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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第4章 じゃじゃ馬ならし

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第57話 ティーパーティ

 「その観察者さんたちをご紹介します」


サラがそう言うと背中側のドアの閉まる音がした。振り向くとアミ、ナギ、アーニャが部屋に入ってきていた。


今更になって気が付く。自分が入ってきたドアではない違うドアから仲間が入ってきていたらしい。そして隣に別の部屋があるのだろう…これは仕組まれている。悪い気はしないが何故こんな事をしているのか。

その事がムサシの心の隅っこに引っかかっていた。

バツの悪さに思わず頭を人掻きしてしまった。


「なんだよ、みんな…隣の部屋で出番が来るの待ってたのかよ。そうかそうか、そういうことか。ははーん。完全に理解したぜ。」


仲間たちはムサシに遠慮気味にちょこんと手を振りながらサラの机に近寄り、ムサシに目を合わせた。


「鋭いんだか鈍いんだかムサシには驚かされるよ。ごめんね。半分は仕事だったからね。気を悪くした? 本当にごめんなさい」アミはそう言って複雑な表情を見せていた。そして仲間たちも謝罪をした。ムサシは謝罪を受け取る。だが気になったのは各自の手に持っている御盆であった。何かしらのドリンクや酒瓶、おつまみやお菓子やらがてんこ盛りであった。先に来ていたクリスはナギからドリンクを渡されていた。


「ちょっと待ってくれ。謝る必要は無いよ。俺は不思議に思っただけなんだ。さっきから俺を諮るように丁寧に新しい情報を与えてくれるからさ正直、頭が追いつかない。」


そのお菓子の山はなんなんだよと喉元まで出掛かった言葉を飲み込む。突っ込んではいけない。なぜだかそう思った。


バツが悪く自分の頭をポリポリと掻いていたムサシはサラを見る。すると彼女は妙な笑みを浮かべてムサシを見つめていた。


サラがソファーに皆を座らせる。その仲間たちはバツが悪そうな顔を続けていた。その様子はムサシにとって好ましくないと思った。なのでムサシは沈黙をいち早く破ることにした。


「説明の前にだ。その申し訳なさそうな顔を止めようか? 皆にはむしろ、感謝している。色々とフォローしてくれてるし俺を支えてくれた。なにより皆といるのが楽しかった。まぁね、アミみたいな可愛くて凄腕に鍛えられるって事は凄く幸運だと思うし。ナギ、クリス、アーニャが仲間になってくれた事がさ、そのなんだ。さらに幸運過ぎて怖かったくらいなんだ。んでさ、不思議には思っていたんだ。でも胸のうちに仕舞っていた。口に出すと幸運が逃げていきそうだったから。でも、これですっきりしたよ。ドコに入れるか分からなかったパズルのピースがやっとハメ込めた気分だよ」


ムサシは戦闘とは違う高揚感があった。その為に深呼吸を一回した。疑問はまだまだ多いがみんなにも理由が色々とあるのだろう…まずは状況を知る…ムサシは訓練で学んだ事を活かそうとした。


「それで…詳しく説明をして頂けますよね? サラさん。首謀者はおそらく貴方だ、そうでしょう?」


サラを見ると先ほどの笑みが消え、驚くほど冷たい視線に変わっていた。酷く冷徹でいつもの優しいサラからは考えられない異様さを覚える。

しかしだ。サラさんは一先ず置いておこう。信じる仲間たちに思う。先ほどの申し訳なさそうな顔は何処へ行ったのだろうか? お茶菓子を貪り食う仲間に困惑しながらムサシは動揺を抑えることに集中した。


そんなムサシをよそにサラは静かに話を始めた。


「ムサシ、私が一計を案じた。都市からの依頼半分、私の願いが半分だね。君を利用した。アミにはムサシを鍛えてやってって。それでクリスに科学的な分析を依頼したの。ナギは撒き込まれた感じね。アーニャをねじ込んだのは開拓街からの依頼だね。それぞれに依頼を受けた理由はあるんだけどね」


「皆を集めたのは俺のギフト…が原因ですか…?」


「そうね。ムサシがなにかしらの軍艦テクノロジー情報を持っている事が理由としては大きいけど…決め手は違うの。君の目、この世界を見る目、好奇心の塊のようなね。と、最初は思ったんだ…今となっては問題でもあるけど。軍艦に関する興味が多すぎたのは見抜けなかったのよね…まぁ、これは悪い事じゃないんだけどね。一番の理由は都市AIの予想を外れた結果を出した事なの」


