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問題を解く
「平手くん!」
突然担任の田島先生の声が聞こえた。
そうだ、問題を解くように指されていたのに、頭が勝手に別のことを考えていた。
「しっかりしなさい。何度も名前を呼んだのに、遠い目をして」
小さいころからそうだった。
どうも突然頭が違うことを考えてしまうときがある。
悪気があるわけではないが、それで学校や家でもいつも怒られてしまう。
「はいっ、すみませんでした」
凡夫は背筋をピンと伸ばし、しっかりと目を見開いて教科書の文字を追った。
どうもこの教科書は国語の教科書のようだ。
問題は、小説を読んでこの主人公の気持ちを答えるというものだった。
小説はたぶん授業中にみんなで読んだのだろうが、凡夫はうとうとしていたのでよくわからない気持ちだった。
仕方なく隣に目を泳がせると
(続く)