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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第4章 じゃじゃ馬ならし

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第49話 己の価値、チームの価値は

 VRから目覚めて外に出るとメイドが目の前にいた。試験は終了しました。まずは休息してくださいと説明された。言われたとおりに控え室で仲間と犬たちとゆっくりしていた。犬たちは監督官からのひと時の癒やし時間という名のプレゼントであったようだ。休憩中はここにいてくれるらしい。


「試験内容の講評を行う。対象者は監督が呼ぶ。各自そのまま待機していろ。その後に行軍訓練だ。準備時間をやる。それまでに体調を整えておけ。VR酔い等の体調不良の者はすぐに連絡しろ。以上だ」


と、アナウンスがあった。


俺は微睡みながら犬を撫で休息を楽しんでいた。他の皆も雑談しながら思い思いに犬たちと戯れている。


「休めと言われたけど今までのノリからすると暇で逆に怖い。後に控えてる行軍ってのがやばいんじゃないか? ワンちゃん撫でられるから良いんだけどさ」


ムサシの言葉にゴールデンレトリーバーの耳をいじっていたナギが反応した。


「行軍経験がある昔の仲間に聞いたことあるけど…みんな思い出したくないとか青い顔したりさ、なにかと不安を抱かせる感じだったよ。ごめんね、内容に関してはさっぱりだよ。やな予感しかない。んん? えっ? おぅ!! ねぇねぇねぇ!! そんな事より、試験成績が総合トップだよ? 凄くない? 」


俺たちは試験に集中するためにランキングは見ないようにしていた。途中から見ないようにしていた。皆も終わってもすっかり忘れていて何気に結果表を見ていたナギが驚いていた。


「落ち着きなさいナギ。イキナリ大きい声ださないのワンチャンたちたちびっくりしてるじゃない。ほらもぅ、バタバタ大きい動きしないの。あらホントにトップなのね。驚いた。良いチームだとは思っていたが。そうかそうか」


ナギとクリスがいつものやり取りをしていた。もっとも若干の戸惑いは感じられるが…クリスの気持ちを抑える努力が口元の緩みからチラホラと漏れているのが見えた。常に研究者らしく冷静でいようとする彼女の性格なのか1番の抑え役がニヤけてしまうのを堪えている姿にホッコリする。こんな時ぐらいはしゃいでいいのにとムサシは思った。


「トップ? ホントウニ? トップ?」


珍しくアーニャが取り乱していた。冷静沈着なイメージもあったが、こんな表情もできるんだと感心していた。子供らしい一面もあるじゃないか? いつもクールに可愛いから少し驚かされた。


一通り騒いだ後はまたダラダラとくつろいでいた。


一同は完全に緩みきっていた。アーニャが試験中には張り詰めていた顔を都市相応に可愛く緩ませて犬と戯れていた。基本的に俺以外は金に困っている。ナギとクリスはサイボーグ化手術の返済があるし、アーニャは家族の引っ越しと都市移住申請のために金が必要だった。試験成績が今後の仕事に影響するために彼女たちは良い結果が得られた事を喜んでいた。所属するかもしれないハンター団体の勧誘や仕事依頼などが変り収入に影響が出るからだ。


頭の隅っこにはあった。金は大切だ。しかし、俺の頭は試験突破をメインに動いていた。気にしても仕方が無いし目の前に集中しようと提案し、その提案は仲間に受け入れられていた。特に試験中は冷静沈着に無難にと考えて行動していた。しかし、突発的な対処も必要になったり、予定通りには動かなかった。そして、なんだかんだ派手に動いてしまった。それが結果的に良い結果となったようだ。この世界のいるかわからないが幸運の神様に感謝しておこう。


「最初はムサシにリーダーを任せても大丈夫か心配もしたけど結果オーライだったね」とナギが満面の笑顔で俺の肩をビシバシと叩いていた。


「よく言うぜ。誰もリーダーシップ取らないから俺が率先して動いてるうちに勝手に決まってたじゃないか? 」


「そうは言うけどさぁ、アタシはミッション中なんかはハッピートリガーになっちゃって周りが見えなくなる事が多いしさ。クリスはクリスで分析に集中しちゃうし」


「うんうんダイジョウーブ!! あの役割分担は上手くハマっていた。効率的だったろうに? あれで良いのだよ」


犬を撫でながら満面の笑みでクリスがナギに同調していた。救いの手を求めるようにアーニャを見るが複数の犬にまみれて至福の顔をしていた。床に転がって犬たちにもみくちゃにされている。