「予想を外れた? 色々と気になりますが…気になっていることが。質問をしても?」


「どうぞ」


「クリスとナギの事故ってもしかして俺のせいなのか?」 


「それは違うから安心して彼女たちのは本当に事故よ。どちらかというとムサシにお礼が言いたいくらいじゃないかな? 彼女たちはサイボーグ化の費用で困ってたからね。結構大きな額のお金や貢献ポイントが必要になってるから。だいたいムサシにお供をつける為だけに事故らせてサイボーグ化なんて無駄な事なんかやらないわよ」


「そっそうか、それもそうだよな…」ムサシは有り得ないとは思ってはいたがはっきりと否定されたので腑に落ちた感じを得ることが出来た。


「変なトコに気を回しすぎなんだよ、ムサシは。サイボーグ化の費用は試験で目立ってさ、企業アピールが大成功してほぼ解決よ。契約金で大半をカバーできるから助かったよ」「うむ、感謝している。ちなみにナギに関して、観察の事は最近知ったんだ。隠していたのは私だ。許してやって欲しい」ナギとクリスがまくし立てるようにムサシに語る。


「気にしてないよ、クリス。それじゃ、んと、アーニャはあれかな? お金が必要とかの理由で?」


「彼女もそうね。家族の引越しから移民手続きなんかでね。物入りなのよ。このたくらみを知ったのはつい最近だけどね」


「あのね、ムサシ。ありがとね」アーニャが複雑な表情で言った。が全体的に感じたのは嬉しそうな雰囲気だった。


「それじゃぁ…アミは?」


「あたしは面白そうだったからってのもあるけど…師匠からさ、そろそろ弟子を持ってハンターとしてのレベルを上げろって。ほら人に教えると自分の理解レベルとか上がるって言うし…って違うね。黙ってゴメンネ。守秘義務だったからさ…でもねでもね、自分が発見した人は責任もって暮らせるようにまで面倒を見るってのは元々自分で決めていた事だから…的な? えっと。なりゆき?」


「おっおぅ…まぁそのなんだ。有難うと言っておくよ。何度言っても足りないぐらいだ、アミには特に感謝しているよ」


ムサシがアミに礼を言うとアミは照れくさそうに手をパタパタとしていて風を顔に送っていた。何故照れているのかが分からない。


「皆が何かしらを秘密にしてたのは…都市での事情とか…色々と理由があるってことは理解した。そもそも俺が利用されるとか…俺はそこまで考えていなかった。俺は俺で世界を楽しんでたからな…生きるのに必死だった。あれよ、ハンターになる…艦長になるって決めた。そん時にさ、全部丸ごと楽しんでやろうって思ったから」


仲間に気を使ってバレバレであろうが構わずに話を作って自分に言い聞かせるようにムサシは決意表明を行った。


サラがコチラを見ろと言わんばかりに注目するように呑んでいたカップを机に響くように音を立てて置いた。


「これだけははっきりと言わして。チームを組んだ経緯は意図的な事ではあったけど。彼女たちがあなたを仲間として、リーダーとして認めた事はあなたが勝ち取ったモノだよ。そこだけは理解して欲しい」


「褒めてくれてる? それって褒めてくれてるんだよな? なんかスッゴイ嬉しい」


サラの目はいつもの優しい感じに戻っていた。


「あーでも、戦士としてまだまだだからね。調子に乗らないように。アタシの弟子だからね。ハンターになるって言ったからには覚悟してね。ムサシなんか駆け出しの新米ハンターよ。気を抜かないでね」


「ふぇい」


アミにきつく言わた。きつかった訓練時代の鬼教官のアミを脳裏に描いてげんなりした。


「彼女たちには悪い事をした。観察の仕事を黙ってた事が心底苦しかったみたいだから…」


サラはそう言うと皆にすまなかったと改めて言う。それを仲間たちは頷いて許していた。


「話し始めたときのみんなの顔を見ればわかるよ。黙っていたことには心配後無用だ。さっきも言ったけど気にしてないって。何ども言うよ感謝してるぐらいだって」


皆がムサシの言葉に注目する。


「まぁ、あれだ。イキナリモテモテになった理由がすっきりして清々したよ。ハッハッハ」と乾いた笑いが響く。もてたワケじゃないのは少し悲しかった。ちょっと背が伸びて筋肉ついて調子に乗ってましたよ。自分で言っていて悲しくなった。


