表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第1章 ながされて歩行軍艦
4/70

第4話 パンと銃と朝市と

昨日は市長と別れてすぐ部屋に入り、疲れたのでベッドに横たり、ついでに今日の出来事を考えていた。


しかし、すぐに意識を失い寝てしまったらしい。


疲れて過ぎていたのだろう、時計を見ると早く起きてしまったらしい。そして、昨日の事を思い出しながらボーっとしている。


部屋は近未来的な雰囲気なワンルーム、ベットに情報端末がある机と椅子、トイレ付きシャワールーム。


ビジネスホテルに酷似している、違う点といったらここは異世界って事だ。


喉が渇いたので水を飲み、腹がすいたので部屋にあった携帯固形食料を齧りながら窓の外を眺めていた。


ちょっとしたテラスになっている、窓を開けて外に出る。


2階のテラスから見える景色が近未来映画な有様だ。


通りにはちょこまか何かを運搬している箱がいる、家庭用冷蔵庫位の大きさの箱でキャタピラの付いた、恐らくは自動運転台車だろう。


それとセットになって人型の金属体が荷運びをしている。


自分の居た時代は無かった、軍用の研究段階で結構走れるモノもあったが完全自動ではなかった。


それが建物の扉を開け、段差に躓かず、迅速に荷物を運んでいる。


街の人はその動きに気にも留めない、なんならその人型に挨拶をしている。


他には黒い馬に乗る人間がいた、しかしよく見るとそれは塗装された機械の馬だ。


生きている馬の様な動きをしているが所々の機械の隙間に青白く発行する細い光が見える。


人形じゃねぇ……動物型やら四脚機械型とかキャタピラ型、車輪型、色々いる。


自動人形の説明の時にドローンやアンドロイドが居る事も教えて欲しかったかな?


自動人形の説明でかなり時間をとって説明していた。そこで出てくる自動人形の格好は作業事務服、業務用制服等のラインナップが充実していた


特にメイド服に対して情熱的な程、充実して様々なバリエーションがあった……


軍隊的な制服をベースにメイド服の装飾がほんのり味付けされたモノ、大正ロマンが溢れる和風テイストなメイドとローマ彫刻で見られる様なひらひらした布の服を混ぜた服、チャイナドレスとメイド服を半分にして混ぜ合わせたようなカオスな服……


マニアが怒りそうな混ぜ具合の服や伝統的スタイルといったマニアを唸らせるまっとうな装飾のメイド服があった事を思い出す。


いや、俺はメイド服マニアじゃない、たまたま知っているだけだ。ちょっと惹かれてなんていないぞ。


違う違う、服装の事ではなく説明してくれたテクノロジーについてを思い出すんだ。


たしか、自分達が冷凍睡眠している間に発展した技術のひとつらしいと言う事はわかっているそうだ。


ずいぶんと多く利用されていたそうな、と言うのは20xx年以降から目覚めた時代までの間の情報が無く、その時代を知っている人間も発見されなかった為である。


かなりの年数が過ぎ、幾つもの時代が過ぎ去っていることだけがわかっている。


そして幸運な事に使えるけど原理不明で作り出す事もできない技術がまばらに存在している。


それなら自動人形にテクノロジーについて聞けばいいじゃないかと思い実行してみた奴がいたが、ご丁寧にも製作メーカーの意向でそのような無粋な情報はメモリーに無く情報は丁寧に消去さらている事だけがわかった。


その代わりに自発的に主人を喜ばせ人類のなんの発展に繋がるかわからない、何か素晴らしいふんわりとしたモノを作れるような仕様になっているとのこと。これは発見されたうちのメイド型自動人形の製作メーカーマニュアルからの情報だったそうだ。


結局、何が作られるかわからないままだったが実際に作られたものは確かにちょっと喜べるようなシロモノだったそうだ。しかし詳細不明。


ならばと他の工業製品製作に関わる自動人形や科学系、管理系、生産系自動人形等にも聞いてみたが現在運用、維持技術等で必要と思われた情報くらいしか存在しなかった。新しい別の品を作れとを命令してもエラーが起きていたそうだ。しかし、人間が詳細に設計を行うと人形達は作る命令がエラー無く実行された。それはあくまで現在の都市にいる人間が理解している技術レベルと思われる領域の生産品であった。


ほぼ人間の思考パターンに酷似した電脳を持つ自動人形も制限がなされていた、人間に服従するよくある原則関係だ。人を傷つけないとかアレなやつだ。条件によってはそれが無視される事もある。そんな説明を受けた。戦闘用には戦闘用の規則が設定されているからだろうか?


他にも不思議でわからないとが盛り沢山であった。

オーバーテクノジーの塊とも言える自動人形達はそもそも動力源が有機転換融合炉などと言う物騒なオーバーテクノロジーが搭載されていた。原理や制作方法を聞こうにもそのような情報はありませんと他の人形達と示し合わせた様に同じような理由で解答した。バラして分解解析しようとしても発光して重要部分が周りに熱放射をせず融解して安全に壊れる。それが可燃物が充満した所でもだ。普通なら引火して爆発する。これは事故や不運で大破するもしもの時に人類に被害を与えない様にする製作者の仁義とのことだった。意味不明なことに決してこれらは安全配慮ではないとの事であった。