「なぁ、アーニャ何とか言ってくれよ」しょうがないのでアーニャに救いの手を求めてみた。なんとくなく回答は予想してしまうが気にしない。こういう時はボケが続くだろう。それがこのチームの癖だと俺は肌で感じていた。特に今は皆の気が抜けているから適当にたらい回しされるであろうと思っていた。


「私もいつも狩りでは単独で動いていたし、ムサシもリーダ任せても焦ってない感じで安心の匂いがしたからさ。リーダーを任せたほうが良いかなって思った。むふ~」


「えぇ、何だよ匂いって…


」アーニャは俺の疑問をよそに一応の反応をした。おおよその予想はあっていたが妙な理由であったので俺の中で疑問符がついた。だがアーニャが犬と遊んでいる方が今は良い様子と思えた。戦士にも休養が必要だ。アーニャは大きめの犬を寝転んで抱きしめていた。犬は犬で若干の困り顔するが尻尾はパタパタと喜びの感情をしめしていた。


その様子をナギがおねーさん面をしてムサシたちを眺めていた。それの様子をなんとなく気がついているムサシではあった。


「何にせよ、上手くいってよかったよ。おかげ様で精神と肉体の両方が鍛えられたって感じだよ。VR訓練で何年も戦場を経験したかの様な効果が得られているって言ってたけど。本当にそんな気持ちになってきたよ。狩りの後の充実感や心地よい疲労感も感じる、不思議なもんだね 」


アーニャが見た目には完全にリラックスした腑抜けた感じではあるが訓練の的確な感想を伝えていた。


「私も半信半疑だったけど数ヶ月の訓練でだ? その中にVR訓練で時間的圧縮した効果というのかな? 効率的に訓練を行う効果がある? つまりそう言うことだ」


「よくわかんらんわ。どういうことなんだよ? 」


ナギが説明しようとしたが途中で放棄しやがった。半端なボケに近い感想で俺も突込みが甘くなる。


そこにクリスの解説が加わる。


「簡単に言うとだ。我々はオーバーテクノロージーの力によって圧縮された時間の中で経験を積み精神や戦闘センスを鍛え、VR時間の間に肉体の調整がある、これは合成食料やナノマシン調整等で肉体、サイボーグ体、そして機械体ですら調節する。これらに加え実地訓練で肉体と精神の整合性を取る、こうして効率的に戦士にさせられたんだよ。理論立てて解説して、モゴッ! ナニをするモゴ、ちょっとナギ? モゴゴ」


ナギがクリスの長くなるであろう解説を遮り、物理的に封じて口を挟む。


「はいそこまで、訓練中に食べてる味気の無い合成食料あるでしょ、あれにプロテインやら身体強化ナノマシンなんか入ってるからね。シャワーですら調整用のシステムの一部だってね。知ってた?知っているよね? 使用時に艦内メイドから説明あったもんね」


ナギはクリスの口を両手で抑えていた。


「それをクリスに全部丁寧に噛み砕いて説明させるつもりなの? ムサシまだ聞く? クリスにも休憩が必要なのよ? 凄い技術でアタシらはハンターになる準備が整いました!! とりあえずはそれでいいじゃない? ねっ? 」


ナギがわかるような、わからん説明で話を切り上げてくれた。長い難しい話になるのは御免だったようだ。クリスには悪いがサンキューナギ!! 


クリスが言い足りなさそうにしていたがナギのキッと言う何かを伝える目線でそれを封じられていた。しゅんとしているクリスは子供っぽくて、いつもと違う感じがして可愛く思えた。助け舟を出したい所だが解説モードに入られるとそれはそれで厄介なので大人しくしていてもらうことにした。


