第21話
みやは謎の女性を連れて、ラスラングスの洞窟へ向かった。
「黙って着いて来ればと思えば、なぜ何の策も練らずに盗賊のアジトへ向かっているんだ!?」
謎の女性は動揺を隠せないほどに焦って、次々と質疑を唱え続ける。謎の女性の質問責めに驚くみやであったが、平然とした様子で無言を通し抜く。
「何か言ってよ、みやくん!!」
謎の女性が怒鳴りそうな勢いでみやに話し掛けていると、謎の女性は背後から肩へ腕をのせる感覚を覚えた。
━━━ヒ······ヒ···ヒャー!?
「アハハ!驚き過ぎですよ加織のお友達さん!」
幽霊のような現れ方をしたエモーラに精神が耐えられなくなり、一瞬口から魂が出た。
想定外の出来事で流石のエモーラも嬉しさよりも申し訳なさの方が勝っているようだ。
「······大丈夫ですか影継のお仲間さん?」
「みやくんか······。ここは···あっ!幽霊!?」
気を取り戻した加織のお仲間は幽霊のような者が周囲にいないか確認する。
「ハァー······、みやくん、そこにいる方は?」
「この人はエモーラ。今日の作戦に参加してもらう僕の仲間です!」
「エッ······」
謎の女性はみやに仲間なんていう存在自体に驚愕して、声が出ないような様子を体全体で醸し出した。
「あの···、その疑う眼差しをまず止めてもらっても良いですか······」
「ごめん、まさかみやくん『に』仲間がいるとは今でも思えないから······」
「加織のお仲間さん、さっき出会ったばかりの相手によくそんなことを躊躇いもなく言えますね!」
「まぁ、私はこれまでずっと影で見てたわけだし·········」
「え~······」
「その変人を見るような白い目を止めろー!」
「いや、流石に無理でしょ······」
エモーラの追撃の一言に謎の女性は心をぱっくり二つに割った。謎の女性は膝から崩れ落ちて、泣き始めた。
「加織のお仲間さん!時間も無いですし、行きますよ······」
僕は泣き崩れる謎の女性を引っ張ってラスラングスの洞窟へ足を進めた。
手配書によればラスラングスの洞窟はあまり入りくねっていない初心者と中級者の冒険者の修行場所として重宝されていたらしい。しかし、近年に入り、初心者や中級者を狙った盗賊団の犯罪行為が多発していたり、洞窟内に棲む魔物や埋もれていた宝を独占している盗賊団がいたりなどして、禁止区域指定箇所として今は立ち入りを禁止していると書かれていた。
みやはラスラングスの洞窟が見えてくるとリュックに仕舞っていたある道具を洞窟の入口に放り込む。やがて入口付近から煙が出始め、あっという間に洞窟の入口を塞ぎ込んでしまった。
「何をしたの?」
「予め買っといた煙幕を入口に放り込んだんですよ」
みやはそう言うともの凄い速度でラスラングスの洞窟へ駆け込んでいったのだった。




