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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第4章 じゃじゃ馬ならし

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第54話 ギフト

 アミによる殺意により精神が不安定にされて、再びセラピー治療を受けた。犬達により完全に我を取り戻した頃にアミから連絡があった。それは野外訓練場に来いと言う内容であった。


「あっ、来た来た。ムサシ!! おっとり参上だね」


「よぉ、アミ。さっきぶり!! 普通に呼ばれて来ただけなんだけど? 部屋を出たらすぐにメイドから車に乗れって言われるからさ、言われるがままよ。連れられて来てみりゃなんかビルの廃墟が沢山あるな? んでここナニこれ? 」


「ここはね、都市の廃墟を想定した訓練施設だね。それで先程のハッキングフィンガーをしてもらった件の答えがあります。ほら、手前のビル見てみて」


「おぉ? アーニャがいるな」


そこにはアーニャがいた。地面で小さな爆発を伴い反復横跳びをしている仲間がいた。VR訓練の中で使っていた爆発推進システムを仕込んだジャケットを装備していた。何故それがわかると言うと指先ほどのノズル付近から広範囲に爆発が起きていたからだ。火傷をしないか心配になるレベルの爆発を伴っているが不思議と煙、音、閃光は驚くほど少ない。


これらも、おそらくオーバーテクノロジーの賜物と思われる。爆発推進システムと名前は大層だが実際の所はタクティカルジャケットの一部にとても小さな指の先程のノズルが見えるくらいのシロモノである。ぱっと見ではわからない部品がついているそんな装備だった。


「アーニャがどうした? ビョンッビョン跳ねてんな」


「爆発推進システムのメーカーがね。広告モデルになって欲しいと試作品を持ってきたの。そして今朝の答えはまた別ね」


「言っていることがわからないんだが?」


「ムサシの秘めたる力がハッキングフィンガーだって聞いてるでしょ? 軍艦を性能アップさせるらしい力が備わっているって」


「施設のAIのやつに聞いたな。軍艦に試したこと無いけどな」


「最終試験のさ、戦艦の甲板でやったラストバトル覚えてない? でっかいレイダーと肉弾戦したヤツ。ムサシが追い詰められてハッキングフィンガー猫騙してハメた奴さ」


「しっかり覚えてるぞ。あの戦艦の主砲の爆風でしとめた奴だろ? あれは爽快だった……」


「気持ちの悪いうっとりした顔しないでよ。でね、あの時にアーニャがグラップリングショットのフックをレイダーの手に撃ち込んだでしょ」


「そこまでは記憶に無い。アーニャが隙を作ってくれた事はなんとなく理解してたけど」


「それでね、あの時にね。レイダーの攻撃にハッキングフィンガーを重ねたでしょ?」


そういってアミは大振りの平手打ちをした


「目くらましだけどな? 夢中でやってたからなあんまり覚えてないけど。確かにやったな」


「それでね。要はハッキングフィンガーがグラップリングショットのフックに影響を与えてたんだ」


「うん?」


「フィンガーの影響範囲が以外と広いのかな? 触れた所にしか影響が無いと思っていたけどね。意外と効果範囲があるのね」


「うん???」


「ムサシの能力は軍艦以外にも効果があったって話」


「?????」


「わかんない?」


「つまり? ハッキングフィンガー……って、強い?」


「違うよ。んもぅ、もぅ、いいやちょっと待ってて」


そう言うとアミはアーニャを呼んでアレをやってみてと叫んでいた。


「アーニャを見てて、ムサシ。それが答え」


するとアーニャはグラップリングショットを5階建てビルの屋上を狙い発射しようとしていた。ところがアーニャは頭上に向けて発射してしまった。小気味良い発射音した。フックはワイヤーを伸ばして上空へスルスルと登っていった。