「さてと、それでね。気持ちを切り替えて大事なお話をしたい」


サラが端末を操作して空間ディスプレイを表示する。なにかしらのパーティが開かれている写真が移っていた。


「明日に訓練終了の祝賀会&卒業生お披露目会があるんだけどね。そこはリクルートやコネ作りも兼ねてるの。その場で契約とかは無いんだけどトラブルにならないように携帯端末の連絡先交換ぐらいの挨拶なんかがあるの。そこでは適当に挨拶だけにしておいてと言うお願い。ムサシたちのお世話になる組織を用意してあるから。ちなみに今来てるオファーはこんな感じ」


契約内容が次々に表示されている。


「既に聞いていると思うけどムサシとアーニャはグラップリングフック。クリスはセンサーや調査機器を取扱っている所からのCMオファーが、ナギは車関係のCMが盛り沢山来てるね。チームとして依頼は武器関係の撮影なんかが来ている。もっともこれはムサシがオマケって感じだけどね。実力があって見栄えのする美人さんがいるとね依頼が殺到するのよ」サラは話している途中から笑みをこぼしていた。


ウチの女性陣は絵になるからなぁと武装してセクシースーツを纏いポーズを決める姿を脳裏に描くムサシであった。


「契約に関しては利権関係がややこしいから後で私がトラブルやバッティングしないようにそれぞれ契約を組んでみるからね。任せておいて。とりあえず個人オファーは契約で自由が利くようにって感じで。チームムサシとしてはムサシリーダで総合的に取扱えるように手配します。訓練の報奨金もチーム運転資金として含めてますので、後で確認しておいてね。それで取れる契約もなるべく入れてあるからね。ムサシたちは目立ったから調整が大変だったよ。で話は変るけど。私を契約に関してのコーデネイターとして雇って欲しいんだけど…どうかな?」


「いいんじゃないかな? なぁみんな?」


ムサシの言葉をスルーして畳み掛けるようにサラは話を進める。


「リーダーは君だ。ムサシ。クリス、サギ、アーニャさんには了解を既に取ってます。チームにはなんとアミちゃんが加入してます。はぃ、これ。契約書の叩き台です」


クリス、サギ、アーニャが慌ててアミを見る。アミは少し照れた様子でよろしくと言っていた。


ワタワタする三人を落ち着けながらムサシにアミはプレッシャーを与える。


「私がチーム入りすることって珍しいんだからね、感謝するように!!」


「心強さと恐ろしさと安心を感じます。そして感謝を!!」


「フフッ、教官の時みたいに優しくないのは流石に察したな」


そう言うとアミはクスクス笑っていた。さらっと恐ろしいことを言う。仲間になったアミはどんな高度な要求をしてくるのだろうか? まずその要求の恐ろしさを覚える。


「さぁさぁ、気合を入れて契約書を確認するように」


アミに言われて書類を確認する。何種類ものテーブルに並べられた書類を見るとそこにはティーパーティ入会書と書かれている書類があった。そして次々に書類を見ていく。チームムサシと書かれていた書類が目を引いた。サラさんは相変わらず仕事が速いなぁ…まて、これはまた既にストーリが出来ているパターンだな。


用意がいいって言うか人を嵌めていくって言うか。悪い話じゃないから良いんだけどさ。心で愚痴をこぼしながらパラパラと書類に目を走らせて書類を確認してゆく。ひとまず軽く見てみようと思い近場にあった書類をペラペラと捲っていく。


CMオファーのサンプルデザインが幾つか。武器製造会社から装備会社、軍艦や車の整備会社、幾つかの保険会社からもあった。


中にはコスプレ用の衣装制作会社やファッション系なんかのアフォーも来ていた。その中で特に海賊のコスプレしている女性が特に目立って気になった。


「女海賊のCMなんてカッコいいな、船も巡洋艦なのに海賊っぽい装飾にしちゃって…凝ってるなぁ。なんのCMだろ?」


「あぁ、それね…そこなんか凄いんだよ。私の友たちがやってる会社なんだけどね…」サラが説明しようと話を振ってきた。


しかし、ムサシには気になる単語が目に付いた。可愛いらしくも気品があるデザインのロゴ、最初に興味をそそられた単語があった。


[Tea Party] 英字の気品のあるフォントで書かれている。ムサシはてっきり武器やサバイバル装備品メーカーからのCMオファーに関する書類と思っていたが、しょっぱなからTeaと言う文字に違和感を覚えていた。


