か…?」
「はい!今の私は何万、何十万と馬力が湧き上がって来るような気がするのです!」
「そうか。無理はしないでくれよ?中破したら絶対に戻ってくるんだぞ?絶対だぞ絶対お前が傷付いて悲しむ顔とか見たくないからな?わかったな絶対だぞぜっ…」
「心配ありがとうなのです。では、行ってくるのです!」
「ちょっと待てよ判断が早いよそれと海まで見送りに行くから待ってくれよ置いて行くなあああああ!!」
そんな会話をしてから既に数時間は経過しているが未だ帰ってこない。
「…あああ大丈夫なのか!?本当に中破してないんだよな!?と言うか単艦出撃させた俺は馬鹿か…」
きっと、大丈夫だ。電を信じろ俺。信じなくて何になる。きっと彼女なら仲間を引き連れて帰ってくるさ。警備を終わらせて報告書を記入し任務を完了させる。きっと大丈夫…
「…あああああああやっぱり怖い!!早く帰ってきてくれええええええ!!」
――――――
私が建造されてからもうすぐで…もう、私がいくつなのかも忘れちゃったのです。
念願の提督さんが来てくれて、しかもとても優しい方でとても嬉しいのです!
だから期待に応えないと…
「なんとか道中の駆逐艦は沈めたけど…この数は流石に厳しいのです…」
目の前には数隻の駆逐艦。私一人で勝てるのでしょうか…?
「…電の本気を見るのです!魚雷装填です!」
今さっき撃った魚雷は…
「命中です!ふぁぁ!?」
…油断していたのです。被弾しちゃいました…
「やられっぱなしなんて嫌なのです!主砲斉射なのです!」
撃ち上げた弾はそのまま美しい弧を描いて…
「やった!直撃、なのです!いまから帰投しま…あれ?あなたは…」
――――――
ああ、大丈夫だろうか…?
本当に心配でならない。
「…というか俺、電ちゃんが沈んじゃったらどうすんの?どうもできないじゃん。俺のメンタルも地位も何もかもが終わりになるよ。でもそんな事どうでもいいからまずは無事に帰ってきてくれ電!!」
「ただいま戻りましたー」
おおおお帰ってきた!!
「おおっ!こりゃまた随分とボロボロになって…と言うか単艦でよく撃破したな…大丈夫か?というか最後まで警備は出来たのか?」
「出来たのです!」
「おおおすごいなぁ、無理はしてないよね?無理はしちゃダメだぞ本当に。無理して勝利を掴みに行くより、堅実にその場の現実を受け入れ対策を練るために引くなりなんなりするほうがかっこいいからな」
「了解なのです。それと、一人紹介したい娘がいるのです…!」
「…こんにちは。僕は白露型駆逐艦、「時雨」。これからよろしくね」
「おああああ!時雨か!どうか電が無茶をしないように見張っといてくれ…と言うかなんだか君もボロボロ…」
「初対面でなんてことを頼むのです〜っ」
「あははは、ごめんごめん。さて、改めてよろしく。時雨!」
「うん。よろしくね」
こうして、我が鎮守府にも一人家族が増えた
…何で時雨まで傷付いているのかはまた今度聞こうかな
実はというか何と言うか、僕の一年ほど前からの提督史をそのまま物語にして創作してるだけなので割と書きやすかったりして…




