第24話
「勇者様!私たちはここで死ぬのですが···?」
「あぁ、この状況で生きて帰ることはちぎれそうな縄の上を渡りきるよりも難しいかもな······」
「そ、そんな······」
みやの冷めた言葉は周辺にいた奴隷たちの感情を激しく狂わせた。
「勇者様!我らを助けてくれよ!!」
「もう私たちにはここで魔獣に食い殺される選択肢しか繋がっていないのよ······」
「俺はこのまま死ぬのを待つなんてごめんだ!!」
ある奴隷は他人に救いを求め、ある奴隷は現状況を理解して逃げることを止め、食い殺されることをじっと待つ。また、ある奴隷は絶望的な状況を飲み込むことが出来ず、その場から逃げ出すのであった。
そんなことが続いていると突然エモーラがみやの右肩をそっと静かに触り、声を掛けてきた。
みやがどうしたと聞くとエモーラは目の前にある土の壁は偽物だと言う。みやは正直のところ信じられず、土の壁に手を触れさせた。案の定、触れた手には確かにゴツゴツとした土の凹凸を感じる。
「本当にこの先進められるのか···?」
······行けますよ。確かにこの先には道が続いているんですから。でも、ん~~······。確かに壁ですよね〜。
人差し指の節を壁に打ち付けるように動かすエモーラは不思議そうに土の壁を眺める。
「どこかに鍵かボタンが置かれているのだろうか·········あ」
みやの視線の先には下この先へ進むためのボタンと書かれた看板があり、ボタンのようなものが床に置かれていた。
「こんなに怪しそうな簡素なキーって本当にあるんだな······」
みやは恐る恐るそのボタンを踏み込んだ。
━━━ゴゴゴォ······ゴロゴロ······。
踏み込むと徐々に土の壁は開かれ、先へと進められる道が見開いた。それと共に謎の起動音と球が転がるような音が洞窟を響きわたらせる。
みやはこの変な音を聴き、とあるアニメの1シーンに似ていると感じた。
「これってもしかして渚のユナに出てきたトラップ!?」
みやは迅速スキルを使って急いで少し窪みのある空間へ仲間と解放した人々を避難させる。間一髪のところで全員を運び終えることはできたが、過剰な運動で床に倒れ込むのであった。
「ここはどこ、何で私たちはここにいるの!?」
一瞬のことで何が起きたのか理解していない人々は慌てるふためく。
━━━ガガン···!
不気味な音に気づいたみやたちは一斉に静かになり、辺りを見渡す。今の音でどこかが動いた様子は見受けられない。しかし、徐々に地盤がぐらつき始め、崩落すると共に僕らも落ちていったのだった。




