いざ修学旅行
---修学旅行当日
荷造り完璧。ヘアセット完璧。忘れ物が無いか確認をし、準備万端。後は、朝食を食べ、集合場所へ向かうだけである。
10年ぶりの修学旅行。自分の身体であれば、ワクワクでしか無かったが、他人の身体で行くのは罪悪感しかない。
朝食を食べていると玄関を誰かが出ていく音がした。先に、松田妹が学校へ向かったのだろう。
そんなことを考えている内に出発しなければ行けない時間になったので、家を出る。
最寄駅に向かう。
修学旅行とかイベント行く時って見慣れた景色も違う雰囲気に感じよね。
ふと、公園を眺めなら歩いているとベンチに同じ高校の制服を着た少女を発見した。
よく見るとその少女は、松田ひなであった。ぐったりとベンチに寄り掛っている。
「おい、大丈夫か?体調悪そうだが」
近寄り、声を掛ける。
「...あっ、翔太さん。大丈夫です。ちょっと寝不足で休んでただけです」
声も弱々しく、学校に行ける状態には見えない。
「動けるか?取り敢えず今日は、学校休め」
「...いや、今日は部活休めないので行きます。翔太さんは、お気遣い無く修学旅行楽しんできてください。...って、ひゃ!?」
彼女の額に手を当てる。凄い熱だ。
「...そんな状態で学校来られても迷惑なだけだ。ほら、家まで送る」
「...分かりました。自分一人で戻れますので...早く行かないと遅れちゃいます」
こっちの心配をしてるのか。早く立ち去って欲しいのか。一人で帰ろうという素振りを見せるが、明らかに帰れる状態では無い。
「ほら、おんぶしてやるから」
「大丈夫です。迷惑かけられないです」
「いいよ、遠慮すんな」
「一人で行けますから」
そういうと立ち上がり、ゾンビの様に歩き出す。
「あー、めんどくさいな!」
俺は素早く右腕を彼女の背にまわし、左腕を膝裏へ滑り込ませた。体重をしっかりと受け止め、そのまま胸の前へ抱え上げる。
「えっ!?ちょ...」
とても軽い。こいつ、ちゃんと食べてないな。
俺は彼女を抱えたまま歩き出す。
「わかりました。わかりましたから、おろして下さい。...恥ずかしいです」
顔を真っ赤にして、訴えて来たので、結局おんぶで運ぶことになった。