「それにしても相変わらずのオーバーテクノロジーっぷりだ。感動を通り越して恐怖すら覚える。なんでもありかな? 」


「できないことはできないぞ? 限界はそれなりにあるぞ? ん?」


みんなが俺の顔を見る。そんなに不思議そうな顔してこっちを見るな。


「こっちはこの世界の常識に慣れてないんだよ。仕方ないだろう?」


「歩行戦艦や機動武者なんかはすぐに慣れたくせに」


「あれはロマン枠だからいいんだよ」


「ほーん。そんな事言ってるとムサシはこれから山ほど驚くことになるぞ? 苦労させられるぞ?」


「へーへー、それはそれは楽しみにさせて頂きますよ。大歓迎してますよ」


「だいたいさーぁ……」


仲間との雑談を楽しみながら俺たちはリラックスしていた。昼寝を始めるナギ、犬と戯れるアーニャ、試験内容の分析を始めるクリス、それぞれに休憩を満喫していた。


ぼんやりと試験成績を眺めながら考えているとムサシには頭に浮かぶことがあった。


この世界には驚かされっぱなしではある。トンデモ技術にビックリモンスター。オマケに仲間には美女美少女だ。そんでもって俺なんかがリーダーでもトップに立てた。それも優秀な仲間がいてくれたおかげだなとは考えていた。誇れる仲間と訓練チームを組めた事が幸運だった。俺はその事に対して心より感謝をしていた。それは良いとしてだ。


問題が一つあった。俺の正常なる生命本能、どうしようもない気持ち、どこからか湧いて出てくる劣情に悩まされていた。


それと同時に最後の試験で感じた違和感を思い出していた。支給された色気の無い戦闘服ではあるがその上からでもスタイルの良さが見えてくる。チームメイトは素晴らしき身体を神から授かっていた。それがちらっとでも視界に入ってしまう時、正常な高校男子であれば仕方の無い衝動が生まれてしまう。そう!! スケベ心だ。もはやチームメイトは戦友である。命のやり取りにおいて背中を預けられることができる。そういった類の仲間である。頭の中では完全に理解している。しかし、スケベ心を仲間に抱いてしまう。


このことに俺は悩んでいた。仲間に対してあまりに失礼ではなかろうか? こんな事を考えているリーダーがドコにいるだろうか? 俺は罪悪感やら生命賛歌やら男子高校生の劣情なんかが頭の中でグルグル回っていて考えがまとまらなかった。なんとか自己を正当化しようにも経験が足りないのであろう、上手な言い訳もできずに悩んでいた。戦闘中は命を大事に仲間を大事にを重心に考えて、なんとななっていたが疲労が抜けた状態では心を落ち着けることすら怪しい。


頭と体が一致せずに違和感すら感じていた。自分に正直になろうよと言った悪魔の囁きと戦友に対しての礼儀、戦士の誇りは無いのかと言う天使の忠告、そんな連中のアドバイスが頭の中で鳴り響いていた。本当にどうしたらいいのだろうか? VRで訓練でもさせてくれりゃ良かったのに…



「…シ…サシ…ムサシってば!! 呼ばれてるよ? 」


「んぁ? ありがとう」


視線を目の前に移すと犬と戯れるチームメンバーたち。本当に彼女たちと組めて幸運だった。しみじみ思っていると寝ぼけた頭にチョップを落とされ現実に戻らせられる。


「んぁ!! 」


「業務連絡、業務連絡。ムサシ訓練生。面談室まで来てください」


館内アナウンスから呼び出されていた。


部屋を出ると案内メイドがいた。丁寧な仕草をされて仰々しく連行される。面談室に入るとイサム教官がいた。


「ムサシ訓練生。まずはトップ見事であった。アミの訓練が効いたってのもあるがお前の底力が導いた結果だ。素直に喜んでいい」


俺がうっすらと脳裏で気にしていた事を監督は見抜いていたようだ。出だしで安心させてくれる。


「後で成績レポートが出る、苦手な部分の対策も書いておく。ついでに戦闘教練あたりの連絡先が紹介される。後でよく読んでおくように」


俺は監督のじっと生徒を見つめる優しくも厳しい瞳の中に厳しい環境を生き抜いてきた戦士のきらめきを感じていた。ただえさえ強面であるが笑うときは優しくなるそんなイサム監督に怖くもあるが信頼の念を訓練中に感じていた。


アミの師匠ってのもあるから初めから覚悟はできていたってのもあるけど訓練中の的確なアドバイスあたりから指導力がある事は理解していた。銃の撃ち方や戦闘時の考え方なんかを訓練中に叩き込まれていたからだ。


