第71話 気をつけて
軍艦狩りから数週間たった。
激戦の末に戦艦を得たムサシ達、海賊船の乗務員達は休暇となっていた。
都市ファンティアに寄港して都市とハンター組合で共同の調査をムサシの戦艦に行う事になっていた。
それ故にまだ戦艦に乗艦していない。ムサシは憂さ晴らしにどうだと海賊船の男たちに誘われて酒場で盛り上がっていた。
で、数ヶ月、海賊船で実習して、みんなに助けられながら幸運にも戦艦を得られたってわけ
長い話だな。
病み上がりを連れ出して、酒に酔いしれて何か話せと人の身の上話を聞いてきたのはあんただろうに
こんなにダラダラとお話されるとは思わなかった。
あとな、俺達が訓練に付き合ってやった話とか実践で何回も助けてやったこととか忘れてないか?
エピソードとして、それなりに面白いと思うんだが。これは感謝が足りないようだな。
途中でツッコメば話したのに……感謝はしてるよ。
感謝するなら休暇と酒をくれ
酒はやれるが……休暇は俺の権限では出せないな。
興が冷めた。それに眠くなってきたから俺達はクールに去るぜ。
まぁよ、酒の肴にはなったぜ。まぁまぁで、くだらない話だった。1年たたずに戦艦を手に入れたことは認めてやる。大したもんだ。
あっ、はぃ。ありがとうです。
じゃぁな、ムサシ。
そう言うと海賊船の先輩である男達はどこかに消えていった。
好き勝手言いやがるぜ。
悪態をつかれたが彼らは先輩風を吹かし、何かとムサシたちの面倒を見てくれる良い性格をした船員達である。
感謝しつつもウザ絡みされて困っていたムサシはやっと一人になれて安堵のため息をした。
楽しい打ち上げパーティだってのに明日を思うと憂鬱な気持ちになる。
前も今もアミによって定期的に地獄の訓練を施されている。そこだけは変わらない日常だ。
アミいわく、軍艦の弱点は中にいる乗組員。油断してたら乗船攻撃されて戦艦の性能を発揮せぬまま、戦いは終わると。
毎度、うるさく言われている。耳にタコができそうだ。
打ち上げパーティも終わったことだし、もう寝るか。
ムサシは席を立ち、自分の部屋に向かった。
次の朝、朝焼けも間もない軍港に停泊する海賊船にて、そこは清々しい朝だった。
いつもと違い何故か早く起きてしまった。おそらく昨日のパーティで食べ過ぎたのが原因だろうと思っていた。
うっすらと、胃がムカムカしているような気がした。
「やっぱり昨日は食べすぎたんだな。あぁ、今日はあんまり動きたくないなぁ」
起きてしまったのは仕方がない。せっかくの気持ちの良い朝日の中だ。ラジオ体操でもして気持ちを切り替えよう。
ラジオ体操をするために体を動かしても問題ないくらいの広い場所を探して移動していた。
アミがいた。
挨拶は大事だ。どんな時代、どんな世界でも重要な儀式である。
「アミ? おはよう。はやいな」
何やら腕の携帯端末をいじっていた。
「朝から熱心に何を見ているんだい?」
「あぁ、ムサシ。オハヨウ。みんなにしてもらう訓練メニューを考えてたんだ」
柔らかい表情でアミは答えた。
ゲッ、訓練かぁ。今日は少々具合が悪いんだよなぁ。お休みしたいな。そう思っていたら口から脳内の言葉が勝手に漏れていた。
「昨日の打ち上げパーティの名残で身体が疲れたまんまなんだ。今日はお休みに……」
アミの表情が一瞬で険しくなった。これはやばいときのやつだ。絶対にヤバイ奴だ。
清々しい朝だったはずが、急に暗雲立ち込めるように見えてきた。空は青いなぁ。
「あぁ。あぁもう。ムサシは本当にムサシだなぁ。まったく。まったくだよ。はぁ、コレは教育だな。教育」
鋭い目つきと優しい声で地獄の宣告をしてきた。
「へっ? 」
とっさにとぼけてみる。隙を見て逃げよう。
「キミには教育を施す。いいね? 」
だが、回り込まれた。ムサシは逃げる事ができなかった。
「訓練じゃなかった? 」
アミがジリジリと距離を詰めてくる。ニッコリとした笑顔ではあるがどこか酷く冷徹な空気を感じる。
「戦艦を得たから完全に弛んでいる。おしお……ごほん。教育します」
「いま? お仕置きって言いかけました? 」
あっ、俺死んだわ。地獄の特訓フルコース路線はいったな、これ。
「聞き間違だよ。訓練と言う名の教育だよ」
肉食獣が獲物を追い詰めた。サバンナであれば喉元に牙が食い込んでいる。そんな状況だ。
「キミには失望しました。再教育します」
これは謝るしかない。誠心誠意謝れば、厳しい訓練が少しでも和らぐようにするしかない。
「ひぇぇ。何でもするから許して」
頑張れ俺、死ぬか生きるか? ここが分水嶺だ。
「じゃぁ、訓練だね。それと言動には気をつけましょう。注意1秒慢心挫傷だよ」
アミの目が光る。謝って誤魔化そうとしていることを見透かしている。この目はそんな目だ。
俺は直感的に逃げられないことを悟った。覚悟を決めるしかないと。
「気をつけます。ハィ」
戦艦を得たとしても油断してはいけない。気を抜いたらひどい目に会う。
注意一秒怪我一生。
気のせいか……安全ヘルメットをかぶった猫が視界の端を横切った気がした。
勢いだけで始めて暗中模索の中で自分の力の無さを痛感した。プロットも作らずに迷走して最後をどうして良いかわからなくなった。主人公の目的を果たしてしまい。何をしてよいか本当にわからなかった。コレまで読んでくださった方には最大限の感謝を。展開の不備や誤字脱字で気分を害した方々に謝罪いたします。文句を言いたい方もいるでしょうからどうぞご自由に言ってください。反省としまして、次回作に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。