「アーニャは何をしてるんだ? フックを引っ掛けるならビルを狙わないと。なんで真上に撃ってるんだ? 」


「まぁ、見てて。ここからが凄いよ」アミは得意げに言った。


するとフックは小さな爆発をして機動を変えた。最初に狙っていたビルの屋上へ機動を変えた。


「なんだあれ? いつもならゆるい放物線を描いて飛んでいくだけだろ? ほぼ直角に機動変えたぞ、おい?」


「まぁまぁ、慌てない慌てない。ショーはこれからだよ? 」アミは満面の笑みで言った。


ビルの屋上の付近で小さな爆発が起こる。そして空中にフックが舞う。数度小さな爆発をしては機動を変えていた。色々な角度で機動を変え飛び回る。さながら空中でアンカーがダンスしているように思えた。フックから伸びるワイヤーがびょんびょんしているのが少し滑稽ではあった。


「一度の発射で機動変更は5回くらいかな?」


「そのようですね」


いつの間にかにスーツ姿のおっさんが横にいた。


「はじめまして。私はグラップリングショット開発元のアイアンテックのクロガネと申します」


「えっと、はじめまして。ムサシです。会社名がアイアンテックでクロガネさん…でいいのかな? 」


「ええ、よろしくお願いします」


そう言ってクロガネと名乗るいかにも技術屋っぽい格好の中年は握手を求めた。


その男はがっしりとした手で強い握手をした。


「ムサシさんの御蔭でうちの製品の性能がアップしましてね!! いやぁ、興奮しましたよ!!」


「???」


頭がはてなマークで一杯になる。するとアミがすかさずフォローに入った。


「ごめんなさい、まだ説明してないんです。驚かせたくて……」


「あぁ、そうですか。うん、お気持ちは理解できます。そうですよね。驚かせたくもなりますよね。わかりました。では簡単に説明しましょうか」


そう言うとクロガネさんは腕の携帯端末から空間ディスプレイを表示させた。


簡単な解説だった。しかし、すんなりと理解はできた。要は俺のハッキングフィンガーによりグラップリングショットが影響を受けたと言うことらしい。正しく言うと俺とグラップリングショットの間に都市AIの解析が加わるがそこはややこしいので省略されていた。


通常は打ち出したらその襲撃で飛んでいくだけのフックがフック部分推進機構からの小さな爆発で数回の機動変更ができるようになったと言う事らしい。まだ解析が完全に終わっていないが使う人間によって機動変更の回数が変るとのことだった。ちなみに何故爆発が起こるかについての部分は難しくて理解できなかった。


説明に四苦八苦しながらもクロガネさんはフックに追加された仕掛けで空気をプラズマ化して量子状態で粒子がうんうんかんぬんと要領を得ない事を言っていた。


理解していない様子を悟られたのかクロガネさんから要は空気取り込んで圧縮して上手い事必要な物質を取り出して酸素や水素を爆発させているみたいなモノですと言われた。


おまけにフックには射出式のアンカー機能、吸着用電磁石、離脱用爆発機構などが改善されているらしい。その事を饒舌に説明された。


「どうやって機動変更を行うの? 前もって入力でもしておくんかい?」


俺は脳裏に浮かんだ疑問をクロガネさんに聞いてみた。


「そこが凄い所でして頭で考えるだけでよろしいんです…リアルタイムの伝達システムです」


満面の笑みのクロガネさんは饒舌に語った。どうやら技術肌の方らしい。


説明が熱を帯びて難しい単語が飛び交う技術的な話になり、さらにややこしくなってきた。細かい部分は完全に理解できなかったがグラップリングショット側で使用者のID確認を行い、体内IDチップの通信機能を利用して通信を行っているそうだ。


俺のをアーニャが使った場合は重量計算を行い5回の機動変更ができる。逆にアーニャのを俺が使ったら3回機動変更になる。ワイヤーの通信ケーブルと無線通信による脳波コントロールで操作が可能になるそうだ。脳波コントロールに個人ID判別と今日もオーバーテクノロジーは元気なようです。