訳がわからないのは続く。飛行関係と陸上艦関係だ。他にも気になるのは色々と有るけれど俺が気にしているのはこいつ等だった。歩く戦艦が存在している様なオーバーでハイスペックな技術がありながらも、これらは設計通りに上手く機能しない。ムキになって目覚めた人々の既存技術でオーバーテクノロジーに頼らず製作してみたらしいがまったく機能しない。熟練工とか学者や興味を持った有力者達が総力を上げて作り上げたのにもだ。たまーに成功品が出ることもあったそうだか基本的には無能力品、欠陥品、形だけ綺麗な品のオンパレードであった。また、不具合が多く発生し、原因も一貫性が無かった。謎の融解や破断、金属疲労で折れるひび割れる、異常な速さで錆び保存する、内部で癒着する。不思議な化学変化で台無し、金属が変形する、良くわからない結晶体が付く、とこんな感じに原因不明が盛り沢山だった。陸上感に関しては脚が付いていたり巨体をホバーさせたりと既存の常識が通用しなかった。

それらの疑問をAI分析解しようにも析不能もしくはエラーの嵐。ただひたすらに疑問が残った。

人間だけで分析したの結果、何らかのオーバーテクノロジーが関わっていると結論付けた。

つまり、匙を投げた。


重力操作で地面から数メートル浮くことが出来るオーバーテクノロジーがあるのに飛べない。エネルギーの出所が理解出来ない発電システム。不思議な粒子やフィールドエネルギー障壁で質量兵器を防御する技術があるのに電磁投射砲や粒子砲があるのに昔ながらの大型の火薬砲が使えない。人類は空高く飛ぶ技術を失い。極めつけは都市に付属した自動工場等からの元資源が不明な生産品に多くを依存していた。


この様な、とてもいびつな系統立てができない断裂したオーバテクノロジーを使って生活している。

解析不明だかとりあえず安全に使えて人類の利益になる。ならば使ってしまえといった感じで……


しかし、オーバーテクノロジーの技術解析は一部の意地になった好事家、学者、科学者等が細々と続けている。解析しようにも不思議な現象で消滅してリバースエンジニアリングが出来ないが諦めない人達がいた。

現在は解析の取っ掛かりにも至らず、悲しく悔しい日々が続いている。


もはや自分達の現在所持している技術からレベルを上げる方がマシと世間的には認識されていた。


人々は特殊な技術は安全に使えれば気にしないようになり、便利な道具として生存に利用している。


もっとも、おっかなびっくりとそれら未知の技術をとして回収し、できる限り分析して理解して小さな発明、コツコツとした研究をして諦めずに運用して、こつこつと努力を続けているからこそオーバーテクノロジーを使えている。もちろん、既存技術も発展させて人類社会を復興していた。


そんな感じにゆるい感性で和やかに慣れていく目覚めた人々はここ100年程の間、何とか暮らしている。


そしてその感性は機械に任せっぱなしで楽して暮らすことはせず、この都市の人達は働き者な様子が見て取れる。


数時間ほどの窓から見える範囲である、少ないサンプルだがひとまず心の安堵に繋がる光景が外に見える。俺は朝から人々の日々の生活を観察している。


朝市でも始まるのだろうか通りの先にある広場に人々が集まる様子が建物の影から見える。


機械に混じりながら人々は働いている。細かい事はわからないが色々な何かテント式の店などを準備をしている。


遊んでいるようには見えない、真剣に取り組んでいるように思われる。


時折、住民同士の笑い声や手振り見振りが見られた。とても平和そうだった。


ふと気が付くとパンの匂いがしている。香ばしい小麦が焼かれる匂いが風に乗ってくる。


どうやら移動式のパン屋がいるみたいだ。


そして広場の方から来る人が食べ歩きをしていることに気が付く、どこか嬉しい気持ちが滲み出ている。そんな嬉しそうな足取りだったからだ。


テラスの下まで来ると「うまい!! アイツまた腕を上げたな!! こりゃしばらく通わないとなぁ」と声がした。それは平和な良い街の雰囲気があった。


しかし、街は平和そうだが時折に銃を抱え武装した一段が通りかかる事があった。ところが街の住民はその風景が当たり前のように挨拶したり話しかけたりしている。


その武装集団の中に人の2倍位の大きさのパワードスーツか? アンドロイドだろうか?


ごつい金属の塊が一緒に居る、そいつは大型の武器を担いでいる、それが狭い場所では通りかかったお婆さんに道を譲ったりした。他にも荷運びする老夫婦だろうか? その人達の重いものを代わりに持ってあげて、一緒に歩いていったりする好青年の様な行為をするごつい武装した非人形金属の塊がいた。


平和なのか物騒なのか、これがこの街の自然な姿らしい。昨日、説明された事は嘘偽りではないと段々と思えてきた自分を認識していた。


俺は少し寝不足ではあるがこの素晴らしく平和でのん気で危険な雰囲気の同居する不思議な街を眺めていた。


「おっ、鳥だ、お前……普通の鳥だ……よな?」


窓の外にある手すりの端に鳥が止まり、辺りを見回している、ハトを少し小さくしたようなヤツだ。


目も自然な動きで、色や模様は見たことがなかったが普通っぽい羽毛もある。声をかけた自分を警戒しつつも、十分な距離があると判断されたのか飛ばずにちょこまかと動いている。


「実はお前、機械の体でプログラムに従って動いてるんじゃないとな……」


そんな事を言いながら見ていたら、鳥は羽ばたいてどこかに行ってしまった。


アミが獲物を探していたとか言っていたな、きっと生き物もいるんだろう……


と思ったが獲物って金目のものとか食料以外のもんにも言ったりするよな、こんど聞いてみるか……


「あっ、連絡先貰ったのに連絡してないや、ありがとうぐらい言っておくか」


アミに連絡する為に朝市の準備をする外の景色に別れを告げ、部屋に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