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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第4章 じゃじゃ馬ならし

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第50話 行軍開始

 講評が終わり、気晴らしに散歩していたらメイドに見つかり休養しろと強制的に自分のあてがわれた部屋に連行された。別れ際に明日の早朝に行軍を始めると伝えられた。部屋で一人でいると何か物寂しさを感じる。手持ちぶさたから明日の準備を始めた。準備を行うと言っても明日の服を用意する程度ではあるが訓練の最後だと思うと何か心に来るものがあった。最初なんか歩行戦艦にビビッてさ、これからどうなるんだろうなんて思ってた。


その後にアミたちと会って。なんだかんだと世界に慣れてった。アミの丁寧な勉強で知識を吸収しながら訓練に励んだ。資料を見ながら俺なんかが本当に敵性体なんか倒せるようになるのかを考えていた。それがどうだ? 今となっては冷静に戦えるようになっちまった。


現実世界ではまだ敵を倒していないけどVR訓練の経験は現実と同じであるとの事。違うのは流れる時間感覚とリアルデスが無いだけだなんて言われた。VR世界から帰ってみると大抵の記憶は残っている。


何度も理不尽に殺したり殺されたり。仲間を助けたり助けられたり。その仲間を失って無様に泣いて苦しんだり。今となっては恐慌状態になっていた記憶なんかを冷静に俯瞰して思い出せている。


まぁ、VRでの経験ではあるが俺にとっては確かな現実体験だ。今となって疑いも無い。ついでに心にえぐいほどのショックを受けた。その心理的外傷は犬たち、施設カウンセラー、オーバーテクノロジー技術なんかで治している。ほんとにデタラメな世界だと思う。だが悪くない。確かな実感と経験が身に付いている事を感じる。


「肉体的にも精神的にもタフになっている。今のところ実際に敵を倒してはいないが、倒せるヤツは倒せる。そんな気がするって感じだけどな…」


考えていた事が独り言となっていた事に気がついた。そして体に宿る不思議な感覚を独り言で頭と体に納得させようとしていたことに気がついた。その事に少しおかしくなって笑みをこぼしていた。


「考えていてもしかたがない…明日に備え寝れる時に体も心も休養させておこう」


そう言って自分を落ち着けて、眠りに着いた。




電子音とメイドによって叩き起こされる。行軍の為に跳ね起きる。急ぎ着替えて案内される場所へ急いだ。途中で仲間たちと合流する。

アミが訓練生を整列させていた。整列してイサム監督をまっている。訓練生が全員が揃ったのかアミ教官から行軍の説明が始まる。


チームごとに行軍する。支給品を受け取り、ヴァリアブルフレームの先導に従い仲間と歩け。ゴールは随伴の教練ドロイドが終了を伝えるまで夜も昼も無い、ひたすら歩け。ゴールでは盛大に祝ってやるからな期待しておけ。そんな内容であった。


準備開始の声と共に支給品の調達に走る。品を受け取るために配布係りのメイドロボの元に走った。装備品は工業生産品の流れ作業の如く次から次に受け取るスタイルであった。急かされ手早く受け取る。


最初は背嚢等の大きな物から、次々に小さなものを渡される。背嚢へ小物を次々に投げ込んで対応する。後で空いているスペースで欠品が無いか確認するのに一苦労だった。


腕の携帯端末で支給品を確認しながら一式を背嚢に重量バランスを整えながら入れてゆく。背嚢の準備が整うとタクティカルベストを着込み調整する。そして予備弾薬、手榴弾、その他の小物をベストに仕込んでゆく。


タクティカルパンツやシャツの摩擦保護材による冷やりとした感触と密着感に、一瞬の安心感を覚える。訓練中にずっと世話になっていた感覚だった。次に指先が開いているグローブを身に着ける。肘、膝、脛とアーマパッドを装着させてゆく。