「俺も使ってみたいんだけど、いいかな」


俺の場合は三回までの機動変更ができるようだった。


リアルタイムに機動変更ができる。これはちょっと楽しくなってくる。俺がヒュンヒュンとフックで遊んでいるとアーニャの呼び声が聞こえた。


「ムサシー見ててー!!」


アーニャは俺が手を振るのを確認すると建物からジャンプした。その姿はいつぞやTVで見たムササビの様でアクロバティックなショーを見ているようだった。


建物から建物へワイヤーアクションで振り子運動をしたり、フックの機動を変化させて複雑な動きをしたりと活発に飛び回っていた。その様子は見ているこっちが大変なくらいだった。


しばらくアクションを眺めているとアーニャがビルの屋上で一休みしていた。次の動きをどうするか考えているようだった。そうするとアミがもうソロソロあれをムサシに見せてあげてと叫んだ。


アーニャは手で答えるとまたビルの谷間を飛び回っていった。勢いは今まで以上になっていた。ビルの谷間を振り子運動をして俺達の前の方にアーニャが近づいてくる。最後の建物を抜けてもアーニャの勢いが緩まることは無かった。


最後のワイヤーアクションから地表すれすれをスイングして大きな振り子運動をして放物線を描くアーニャの姿があった。


その先には高いビルが無い。ワイヤーを引っ掛ける所が無いじゃないか!!


「おい、ヤバくないか?」


ムサシは若干焦り気味の声だった。


「ダーイジョブ、見てなさいって」


アミは俺の心配をよそに平然としていた。


「アーニャがこっちに飛んでくるぞ? あの高さからあんな勢いで飛んできちまったら? おい、やばいだろ? アミ?」


あせり慌てるムサシを無視してアーニャは宙を舞っていた。


アーニャは落下してきた。このままでは地面に激突してしまう。いくらアーニャが強化人間でも落下による衝撃には耐えられないと嫌な考えが脳裏をよぎった。しかし、アミが大丈夫といっていた事を思い出してその言葉に安堵を覚えた。あいつが大丈夫っていうなら問題ないんだろうけどな…と考えている間にアーニャはさらに地面に接近していた。


アーニャが地面にぶつかる直前、小さな爆発を数度見えた。最後に大きな爆発を伴い辺りに砂煙を起こした。


砂煙が風で流されるとアーニャの姿が見えた。体操選手のフィニッシュかと思うようなポーズをして立っていた。


「解説が必要ですな」


唖然とするムサシをあざ笑うかの様にクロガネさんによる解説が始まった。


彼女が装備している爆発推進システムを利用して落下エネルギーを爆発によって相殺して、安全に着地した。


従来の装備ではなく改善された爆発推進システムをアーニャは装備していたらしい。そんな内容をもっとややこしく早口で解説してくれた。


アーニャの場合は爆発推進システムの変化がギフトとなる。運動エネルギーを爆発で相殺し、かつアーニャの身体に異常がおきない程度の爆発エネルギー効果を生み出す機能が改善されたそうだ。


以前、アーニャの瞬間的なダッシュを見ていたときに思った、あれが強力な爆発になったら落下エネルギーを打ち消すことができるんじゃないかな? なんてことが現実になったので少し嬉しく思えた。


ちなみに熱やら衝撃やら爆発効果が不思議な事になっているらしく今後の研究が期待されているそうだ。どうせオーバーテクノロジーで処理することになるんだろうけどな。


ついでにアーニャによって爆発推進システムが変化した。その原因についても説明してくれた。この世界で時々見つかるらしい。身体になんらかの情報を持った人が発見される。ギフトと呼ばれるその情報は都市部でのメディカルチェック時に見つかることが多く、ギフト持ちが何らかの経験を積んだ上でその情報が開示されるそうだ。


ギフトが発覚するタイミングは様々でおそらくオーバーテクノロジーの一種であるとの事で研究が盛んに行われているそうだ。ちなみに俺の場合はハッキングフィンガーと艦船リンクの能力がギフトとなるそうな。