教えを理解すればするほど訓練が上手く進み体感的にも思考的に良くなる事、戦いが楽しくすら感じていたからだ。訓練の後半では絶対的な信頼を預けれられる。


そんな気持ちになっていた。その監督から評価が下される。


「前線指揮官を目指すのもいいだろう」


一呼吸を置き、ゆっくりと語りだした。だいたいこんな内容であった。


チーム評価は悪くない。前衛中衛後衛で言うと。中衛系が多いチームだな。遠距離を鍛えておいたほうがいいな。射撃主体のチームだから基本は遠中距離戦のオーソドックスな戦術で行くのがいい。基本を鍛えておくのは大切なことだ。何を売りとするかはこれから伸びる技能で選択すれば良いからな。まずは基本を抑えていけ。突発に近距戦闘になってもムサシの臨機応変な対応、アーニャの突撃力、ナギの重火力、サポートのクリス。これで大抵はなんとかなるだろ。


強敵や敵数に弱いのかもしれんがこれはどこも同じ様なものだろう。超エース級でもおらん限りはジャイアントキリングや一騎当千など、そうそう起こらん。


もっともお前の戦術眼とクリスの分析力でそこまでの危機的な事態にならんとは思うがな。アーニャの嗅覚も優れているし。危険察知能力は高い。ナギは機械系に強いから遺跡なんかでは環境から気がつくこともあるだろう。この辺は探索系で特に重宝されるだろうな。危険察知ができるのは強みだ。


ナギの機械系の敵の知識、アーニャの生物系の知識、クリスの博物学的な知識。ここらは使い勝手がいい。好まれるだろうな。


ムサシの艦船知識は…あぁうん偏りが酷いが、あれだ。艦船防衛の時に役に立つ。あぁすまんすまん。ムサシはなかなかの指揮力だ。ここは褒めて良い。強みを活かして仲間を自由に動かして結果を出したんだ、初めとしちゃ上々。こいつを伸ばしていけ。


総評として全般的に好まれるチーム能力だ。どこからでも加盟申請が来るだろうな。


ムサシ個人の評価としてはだが…良くも悪くも二面性が見られる。キーになっているのは仲間の危機だ。ここでお前の特徴が現れる。不安な癖に追い込まれると逆襲に出ると、いった表現が理解しやすいだろうな。


仲間を守るために囮になったり踏みとどまったりするだろ? 悪くは無い。俺も嫌いじゃない。だがな違う発想を幾つか用意しておけ。いつもと同じではいつか駄目になるかもしれない。引き出しの中身は深く豊富にしておけ。


全体に的に慎重なのだが突発的に賭けに出るときがあるココを注意しろ。戦略的には勝てる状況を作れ。戦術的には当面は死ななきゃいいコイツを心がけろ。臨機応変さは中々のものだ。


リーダになり部下が増えるとお前の考えを不安に思う奴も出てくるだろうから、可能であるなら戦う前に勝っている状況を構築しろ。部下に戦う前に勝てると思わせろ、そいつが当面のお前がやるべき仕事だ。わかるな?


褒めるとすれば環境を利用する発想が良い、意表を突きすぎる点はある…がまぁ及第点だな。自分の身は自分で守れる。探索でも十分に活躍できるポテンシャルがある。グルップリングフックを利用した三次元的な移動はいいな。あれは艦船防衛で活躍できるだろう。


格闘はまぁまぁ。センスは泥臭いが俺は好きだ。伸ばし甲斐がある。お前の必殺技なんだった? あれはいちいち叫ばないと使えないのか? 使い勝手が悪いから即座に無言で使えんのか? 便利そうではあるんだがな? もうっかい詳しく調べてもらえ。


あと、一応は切り札になるからCG加工して、フラッシュボムや電磁ボムを器用に使った事にしてある。上手く加工して誤魔化してるから器用とか手癖が悪いってことにしておけ。そもそも器用な戦い方もできるようだしな、丁度良かろう。


射撃センス、期待ができるな。で、射撃センスを伸ばすのがいいのかもしれない。遠距離を鍛えておけ。近接はハンドガンで牽制して逃亡できるレベルで十分だろう。中距離は一般的水準だ。十分使い物になる。