「ティーパーティ? なんじゃこれ? お茶会? これってなんですか? 組織代表者にサラさんの名前が入っているんですけど。書類間違えて入ってないですよね?」 


「お洒落でしょう? 今なら美味しい紅茶がプレンゼントされます。ちなみに私が会長です。こんどお茶会しよっか?」


サラの変に明るい感じが奇妙に思えた。あからさまだ。気になるってレベルじゃない。わざとらしさが鼻に付く。


「サラさん? まだなんか隠してるでしょ?」書類をチラ見しながらサラさんを疑いの目で見てみる。


「ヴッ!! アヤシイ契約じゃないよ? ほんとだにょ」これ以上に無いくらいのワザとらしい慌て方を披露された。明らかに突っ込みを催促している。


横でワイワイとしているナギの様子が少し通常と違う感じになっていた。大人組の顔が赤らんでいる。


「クリス、そこのカンパリとって、あとね、炭酸も頂戴」


あっ、これお酒だ。アイツラ、人が大事な書類を見てるときに酒飲んでる。どれくらい飲んでいるんだ?


「ナギ? お酒飲んでる?」


「んー? ムサシ? ちょっとだよ? ちょっと」


「実は私も既に飲んでいる」


「クリス?」


「最初から紅茶にブランデーを少し入れてました。徐々に香りが立つように私の腕で演出してみました」


「サラさん?」


唐突な告白に驚きと呆れの表情をするムサシがいた。再び大きく呼吸をするとムサシは強めの言葉を放った。


「今なら怒りませんから正直に話してください。気持ちよくない。俺だけならまだしも、みんなにも関わる事だからはっきりさせたい。こうなると上品なデザインもヤバめな雰囲気が文字から滲み出てるように思える……」


「ムサシ。勘が働くようになったね? 鍛えられたね」


アミがしみじみと言う。アミ…酔っ払ってるんじゃないだろうな?


思考を元に戻してサラとの対話だ。


「VRの記憶で悪い上官に嵌められて酷い目にも色々会いましたから……サラさんのことは信じてますけど。まぁみんなグルみたいなもんでしょうよ……正直に話してください。あれですか? お酒を飲まないと話せないくらいの事なんですか?」


サラさんの目をじっと見つめる。何かを悟ったサラは深く呼吸をすると軽く微笑んだ。


「ムサシには嘘つけないや。不器用でごめんね。隠しきれれば良かったんだけど」


「隠す気が全然無いくせによく言いますね。ネタとして仕込んだでしょ!! そこ!! テヘぺろ顔して誤魔化さない。酒を入れて勢いとノリで押し通すつもりなんですか?」


深い深い呼吸をしてからサラに言葉を投げかける。


「そもそも変なんですよ。ウルトラ仕事ジャンキーのあなたが休暇ですか? 冗談はやめて頂きたい。何か大切な事情で来たと俺は考えています。ここまでの茶番を仕込んで。何かあるんでしょう? ワケを話しくれ、サラさん」


テーブルに飲み物を置くと知らずと力が入っていたのであろう。音が強くなってしまった。


「ムサシ。わかった。少し落ち着いてくれる? 少し怖い……」


サラが仕切りなおす。そして神妙な雰囲気で説明を始めた。


「都市を守りたいの。今ね私たちの都市同士ってそんなに協力してないの。自分たちの生存圏を守るのに必死でね。個々に頑張ってる形なの。商業関係、ハンター組合、辺境の小さなシェルター暮らしの人たちなんかは都市を越えた協力をしつつあるけど。基盤が物資生産能力を保有する都市中心の環境だからね、地域的な協力体制を敷く組織に影響力が少ないの。だから都市単体じゃなくてもっと広い視野で物事を考えられるようにしたい。人類の生存圏を広げる事が可能な位の力を持った協力ができる都市連合を作りたいの。それがティーパーティの結成目的なの」


サラは咳払いをひとつするとムサシの目を見つめて語り始める。その目の奥には何かを期待する気持ちが込められるれているようにムサシは感じた。


「と言うのも本心なんだけど…私の個人的理由もあるの…」


サラはそう言うとムネに手を置いて息を呑む。そしてゆっくりと言葉を紡ぐ。


「私ね。空飛びたいのよ。空!! 空から世界を見てみたいの。昔の映像媒体で飛行機とか見てね。こんなに美しいものが空を飛んでいる。空からの眺めとか最高に素敵でね。私の憧れになったの。この世界なんらかの影響で空飛べないじゃない? 空飛ぶ研究をみんなの力でね!! 一生懸命に研究したらね!! 空を飛べるって思ったの。あでもね。もちろん優先すべきは都市!! みんなの命の安全だよ」


