第7話
みやたちは遺跡の最深部まで潜り込んでいた。
「さっきから、サブモンスターしか湧いていないな……」
「確かにイリュースの言う通り、今日の目的のモンスターであるブラッドリザードや毛皮が高額で取引されるハイファーベアーが出てきていない。もう少し奥へ入ってみるか……」
ブレウスの提案により、予定よりも深い場所へ潜ることになった。遺跡は入口付近の遠核部、遠核部よりも深い場所は中核部、それよりも深い場所は近核部の三つに分割されている。ブレウスたちはこの中の中核部に位置している。
「···もうそろそろ近核部に入ってくるぞ!ここからはブラッドリザードやハイファーベアーが複数匹で生息している。より一層、緊張感を持って挑んでいくぞ!」
ブレウスの言葉に答えるようにパーティーメンバーたちが士気を上げる。
ブレウス率いるパーティーは最深部である近核部へと入る。近核部内は半円球形のスペースに複数の道が繋がっていて、その一つ一つが枝分かれ状の道が広がっている。全体的に近核部は大きく、一つ一つの道が太い。そのため、モンスターたちも複数匹で生息しているのだ。
このような話をパーティー内で話していると目の前に2匹のブラッドリザードが現れた。
「目的の相手だ!二匹いるから、二手に分かれて戦うぞ!イリュース、エルサはみやと共に1匹頼む。残りは俺とジンカムで交戦だ!レッツ、タイム!!」
ブレウスの掛け声と共にパーティーのメンバーは行動を開始する。
「みや!タゲを取ってくれないか?その間にイリュースが攻撃、俺が援護する!」
「分かりました!」
みやはエルサの言う通り、ブラッドリザードのタゲを取る。ブラッドリザードは高魔血液のモンスターで、高出力の魔法を放つモンスター。凝縮されたブラッドリザードの魔法は一発当たれば鉄の塊を一瞬にして、溶かしてしまう。そのため、討伐するときは魔法避けのエリアバリアを買う人が多いらしい。
「みや!ブラッドリザードのターゲットがみやに変わるぞ!!」
「はい!」
みやに目線を合わせたブラッドリザードは見る見るうちに大きな魔法を唱え、放たれる。
━━━やばい!
「避けろー!!」
心のなかでそう思い、みやは目を瞑ってしまう。だが、なかなか当たらないと思い、みやは目を開くとブラッドリザードが放ってきた炎の渦はものすごい遅さでみやに向かってくる。きっとみやの持つ迅速スキルの影響で魔法でさえも遅くさせているのだろう。
それに気づいたみやは炎の渦に臆せず、ブラッドリザードの炎の渦を華麗に避け、先ほど村で買ったばかりのショートアイアンソードで斬りかかる。みやの攻撃は見事に的中して、ブラッドリザードは怯んだ。
「今だ!」
イリュースとエルサはこの時を好機と思い、ブラッドリザードに特攻していく。イリュースの能力向上された拳の一撃はブラッドリザードのこめかみを割り、脚をへし折る。イリュースの攻撃で弱まったブラッドリザードに高等攻撃魔法ファイアーダークを解き放つ。
解き放った魔法はブラッドリザードの全身に燃え上がるように広がっていく。
ブラッドリザードの全身はみるみる黒焦げていき、最終的にブラッドリザードの血液がポップした。
「みや!凄いねー。あんなに大きい炎の渦を軽々と避けちゃうなんて、やるね~君!」
「そっちも終わったようだな~。今日は目的のブラッドリザードも狩れたし、酒場に行って部分証明して報酬を貰うか!」
ブレウスのチームも討伐したようで、外へ引き返すのであった。
「いや~、この子とても強いわよ!このままうちのパーティーにいれないかしら!」
「急に言われても無理だろ!今回だけのパーティーってことで共闘チームを作ったんだ。みやにも悪いよ」
「…良ければ、次もご一緒しても良いですか?」
「良い···」
「もちろんよ!!」
こうして次の日も潜ることに決まったのだった。