装着感に異常が無いか確認し終えるとサイドアーム、コンバットナイフを好みの位置に装着する。最後にアサルトライフルのスリングを調整して準備を終えた。


ほぼ同じようなタイミングで準備を終える仲間たち。チームで各自の状態に問題が無か客観的に確認した。それが終わると一呼吸置いてから自然とお互いの拳を突き合わせる儀式を行っていた。仲間たちの目は静かに燃えている様であった。ムサシはチームの一体感を心地よく感じていた。


準備のたちたチームから行軍を開始していた。ムサシたちは出発の儀式を終えると他のチームと同じようにイサム監督とアミ教官に敬礼をして出発した。


先を歩くのは3m級のヴァリアブルフレーム、軽量2脚歩行型人型機械、人型と言っても逆関節の腕付の駝鳥なんかにも見える。ずんぐりとした胴体のフレームであった。VR訓練での対機械系ミッション辺りでよく殺された記憶がある。男の子のロマン成分が沸き起こさせる。


ロマン衝動を抑えながら先導を行う人型機械を冷静に分析する。手持ち火器装備の非完全装甲警護フレームだ。急所は間接部や装甲が無い部分。隙間から人が乗っていない事がわかる。遠隔操作もしくはAI制御であろう。


思考はヴァリアブルフレームのスペックに関してから配備された理由へと移る。訓練生を護衛するには丁度良いのかもしれない。街から離れると敵性体が現れることもある。行軍する環境は高原森林帯なので敵性体にはナマモノが多いだろう。


俺たちの手持ち火器でも十分撃退できるがイレギュラーに備えての配備であろう。こいつがいれば安心して行軍できるな、なんて事を考えながら歩みを進めていた。


数時間するとただ黙々と歩く行軍になっていく。施設から伸びていた舗装路から離れ森の小道に景色は変る。初日は特に異常も無く仲間たちは元気に行進していた。


行軍24時間が過ぎる頃にムサシは肉体的に強化されている事を感謝していた。小休憩では仲間の様子を確認する。仲間にも特に問題は無かった。生身の連中よりは格段に性能が高い身体を持っている。訓練でさらに最適化が進み基本スペックが驚くほど向上している。その事には訓練中で慣れているはずであったが行軍によって更に最適化され調整が進んだ事を感じていた。


休憩を終え、スタートする頃には小雨が降り始めた。ポンチョ状の外套を装備して歩みを再開する。時折に風に吹かれ顔に雨がかかる。多少鬱陶しいがVR訓練の中で経験したことに比べれば大したことではなかった。ひたすら歩く。


歩きながら食事する。食事といっても形態固形食料、いつも食べている味気の無いカロリーフレンドだ。粘土の様な固形物をひたすら胃に流し込む。風が強いときに顔にかかり、雨に濡れた携帯食料の食感が余計に粘土に思えいた。歩みを続ける。


3日目だろうか肩に食い込む背嚢や体に身につけている予備弾薬や装備品が重く感じてきた。投げ捨てたい衝動に駆られる。


この頃からは小休憩や少し長めの休憩では交代で眠りを取る。そして歩く。飽きもせずヴァリアブルフレームは先導を続ける。どれくらい進んだか何時間たったか等はクリスが把握していたがそのうち誰も気にしなくなった。


無言で進むことが多くなり疲労もたまってきた。ある時、起伏が激しい小道にてぬかるんだ地面に足を滑らせてナギが滑り、アーニャが巻き込まれ二人は数メートル滑落した。二人とも怪我は無いが装備品の損傷が発生した。


対アノマリー寝袋が破れ使い物にならなかった。もっともこれが木の枝や尖った岩などから彼女らを守ったので不幸中の幸いであった。そして、ナギが自分の失敗で迷惑をかけた事に対して全力で謝り倒していた。アーニャはそれを優しく問題無いと告げナギを労わった。クリスは優しくそれを見守っていた。


