第5話
輩は路地裏へ消えていき、残ったのは先ほどまで絡まれていた少女と幽霊のエモーラとみやだった。
みやは絡まれていた少女に話しかける。
「大丈夫だった?」
「助けてくださりありがとうございました!」
絡まれていた少女は礼をした後、どこかへ行ってしまった。
「行っちゃったね。あの子ホントに大丈夫かな…」
エモーラは少し心配そうに少女を見ていた。みやも同じような考えではあったがあまり考えずに次のことへ意識を変えるのであった。
「やっぱり一番最初の村でやることと言えば…冒険者ギルドに登録でしょ!」
みやは張り切った様子で冒険者ギルドへ向かうのであった。
「······ない…」
村のあちこちを歩いても冒険者ギルドがある気配すら見つからない。
━━━あれ?渚のユナの世界は一つの村に一つあるほどに冒険者ギルドは多かったはずだが。昨日全クリまで進めたんだ。記憶は確かだ!
みやは渚のユナの世界であるはずのこの世界に少し違和感を感じた。
「みやさん、冒険者ギルドないですね…」
「こういう時は色々な情報が飛び交う酒場に行けば、今後の方針を固められる。行こう!」
みやは今度こそ張り切って酒場へ向かうのであった。
「············」
━━━酒場…。この村に多すぎないかー!!普通村に2つか3つだろ!何でこの村に20件も酒場が存在しているのか。
直径1キロの村に20件も酒場がある。奇妙なことに酒場の中にはこの村の住人の人口を超えるほどの人々が飲んでいる。
みやは近くにいた人当たりの良さそうな人に話しかける。
「何でこの村にこれほどに人が滞在しているんですか?」
「知らないの?この村の近くで遺跡が見つかったんだ。ベテランの冒険者が集うほどに今回の遺跡は期待の高い現場なんだぜ!」
お酒を飲みながら自慢気に答える。答えた人によるとここは100人ほどの集落だったが新しい遺跡が見つかってから100倍ほどの人々が通うようになり、急いで宿屋や酒場などを建設したらしい。
「どうだい!どうせならうちらのパーティーと遺跡に入るかい?1人じゃ危ないし、俺らにとっちゃ助かるわけだし。……もちろん金は払うぜ!」
気の良いことに仲間に入れようと提案してくれた。みやはその提案を承諾することにしたため、数日間の間パーティーを組むことになったのだった。