指揮能力は良し。もっと全体に意識を向けられるようになればいいな。状況を俯瞰に見れるように訓練しておけ。


艦船に関する知識は異常と言っていいほど知識がある。全般的に幅広く学んでいけ。


ビーグル関係は運転できるぐらいで問題ないだろうな。仲間に上手なのがいるしな。基本的に指揮官役をやる事が多いだろうからな。

何度も言わせて貰う。環境や状況をもっと分析して戦術を組み立てろ。戦う経験が無いのは仕方ないが自分から突っ込む癖はどうにか抑えろ。集中しだすと周りが見えなくなる傾向があるからな。一点を見ながらも全体に意識を張り巡らすんだ。現場指揮官はクールに熱くなれ。忘れるなよ。


仲間の能力はよく理解しているようだな、信頼することは良い。だが仲間が傷つくことを恐れ過ぎた。もっと仲間を信用していいぞ。このチーム各員の能力高くできが良い。サイボーグ体、強化人主体での点でかなり有利なポテンシュルだ。上には上がいるが少々荒っぽく仲間を扱っても問題ないだろう。それぞれのセンスが良いから過信さえしなければ大怪我はしないだろう。


そして、ムサシ…戦艦の艦長を目指したいとの事だが…そうだな、先は長いからな夢を見るのは自由だ。可能性は無くはない。お前の人生だ好きにやれ。まぁ、なんだかんだで、アミのやつが面倒見るだろうからな。


イサム監督がそんな内容を語って、大きくため息をつく。


「ただ、大問題がなぁ…お前さんのスケベ心よな。自分でも理解していると思うが…耐えれるか? 誘惑は街やら色々な所に転がっているぞ? 俺なら無理だ。そうだよなぁ、青年男子だ仕方ないよなぁ、年頃だよな…失礼。劣情防止装置なんてのもあるが使ってみるか? 最後の手段だが。基本的には自分で何とかするしかないがなぁ」


「艦長になるには肉体的なアレをコレってのは…やはり駄目なんでしょうか? 色々な所で聞くんです。艦長になるためには心身共に清くあれと…その一方で経験者でも艦長になれったって話も聞いたんですが?」


「あれなぁ、一般的な話しでだ。艦船初期リンクの失敗事例ってのがある。まぁあれだ。性的行為の経験者は船に認められない傾向があると言うやつだ。艦長として船に認められるには艦船メインシステムに初回接続が必要なことは知っているだろ? その時に問題が起こるんだ。アレのときにだ。脳内物質やナノマシンの関係が崩れてだ、お互いのナノマシンシステムが混じり合って障害が起こるといった問題が科学的に立証されつつあるとの事だ」


イサム監督が両手を使い説明してくれる。でも、その手の仕草やめてくださいと心の中で思う。


「都市の研究者でも調査中だがな。ナノシステムに濁りがあると問題発生するんだと。アミに都市データバンクで調べさせているが。どうにもこの問題は事実らしい。俺も知人の船乗りに聞いてみたが事実らしい。一応、経験については内緒の話にしておいてくれ。本人の名誉の問題があるからな。人によっては弄りやすい格好のネタだ。からかわれもするからな。艦長たるもの威厳も必要ってヤツだ。それでだ。艦長職の人間にうっすらと確認したんだが。清い体で艦との初回システムリンクを行っていたそうだ。船とのリンクができなかったヤツにも確認できている。そのなんだ経験者だったよ。初期リンク後に船から艦長を拒否されるって話もあった。これは本人の素行の問題もあって拒否原因がどちらにあるかがわからないのだがな。でだ。どうだ? 性欲どうにか抑えられそうか?」


「自分でなんとか頑張ってみますんで…大丈夫…です」


自身なさそうに答えてしまった。


「頑張りますか。そうか…専門外過ぎてこちらも困ってるんだ。手は打ってみるがあまり期待しないでくれな。ヨシ!! 終わりだ」


「ありがとうございました」


「ん。ドロイド、次の手配を」


最後に妙な不安を覚える事を言われたが概ね胸を張れる結果を出せたと思う。うん、ヨシとしよう。あれだ、スケベはしょーない。よっしゃ!! 次ぎ行こう次!  切り替えていこう。自分自身に言い聞かせるように鼓舞を行う。傍から見れば独り言を大きな声で言いながら歩くおかしな人に見えたろう。そうして不安を掻き消しながら廊下に消えて行くムサシであった。

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