紗奈ちゃんはおこ
東堂先輩からラインが来ていた。
内容は、今何してる?みたいなたわいの無い会話だ。
どうしよう。どう返そう。
気になる男の子には、自撮り送ってあげると効果的と言う情報をネットの記事だか、漫画だかで得たので、自撮りをしてみた。
「うん。流石に無いかな。」
我ながら、結構際どい写真が撮れてしまった。まず、わたしそういうキャラじゃ無いし。
ガチャ。誰かが帰ってきたようだ。多分お姉ちゃん。
「くそーあのクソ親父。絶対ゆるなさい。...てあれ紗奈何してんの?そんなに胸元開けて...」
「あ、お、お姉ちゃんおかえりぃ...。何でも無いヨ。」
「ん?自撮りでもして男にでも送ろうとしてた?...あはは、紗奈そんな事しないよねー」
「うん。そんな事しないヨー」
「え?本当にやったの?」
「えっあ」
「紗奈...その嘘つく時右上向く癖直した方が良いよ...すぐわかる。」
「え?うそ...そんな!」
「はぁ、まさか紗奈に好きな男ができるなんて、ショック。」
「いや、好きっていうか気になるってだけで」
「へぇ?どんな子?見してみ」
「やだよ。恥ずかしい。」
「自撮りだってどうアピールすれば良いかわからなかったからやったんでしょ。頭脳は2つあった方が良く無ない?」
「バイト先の先輩何だけど...」
スマホに東堂先輩が映った写真を見せる。
「へぇ、イケメンじゃん。レベル高いの狙ったね紗奈」
すると、お姉ちゃんはポチポチと私のスマホを操作し、私の前に画面を突き出す。
「そんなに気になってるならこれ送っちゃお」
「ちょ、ちょっとおねぇちゃん!」
スマホを取り上げようとしたがぶつかりお姉ちゃんの指が送信ボタンに触れる。
「「あ...」」
東堂先輩とのトーク画面に私の自撮り写真が送られる。
「ごめん。送っちゃった。」
「お姉ちゃん!!!!何やってるの!!」
急いで、お姉ちゃんからスマホを取り返し送信取り消しを押すが、時すでに遅し。画像には、既読がついて居た。
「あぁ...お嫁に行けないよぉ」
「大丈夫だって、SNSにはもっと際どい写真あげてる人居るし...ほら!これを機にコスプレイヤーとかどう?」
「そういう事じゃ無い!」
そんな口論をしていると、東堂先輩から返信が返ってくる。
「ひがしさんと焼肉食べてる?」
すると東堂先輩とひがしの2ショット写真が送られてくる。
2ショット...ということはひがしと東堂先輩は一緒にいる。...ひがしも私の自撮り見たって...こと!?
「ひがし!!!許さない!!!」
「紗奈!?だっ大丈夫?」
私は、ひがしに怒りの電話を入れた。
◇
今日も今日とて無事にバイトを終えた。今日は、如月と同じシフトだったが機嫌が悪い。
バックヤードで着替えていると如月は俺にスマホのカメラを向け、パシャパシャと写真を撮ってくる。
「何だよ。」
「仕返し。この前の復讐。ひがしの恥ずかしい写真撮ってやる。」
東堂くんと焼肉に行った時の話だろう。電話でなんか起こってたからなぁ。あれは、しょうがないだろ巻き込み事故だよ。
「お前それセクハラだかんな?」
如月のスマホを手で隠す。
「...まぁ、ひがしの写真がカメラロールに溜まるのやだし、許してやる...」
そう言い、カメラを取り下げる。
「気が済んだなら何より」
「...東堂先輩私の写真見てなんか言ってた?」
うっ、答えづらい質問をしてきやがる。焼肉の日、東堂くんから如月への想いをカミングアウトされ俺が手伝う事になっている。
東堂くんが如月に想いを寄せている事を悟られない様にせねば。
「...え?あぁ、困惑はしてた...かな?」
「やっぱり...引かれたかな?」
如月はしょぼんとする。本当の反応は、平穏を装っていたが惚気が滲みて、喜んでる様子だった。ここは、フォローせねば。
「そんな事ないぞ?可愛いっていってたぞ!?」
「それ本当?なんか、信用ない。」
最初の返答をミスってしまったようだ。如月からマイナスオーラが漂う。
「本当だ本当。東堂くんも俺も可愛いと思ったぜ!まぁ、少し東堂くんには刺激が強いと思ったが...」
「そんな、ひがしに可愛いとか言われても嬉しく無いし...でも、まぁ信じる。」
「そうか。ちゃんと伝わって良かった。」
誤解は、防げたようだ。ふぅ、危ない危ない。綱渡りしている気分だ。
さて帰ろう。...ん?
荷物を持ちバックヤードを出ようとしたところで、がっしりと如月に腕を捕まれている。
「そんなにちゃんと私の写真みたのか!!許さない!!」
如月ば、顔を真っ赤にしてそう言った。
その後、2回分のシフトは、ともに口を聞いてくれなかった。




