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第二話 オタクライフはこうして始まる···。

 青く澄みわたる空、順調に伸び続ける木々、もとの世界とは違う多種多様な色に囲まれた世界。

 こんなにも自然を感じられる世界は他にはないだろう。

 もとの世界は文明が発達しすぎた結果、背景の8割は灰色に染められ、知能を持つ機械まで存在していた。きっと、渚のユナの世界は現実では存在しない環境や力をベースにされて作られているのだろう━━━。

 ━━━でもなぜ俺はあの世界の中にいる…?さっきまでプレイしていたゲームが現実として映り変わった事例など過去を探っても出てこないぞ。

 「━━━この先を真っ直ぐに進んだところにある聖堂へ立ち寄りなさい···さすれば良いことが訪れるだろう……」

 背後からの声に耳の周りはピクピクと震え、くすぐったい感触を覚える。

 急いで振り返ってもそこには風に飛ばされる葉っぱと青く澄みわたる空しかない。

 気のせいとも思えず、助言通りに道を外れないように整えられた道を進む。

 森を越えると近くには小さな村や商人の馬車、野生の鹿や猪が見える。声は聞こえないものの、何か大きな行事でも行うつもりなのか大勢の商人や馬車、防具を着けた人たちが村へと入っていく。

 「あの村に行くには道沿いを真っ直ぐに行かずに、右の小道を通らないといけないが…?」

 みやは悩みながらも進んでいると正面にドでかい看板が立てられている。看板には2つ文が書かれていた。

 ━━━聖堂へ行くのなら左への道を通るべし。集落へ行くのなら右への道を進むべし!

 進むべき道は左の道だが、一番近い村は視認だが右へ10分歩いたところにありそうだ。

 ━━━謎の声通りに進むなら村に寄るのではなく、聖堂直行で進むべきだろう。この世界の通貨も持ってないし、よく異世界転移系である特殊能力を持っているわけでもない。まずは囁かれた通りに聖堂に行くか。

 みやは看板の通りに、左に進むのであった。━━━その看板の表面が剥がれそうになっていて、本当の記述は 【勇気あるものはこの道を左に進むべし。勇気がないものは右への道を進むべし!】と掘られていることには気づかずに……。


 進むにつれて植物が枯れている。森の空気も悪くなっていく。

 ━━━ホントにこっちで合っている···のか?

 みやの視界は暗くなっていき、完全なホラーゲームの背景へと変貌する。木々の隙間からゾンビや幽霊が出てきそうな雰囲気を感じてしまう。

 ━━━もう!何でこんなに暗いの!?暗すぎて幽霊の幻覚まで見始めてるじゃん!!

 みやは一度心を落ち着けるためにバッグの中に入れておいたお弁当と水筒を取り出す。

「わぁー!我ながら美味しそうだ~!」

 ━━━もう〜。美味しそう過ぎておかずが失くなってるじゃん〜!!ハッハッハッ······え…!?

 ━━━何でおかずが消えてる…?俺、一つも手を出してないのに…。え!?

 みやは恐る恐る弁当から視界を上へ上げる。そこにいたのは赤色のロングヘアーにくりっとした目、アニメ体型の大学生くらいの女性だった。だが、足はなくて下半身は服とともに薄く透明に消えている。

「わぁっと…!」

 みやは思ったよりも···いや、とてもかわいい幽霊で恐怖を感じるほど怖くはなかった。

 幽霊は俺の弁当を我が物顔で頬張る。

「すみません…。それ僕のお弁当なんですが…」

 口いっぱいに頬張ったご飯を喋りだすと同時に少しこぼす。

「うぇ!?ぞうあぼっ!?」

「汚っ!!」

 みやの本音が口に出てしまう。幽霊の女性は口に入れ込んでいたご飯を飲み込み、勝手にお弁当を食べたことを申し訳なさそうに謝る。

「それはもう良いよ!それより聞きたいことがあるんだけど……まずは名前かな?」

幽霊の女性は慌てるように言葉を返す。

「エモーラです。この森で守護神として滞在しています」

「エモーラさん、この近くに聖堂ってありませんか?」

「聖堂?」

 言葉の意味が通じてなさそうな表情を取るエモーラ。

「大きな建物で輝くオーラを出してそうな所に見覚えありますか?」

「そのような場所なら1つ知っていますよ!」

 ━━━良かった!これで迷わず着ける。

 みやはエモーラに心当たりのある場所を聞き出す。

「そこはどこなんですかっ!!」

「この森を北に進むと荒れた大地に小さな小城があるんです。これからこの私が案内しますので任せてください!!」

 誇らしく宣言するエモーラの態度はどんなことでも跳ね返してしまいそうで期待ができそうだ。

 ━━━と考えていた時もありました…。

「······どんだけ方向音痴何だよ~!!!」

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