お絵描き描き
今までは、松田翔太としてこの2回目の高校2年を過ごしていた。
しかし今回は元の自分東時生になっている様だ。
「おーい。大丈夫?体調悪い?」
白坂が心配そうにこちらを見る。
「あ、あぁ大丈夫。ご心配どうも」
完全思考がフリーズ。この瞬間おそらく氷河時代されてた。
「そう?じゃあこっちの看板に王子様描いて?私は、人魚姫描くから」
そう言って、白坂がペン俺の前に差し出す。
え?ちょっと待て俺は画力絶望的だぞ?俺の中身が違うって...おかしいぞ。どうして過去の俺が上手い絵を描けているんだ?
「ちょっと、今日は調子悪くてな俺は塗り絵を頑張るよ」
とにかく、嘘をつく。絵なんて描いたら手抜いてるとも言われかねん。
「調子なんて...あんなに絵の練習したんだから!」
そう言って白坂は俺の手を掴みペンを握らせる。
もうやるしか無い。
手本となる画像をインターネットで検索しスマホに表示する。何も書かれていないキャンバスを見るとどこが正解かわからなくなるよね。
トンと狙った場所にペンが着地。第一段階は成功。次は、ゆっくりとペンを走らせる。失敗は許されない。
しかし、案外緊張もなくペンを走らせる音、生徒達の会話で生まれる雑音全てが心地良く集中力も高まる。...これがゾーンか!
数分後、線画が完成。中々いい出来栄えでは無いか?俺の人生で5本指に入る出来である。
...が、俺が描いたとされる絵を見ると明らかに劣っていた。
「...なーんか、今日の東くんおかしいよねー」
ふっと息を吹きかける様に、何処か艶やかな声音で白坂が俺に囁く。
「うぉ!?なっなんだよ」
すると白坂が目を細めてこちらを見つめる。
「明らかにおかしいよ。絵の描き方もちゃんと下書きからって言ったのに、いきなり描き始めるし、東くん来てないかって聞くし。」
ヤバい、完全に疑われているんだが...
「あー、マジ昨日寝不足でゲームしててなぁ?」
「朝、絵の練習してたって言ってたじゃん。...なんか、喋り方も松田見たいと言うか...もしかして!...」
白坂がそう喋ろうとした瞬間、後ろの誰が会話に割り込んできた。
「東くんちょっといいかな?」
声のする方へ向くとそこには、如月が立っていた。
タイミングが良いのか悪いのか...