ムサシが少し考えている間にもクロガネさんの解説は続く。先程見せたような無茶はアーニャの強靭な肉体がなせる業であって常人の場合は骨折などの重傷を負うか、最悪身体の欠損が起こるレベルの衝撃になるとのことだった。


「これは単体でハイジャンプなんてできるんですかね?」


「2~3mぐらいならいけると思いますが消費エネルギーがでかいので大きくジャンプしたりするのはオススメできません。移動時の空気吸入も無いので仕様外の使用方法なので…ちょっとやそっとの空気を吸入しても駄目でしょうから…」


「なんとかでかい扇風機とかで空気を送り込んだりして無理したら飛べたりします? もしくはこの先にまた進化したりして? 」


「無理でしょうなぁ…スペック的に…エネルギーゲイン的にも全然足りませんもの。我々も実験してみたんですがね、実際にワイヤーアクションしてないとできないとか。すみません。わからない事が多いんです。確かな部分だけを利用しているものでね。技術屋として不明な部分があるのは非常に問題なのですが利用価値が有りすぎるので…判明しているスペックは確かです。はぃ」


「そうか…もしかしたらもっと進化して空中歩行みたいになって、最終的に空も飛べるかなって思ったけど流石に無理か……」


「空を飛べるとなると夢が広がるんですがねぇ。システムが許してくれないんですよね……」


「そうですかぁ……」


俺の中ではあんだけ急加速に急停止、無茶苦茶な機動変更を見せられていたからもしかしたらハイジャンプや空中を舞ったりできるんじゃないかな? なんて思ってたけどそれはできないらしい。なかなか思う様には行かないみたいだ。


二人で暗い顔をしていた所、アーニャが近づいてきた。


「ただいま!! 楽しかった!! 」


とても爽やかな笑顔がとてもまぶしい!!


「お疲れさん。最後のはヒヤッとしたけどさ、アーニャが楽しそうで何よりです」


「アミと驚かそっかって話になっちゃって、話になっちゃってて…その、ごめんね」


「まぁ、無事ならなんでもいいよ」


「ホントにゴメンね、ムサシ……」


「アミもさ。こういうのはやめてくれよ。心臓がキュッてなるから」


「ごめんね。ムサシ。ちょっと調子に乗り過ぎました」


「しっかし、ギフトか…すごいな!!」


ムサシが目を輝かせている一方でアミが少しマジメな顔をしていた。変な空気になるがクロガネさんの割り込みで有耶無耶になった


「いやぁ、フックはムサシさんのお力で使いやすく!! 爆発推進システムはアーニャさんの御蔭で一般人にも使えるレベルに収まるかもしれないことがわかりました。今までは機械化した人なんかじゃないと危なくて使えなかったんですがね。ちょっとした高所からの転落の安全装置として利用できるかもしれないって。アーニャさんのギフトが成長すれば!! いや!! 可能性は見えたので我々も頑張りますよ!! 研究解析が進んで技術が解明できるかもしれません!! いや!! してみせますとも!!」


妙に興奮したおっさんは見苦しかった。


「では、データ取りもできましたんで、これで今日は失礼致します。契約については後ほど契約書を作ってまたご挨拶に来ますので。ムサシさん、アーニャさん、アミさん、本日は有難う御座いました」


データを取れたことがよほど嬉しいのだろうか別れの挨拶を終えたらさっさとクロガネさんは消えていった。


「なぁ、ところで契約ってナンだ? アミ? 」


「グラップリングのフックと爆発推進システムが変化した、その変化したデータ……利用権利が発生するの」


「俺がフックで」


「私が爆発推進だね」


ムサシの言葉に続いて会話に割り込んできたアーニャが嬉しそうにしていた。


「そう言う事。先生、理解の早い子は好きです。権利に関してやアイアンテックの調査、金額とかね。面倒な事はクリスとナギが調べてくれてるの。後できちんとお礼を言うんだよ」