ムサシは何かフォローをしようとよい言葉を捜していたがクリスから目で余計な事はしないほうがいいと無言の圧力を受けた。ムサシはその指示を大人しく受け入れた。


損傷対応でもたつき時間がかかった、再スタートしようとするとヴァリアブルフレームのAIよりアノマリー警報を知らされた。電磁気嵐がくるそうだ。


不幸は重なるものだと思いながら対応を仲間と相談した。


対アノマリー寝袋は人間二人は入れるように簡易シェルターへの拡張機能が設計に組み込まれている。俺たちの様な事故が起きた場合を想定していたかの様にだ。相談の結果、ムサシとアーニャ、ナギとクリスの組み合わせでアノマリーを凌ぐ事にした。取り急ぎ、野営地を決めて準備に入る。


その辺にあった小枝で即席シェルターを作り対アノマリー寝袋を用意して嵐に備えた。ヴァリアブルフレームAIは対アノマリーモードに移行する為に停止モードに入る事を告げ格納停止状態へと体を変形させてコンパクトに手足を折り畳み静かになった。


また嵐の後でねとナギとクリスに言い残し寝袋の中に入り込む。後からアーニャが入ってくる。訓練中に散々雑魚ねをした中なのであまり遠慮もなくなっていた。ナギには仲の良い歳の離れた兄妹みたいだな、なんて言われてた事を思い出していた。アーニャにもっと奥に詰めてなんてぶっきらぼうに言われた。言われたことに従っていると確かにそうだなと納得してしまう自分が居た。


小型のシェルターテントの様なものだが寝そべって顔の部分が多少空間がある程度のものである。ファスナーを閉めると隙間をナノスキンが虹彩模様に変化して覆っていくのが見えた。隙間を保護し終えると透明になり閉じたファスナーが見える状態になった。実際にアノマリーに遭遇するのは初めてだった。アノマリーの最中は敵性体も大人しい。


と、言うか大人しくしているしかない。そんな事を思い出していた。アミの教育の賜物である。訓練中の座学でも繰り返し勉強した。ハンターの基礎として正しく恐れよと座学で叩き込まれている。発生原因不明ではあるが対処法を理解しているので今回遭遇したアノマリーはゴロゴロと煩い嵐みたいなものと認識していた。対アノマリー災害用の寝袋兼シェルターに入ってしまえばさほど怖くは無い。


やがて磁気嵐が辺りを暗くしながら雷を伴いやってきた。

アーニャは疲れ果てていたのですぐに眠りこけた。アーニャを胸に抱くような形で寝ている。丁度良い体温に心を癒されつつ訓練の疲れに眠気を感じていた。しかし問題があった。いつものムサシのスケベ問題である。いつもなら欲情はナギやクリスへ向けられていた。アーニャは明らかに成長具合が子供である。


ロリではないが美少女だ。手を出してはいけない理性が働くレベルではあった。しかし体は疲れ生命の本能が目覚める。次の世代に遺伝子を残せと。頭と体が言うことを聞かない。いくらなんでもこの年齢の子に手を出してはいけない。抑えろ、己に勝つんだ。苛立つ体を抑え理性が勝つ。よし、落ち着いてきた。少し冷静になれた。ここで一旦決意表明だ。自分の中に掟を作るべきだ。俺の倫理観が全力で頭脳を回す。


頭では自分を信頼してくれて眠る仲間に対して尊敬と友愛を抱いている。絶対にエロを抱かないと誓っていたが体は意思に反していたこともあった。疲れている時なんかは顕著に体のシグナルとして現れた。なんだかとってもドキドキするそのような時もあった。だがしかしッ!! VR体験や訓練なんかで鍛えた精神は確かにムサシを成長させていた。


戦友を邪な劣情で見ない。そうだ仲間だ。命を預ける戦友だ。そうムサシは自分に言い聞かせた。仲間にはエロ禁止。なるべく禁止。もう一息頑張れ自分。戦友に対しての礼儀だとスケベ心を封印すると心に誓った。


そうして静かにムサシは自分の腕を強くつねった。痛みでどうにかスケベな意識を逸らそうとしていた。痛みに耐え欲情を抑えた数分後、その試みは成功した。一仕事終えた様な充実感を覚える。俺もまだまだだなと苦し紛れの思いを抱く。そして疲労による疲れから眠気に誘われ、目を閉じた。

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