その目に偽りは無かった。澄み渡る大空の果てしない青さの輝きを見た気がした。


「神妙な口調で話し始めるから悪いたくらみでもするかと思ったじゃないですか。あぁ、びっくりしたわ。辞めてくださいよ、もったいぶるの


「子供っぽい夢で幻滅した?」サラが心配そうに見つめてくる。


ムサシは一呼吸をいてゆっくりとした落ち着いた口調で話し始めた。


「いいえ。幻滅なんてする訳ないじゃないですか? 良い夢じゃないですか。素敵じゃないですか」 


「空飛びたいんだよ? 私」


「飛行機って綺麗ですよね」


「空だよ? みんなが諦めちゃってる空だよ!! ナノマシンだかアノマリーとかで飛べないってとか言われてるんだよ? オーバーテクノロジーでも飛べないんだよ? その空を飛びたいんだよ?」


サラは何かにすがるような口調でムサシに語った。それは期待に満ちた問いかけでもあった。


「俺だって飛行機、結構好きですよ? 空を飛んだ記憶は…あるようなないような…でもでも、きっと気持ちいいですよ空飛ぶの!! 僕にとって空を飛ぶのは戦艦に比べたら少しだけ重要度が低いけどさ。うん、飛行機は好きですよ? きっといい気分だろうな。こぅビューンってさ」


そう言って飛行機の形をイメージして手を開き、空中を舞わせた。


「夢を見るのは自由ですよ!! だいたい俺の夢は大戦艦の艦長ですよ? もしかしたらハンターの仕事の最中に空飛ぶテクノロジーが見つかるかもしれないし!! 可能な限りは協力しますよ」


「大義名分の都市を守りたいってのは僕も概ね賛成です。都市同士が協力できる体制は生き残る為にとても大事だと思えます。サラさんの個人的な夢に関しても問題ないと思います。俺はどちらかと言うとそう言う方が信用できます」


「よかった。ムサシが賛同してくれるの少し心配だったの。ムサシってば、最初の頃は生き残る事を熱心に考えてたから、冒険心とか無いのかなって思ってたの」


「何度も言いますけどVRや訓練でさんざん鍛えられましたからね、心境も変りますよ」


「ちなみに飛行機の…私の夢やお茶会の事は他の人たちには秘密にしておいてね。ここのメンバーが知ってて欲しいけど。都市のお偉いさん辺りに知られちゃうとなにを言われるかわからないし。だから秘密にしておいて。お願いね」


「わかりましたよ。秘密にすることはお約束します。それはそれとして酒の量が多くないですか? さっきからカッパカッパと飲んでますよね。そんで、なんかみんながやけに静かなのが気になるんだが」


「「なんかムサシの観察を頼まれた時にその話を聞いていたし。それに白熱してたし、邪魔しちゃ悪いと思って…」」


「おまえら、打ち合わせして、言葉を用意してたろ。棒読み過ぎるわ」


全員ドヤ顔しているのが少しイラっと来るが自然と笑みをこぼしてしまう。


「ムサシの気持ち、受け取った。テーパーティ参加ね。はりきって特権をモリモリつけておくから!!」


ムサシは仲間に目で確認をする。仲間のティーパーティの話すら既に聞いていた様子ですぐさまOKがでた。サラにお願いすることにした。


「あとはムサシの船探しに関してと軍艦経験を積む件、これを友たちに協力をお願いしているの。私が保証するから安心して契約してね。祝賀会にも来てるから挨拶をちゃんとしておいてね」


「それはかまいませんけど。あぁそうだ。サラさん。皆にこの事も確認しないと。相談させてもらっても良いかな?」


そう言って皆を見てみると仲間たちは揃ってOKサインを出していた。

「おっおぅ…俺が断る事を想定に入れてない感じの進め方だな、これ。ここまでされるとかえって気持ちがよくなってくるレベルだよ」これに関しても仲間たちは既にサラから話を聞いており承諾済みであったらしい。なにもかも話は決まっているようだ。


「それで社長さんはこの人なんだけど…顔を覚えておいてね」


「えっ…女海賊だと…コスプレ制作会社じゃないだと? マジ?」


そこには私略船時代の格好をした三角の帽子とフロックコートを身に纏う、いわゆる海賊がいた。

それそれは勇ましい冒険活劇が似合いそうな女海賊とダズル迷彩を施された軍艦の写真があった。


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