「姿が見えないと思ったら調べモノしてくれてたのか。感謝しなきゃだな」


「元々、ナギは車の会社で権利関係とか技術的なことか会社関係のシキタリとか詳しいし、クリスは研究関連で調査全般が得意いだし、適材適所ってやつ?」


「お礼か…なんか美味しいもんを施設の食堂で貰ってくるかね」


そう言って俺達は車に乗って廃墟郡を後にした。


帰り道で相談した結果、頭使っているから当初の予定通り甘いものが良いとのことでスィーツ的なモノを用意してもらう事になった。

クリスの部屋でナギとクリスに合流した。二人は調査を終えて丁度、休憩をしようとしている所だった。お茶を用意している所にスィーツだ。彼女達に物凄い感謝された。ちなみに調査結果は問題なく。滞りなく進めてよいとの判断であった。


「アイアンテックはいい会社だよ。作ってる物の評判もいいし。良質な製品を市場に送り出しているから評価高いよ。ナギあなたが良く使っているワイヤーってアイアンテックの製品だったみたいよ」


「知ってますよー。安心安全で有名な所ですからね。使わせてもらってますよ。それにグラップリングフックはハンターに取ってメジャーなアイテムだからね。命を預ける道具は実績と信頼のある会社じゃないとね。ここと契約しても問題ないよ。アタシが契約したいぐらいだよ」


「契約金も一括から分割、製品売り上げに応じて一定の報酬を貰ったりでもいいし選り取り見取りさ。オマケに適正価格。いや、少し高いくらいかな? 長い息の製品になりそうだから……わかりやすく言うとライセンス契約だね。これがお薦めかな?」


ナギがそう言って幾つかの書類に赤丸をつけてくれた。


「まぁ兎に角、裏の無い安全で安心な美味しい話って奴。幸運だったね」


提示されていた仮契約案を食い入るように見ていたアーニャがプルプル震えていた。


「ほおぉぉぉぉっ!! これで引っ越せる。家族とファンティアに引っ越せるよ…こんなに早く目標金額が達成できるなんて……」


アーニャは潤んだ瞳でムサシを見ていた。


「珍しい、アーニャが取り乱してる…なぁ、ナギ。俺の契約に付け足して欲しいことがあるんだけどさ」


「なんか気になるトコあった。ムサシ? 」


「フックに関してはさ。アーニャの手柄もある訳と思うのさ。アーニャがレイダーにフックを撃ち込まなかったらフックの変化を生み出せていなかったと思うんだ。だから、そうだな、ざっくり半分でどうだ? アーニャ? 」


「ムサシ? 」


アーニャが驚いた表情をしていた。


「フックの権利を半分にしようって言ってるんだ」


「えっ? ムサシ……そんな悪いよ……」


アミがムサシの肩に手を置く。


「ムサシ…君って奴はなんて立派なんだ。保護者として誇りに思うよ」


「アミ、なんちゅう顔をしてるんだよ?」


なんとも誇らしげで慈しみのある緩みきった顔でアミがムサシを見つめていた。


「褒めてるんだよ。ムサシ、中々できることじゃないよ?」


「ムサシ? 大きな額なんだよ? 殺人事件が起きるような金額なんだよ? 」


「えっ? そんな金額なの?」


「うん、まぁ、結構凄いよね」


ナギがあきれた顔をしていた。


「うん、凄いよね」


アミが目を輝かして俺を見ている。


「俺一人でやったわけじゃないんだし? なんなら皆で分けてもいいくらいの気持ちはあるぞ?」


「ちょっとこの話は一旦止めましょう。皆ね、冷静になりましょう? アーニャも落ち着いてね。額が額だからね」


一番冷静であるクリスが落ち着いた声で提案する。


「すっかり言うの忘れてたけど。訓練のトップチームに報奨金でるんだよ。契約金に比べたら些細なもんだけどね」


「「知ってた」」


「エッ?」


俺だけ違う単語を言っていた。すっかり忘れていたよ、報奨金のこと。


その間抜けっぷりが可笑しかったらしくみんな笑っていた。なんか皆楽しそうだったから俺もつられて笑ってみた。


部屋には笑い声が優しく広がっていた。

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